著者
青木 真純 佐々木 銀河 真名瀬 陽平 五味 洋一 中島 範子 岡崎 慎治 竹田 一則
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.133-143, 2019 (Released:2020-12-03)
参考文献数
21

ノートを取ることの困難さを主訴とした大学生1名に対し,ノートを取るための方略生成と精緻化のプロセスを支援することで方略変容が生じるか,またそれがノートの内容にどのような影響を及ぼすかを検討した。支援開始前に心理教育的アセスメントを行ったところ,言語的な知識や,聴覚的短期記憶は保たれているものの,注意の向け方の独特さや,全体の見えにくさ,ワーキングメモリの弱さ,視覚的短期記憶の弱さ,注意の切り替えの難しさといった認知特性が想定され,これらがノートを取ることの困難さに関連した背景要因として考えられた。これらをふまえ,支援の中では,対象者に友人のノートと自分のノートを比較させ,方略を生成することを促し,言語化させた。その結果,対象者は多くの情報を記載するための方略や情報の取捨選択を行うための方略を生成し実行した。それによってノートに書かれた情報の不足を補うことが一定程度可能となった。
著者
國武 加奈 林 大輔 竹田 一則
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.41-49, 2022-03-31 (Released:2022-10-01)
参考文献数
18

食物アレルギー児の母親における育児ストレスと食物アレルギー情報の利用状況を調査し、インターネット上の食物アレルギー情報を活用した育児支援の方法を検討した。X病院に来院した0~12歳の食物アレルギー患者の母親に質問紙を配布し、77名から回答を得た。統計分析には一元配置分散分析とSpearmanの相関分析を用いた。0 ~3 歳の食物アレルギー児をもつ母親の育児ストレス得点において、44.8%の母親が80パーセンタイル以上の高スコアを示し、育児ストレスが高いことが示唆された。また、インターネット上の食物アレルギー情報の満足度と育児ストレスにおいて有意な負の相関が見られ、食物アレルギー情報の満足度が高いほど育児ストレスが低いことが明らかになった。インターネット上の食物アレルギー情報を充実させることによって、食物アレルギー児の母親の満足度を増加させ、育児ストレスを軽減することができる可能性があると考えられる。
著者
青木 真純 佐々木 銀河 真名瀬 陽平 五味 洋一 中島 範子 岡崎 慎治 竹田 一則
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.133-143, 2020

ノートを取ることの困難さを主訴とした大学生1名に対し,ノートを取るための方略生成と精緻化のプロセスを支援することで方略変容が生じるか,またそれがノートの内容にどのような影響を及ぼすかを検討した。支援開始前に心理教育的アセスメントを行ったところ,言語的な知識や,聴覚的短期記憶は保たれているものの,注意の向け方の独特さや,全体の見えにくさ,ワーキングメモリの弱さ,視覚的短期記憶の弱さ,注意の切り替えの難しさといった認知特性が想定され,これらがノートを取ることの困難さに関連した背景要因として考えられた。これらをふまえ,支援の中では,対象者に友人のノートと自分のノートを比較させ,方略を生成することを促し,言語化させた。その結果,対象者は多くの情報を記載するための方略や情報の取捨選択を行うための方略を生成し実行した。それによってノートに書かれた情報の不足を補うことが一定程度可能となった。
著者
國武 加奈 松岡 早紀 深澤 美華恵 林 大輔 竹田 一則
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.99-109, 2020-03-31 (Released:2020-09-30)
参考文献数
17

本研究では、特別支援学校教員を志望する学生の食物アレルギーに関する知識および意識の実態と講義による効果について調査した。特別支援学校教員を志望する学生39名を対象とし、食物アレルギーに関する講義前後にそれぞれ質問紙の回答を求めた。 その結果、知識の実態では、エピペン® 等の薬に関する知識がその他の知識に比べて有意に低く、知識を補完する必要性が示唆された。また、講義後は食物アレルギーに関する知識が有意に上昇した。さらに、エピペン® トレーナーを用いた実技訓練によって、講義後、エピペン® の使用に対する恐怖心が有意に低下し、自信が有意に上昇した。 一方で、講義後に食物アレルギーへの不安が有意に上昇したが、食物アレルギー対応への危機感の高まりとして意義があると考えられる。また、学校教員が食物アレルギーの適切な知識と緊急時対応の技能を身につけるには、教員養成段階から定期的かつ反復的な研修が必要と思われた。
著者
青木 真純 佐々木 銀河 中島 範子 岡崎 慎治 竹田 一則
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.165-175, 2020-11-30 (Released:2021-05-25)
参考文献数
35

