著者
青木 真純 佐々木 銀河 真名瀬 陽平 五味 洋一 中島 範子 岡崎 慎治 竹田 一則
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.133-143, 2019 (Released:2020-12-03)
参考文献数
21

ノートを取ることの困難さを主訴とした大学生1名に対し,ノートを取るための方略生成と精緻化のプロセスを支援することで方略変容が生じるか,またそれがノートの内容にどのような影響を及ぼすかを検討した。支援開始前に心理教育的アセスメントを行ったところ,言語的な知識や,聴覚的短期記憶は保たれているものの,注意の向け方の独特さや,全体の見えにくさ,ワーキングメモリの弱さ,視覚的短期記憶の弱さ,注意の切り替えの難しさといった認知特性が想定され,これらがノートを取ることの困難さに関連した背景要因として考えられた。これらをふまえ,支援の中では,対象者に友人のノートと自分のノートを比較させ,方略を生成することを促し,言語化させた。その結果,対象者は多くの情報を記載するための方略や情報の取捨選択を行うための方略を生成し実行した。それによってノートに書かれた情報の不足を補うことが一定程度可能となった。
著者
青木 真純 佐々木 銀河 真名瀬 陽平 五味 洋一 中島 範子 岡崎 慎治 竹田 一則
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.133-143, 2020

ノートを取ることの困難さを主訴とした大学生1名に対し,ノートを取るための方略生成と精緻化のプロセスを支援することで方略変容が生じるか,またそれがノートの内容にどのような影響を及ぼすかを検討した。支援開始前に心理教育的アセスメントを行ったところ,言語的な知識や,聴覚的短期記憶は保たれているものの,注意の向け方の独特さや,全体の見えにくさ,ワーキングメモリの弱さ,視覚的短期記憶の弱さ,注意の切り替えの難しさといった認知特性が想定され,これらがノートを取ることの困難さに関連した背景要因として考えられた。これらをふまえ,支援の中では,対象者に友人のノートと自分のノートを比較させ,方略を生成することを促し,言語化させた。その結果,対象者は多くの情報を記載するための方略や情報の取捨選択を行うための方略を生成し実行した。それによってノートに書かれた情報の不足を補うことが一定程度可能となった。
著者
龔 麗媛 河南 佐和呼 真名瀬 陽平 野呂 文行
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.199-207, 2016-03-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
15

ASD児は他者や自己の感情を言語化することに困難さがあることが知られている。 本研究の目的は、感情語の表出がみられないASDの男児1 名に対し、刺激等価性の枠組みを用いて、4 種類の状況に応じた自己感情語(嬉しい、悲しい、怒る、びっくり)を指導することの有効性を評価した。さらに、実際場面でも適切に感情語を表出できるかどうか検討した。刺激等価性は、参加児が主人公となる状況文とその動画、参加児の表情写真、そして感情語の文字の4 刺激で構成された。等価関係のプレテストに基づき、状況文から感情語を選択する指導を実施した。指導後に再度テストをした結果、直接指導をしていない状況動画から感情語及び表情写真の等価関係が成立した。 また実際場面での評価を行ったところ、それぞれの状況に応じた感情語を言語化することが可能だった。本研究の結果は、自己感情語の習得における刺激等価性の枠組みの有効性という観点から考察された。