著者
真覚 健 後藤 萌
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.107-107, 2009

微笑み表情に対応した口角を引く顔面運動が、ポジティブな感情変化をもたらすかを検討した。まず、10枚の人物を含んだ写真の印象評定を行い、次に顔面運動として、口角を引く運動を伴う「イ」段の発音課題と口をとがらせる運動を伴う「ウ」段の発音課題とをそれぞれ20名の女子大学生に行った。その後、別の10枚の人物を含んだ写真の印象評定を行い、「イ」段発音課題群と「ウ」段発音課題群で写真の印象評定に差が見られるかを検討した。その結果、「楽しい」印象で「イ」段発音課題群は有意に高い評定値を示し、「かわいい」「好き」印象では有意な傾向が示された。微笑み表情に対応した口角引き顔面運動がポジティブな感情変化をもたらすという顔面フィードバック仮説を支持する結果が得られた。
著者
真覚 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.525, pp.31-36, 2004-12-09

口唇裂・口蓋裂者の表情分析から、笑顔表出時には鼻の変形や口元の歪みが目立だなくなることが示された。このことを踏まえて、顔部品の検出において笑顔がどのような影響を及ぼすのか、大学生を被験者に3つの実験を行った。実験1では、単独提示される中立顔または笑顔中にドットがあるかないかの判断を被験者に求めた。実験2では、同時提示同異判断課題によって顔中のドットの検出における笑顔の影響について検討した。両実験とも顔中のドットの検出は笑順において遅くなることが示された。実験3では、目・鼻・口の拡大変化の検出における笑顔の影響を検討した。その結果、笑顔中では目の拡大変化が検出されにくくなることが示された。これらの結果から、顔部品の検出において笑顔は抑制的な影響を及ぼすと結論づけることができる。