ASD、ADHDのある大学生に対してDN-CAS認知評価システムを年齢外適用し、知能のPASSモデルに基づく神経心理学的な認知特性ならびに「プランニング」の下位検査遂行中の使用方略の特徴を明らかとすることを目的とした。その結果、ADHD群は「注意」の得点が定型発達学生(TD)群と比べて低く、ADHD群の中核症状である注意制御の困難さを反映したものと考えられた。また、使用方略の特徴について、ADHD群、ASD群ともに「プランニング」の標準得点はTD群との差がみられなかったが、ADHD群では報告方略数が少なく、かつ方略得点が低いことから、方略を意識化して選択し、使用するようなセルフモニタリングの弱さが推察された。また、ASD群では、方略数には差がみられなかったものの、方略得点が低かったことから、TD群の多くが使用する方略とは異なる方略を使用した学生が多かったことを示すものと推察された。
著者
末富 真弓 五味 洋一 佐々木 銀河 中島 範子 末吉 彩香 杉江 征 名川 勝 竹田 一則
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.163-172, 2019-03-31 (Released:2019-10-01)
参考文献数
14

高等教育機関において発達障害学生数は年々増加しており、進路・就職に関する課題も様々検討されるようになった。発達障害学生の就職支援を考える際には、発達障害学生特有の課題を理解し、個々の障害特性に応じ包括的に検討することが重要となる。しかしながら、専門性も求められるため、学内リソースだけではなく学外の支援機関や各種プログラムなどとの連携も支援の柱となる。そこで、本研究では、発達障害学生を対象に学外リソースを活用した模擬職場体験を中核とする「就職準備講座」プログラムを開発・提供し、その効果について検討した。結果、2016年度及び2017年度の本プログラムに参加した学生12名より協力が得られ、就職に対する準備性の向上、及び障害特性のアセスメント機能についての効果があったことが考察された。
著者
佐々木 銀河 青木 真純 五味 洋一 竹田 一則
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.247-256, 2018

<p>大学の障害学生支援部署で修学支援を受ける発達障害のある学生9名を対象に、学生による修学支援の効果評価を予備的に実施した。研究の目的は、修学支援の効果を肯定的に評価した学生および修学支援の効果が見られなかった学生の特徴を明らかにすることであった。各学生に対して支援開始前(4~6月)および支援を行った後(翌年1~3月)において修学支援の効果に関するアンケートへの回答を依頼した。その結果、修学支援の後にアンケート得点の有意な増加が見られた。修学支援の効果を肯定的に評価した学生の特徴として「音声の聞き取り」や「時間管理」に関する課題を有していたことが明らかとなった。一方で、支援の効果が見られなかった学生では「講義の出席」に関する課題を有していた。今後は、講義に出席すること自体に困難を有する学生への修学支援のあり方について検討すること、修学支援の効果評価における信頼性や妥当性を向上させることが課題として挙げられた。</p>
著者
四日市 章 河内 清彦 園山 繁樹 長崎 勤 中村 満紀男 岩崎 信明 宮本 信也 安藤 隆男 安藤 隆男 前川 久男 宮本 信也 竹田 一則 柿澤 敏文 藤田 晃之 結城 俊哉 野呂 文行 大六 一志 米田 宏樹 岡崎 慎治 東原 文子 坂尻 千恵
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

研究成果の概要 : インクルーシブ教育を理論的・実践的両側面から捉え、国内外の障害に関する理念・教育制度の展開等について歴史的に解明するとともに、特定地域の幼児・親・教師を対象として、障害のある子どもたちのスクリーニング評価の方法の開発とその後の支援について、長期的な研究による成果を得た。
著者
村上 満 田原 祐助 竹田 一則 山口 昌樹
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.166-171, 2009-04-10 (Released:2009-09-09)
参考文献数
23
被引用文献数
3

Saliva sampling has some advantages that it is non-invasive, making multiple sampling easy and stress free. The purpose of this study is to evaluate the usefulness of salivary alpha (α) -amylase (sAA) as psychosomatic stress indexes in junior high school students. Seventy healthy (not non-attendance at school) subjects in first-year junior high school students were enrolled (12-13 yr). The sAA in the morning, daytime and early-evening were analyzed for 3 days. General Health Questionnaire (GHQ) -28 and State-Trait Anxiety Inventory (STAI) were conducted as mental health indexes, the all subjects divided two groups; high and low. High stress groups either GHQ-28 (social dysfunction) or STAI (state anxiety) showed significantly high sAA compared with those of low stress groups. The multiple regression analysis using sAA as dependent variable had applied between sAA and both mental health indexes. Although, there was no significance in low stress groups, a causal relationship was found in high stress groups. These results suggested that sAA is useful index for screening of healthy human not having especially psychosomatic stress but havingthe risk before being bad mental conditions such as a state of depression. The sAA might be a useful screening method for preventing to be a non-attendance at school.