著者
門間 美千子 矢ヶ崎 和弘
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.70, pp.13-17, 2006-03

豆腐ゲルの形成においてタンパク質ジスルフィド結合の解裂再会合は重要な役割を果たしている。これまでに蛍光色素標識法を用い、11Sグロブリンのジスルフィド結合とグルコノデルタラクトン凝固充填豆腐の破断応力との相関関係を示した。本研究では、凝固剤として塩化マグネシウムとにがりを使用し、11Sグロブリン変異大豆系統を用いて、ジスルフィド結合蛍光色素標識による豆腐物性予測の可能性を検討した。実験に用いた8系統の大豆のうち6系統で、にがりでの凝固性が高い傾向が認められた。塩化マグネシウム凝固豆腐ではジスルフィド蛍光標識強度と豆腐の破断応力に有意な相関はなかったが、にがり凝固豆腐では11Sグロブリン酸性および塩基性ポリペプチドの蛍光標識強度と豆腐破断応力の間に、相関係数0.83および0.86(P
著者
角 明夫 森 彩恵 村田 和代 朝比奈 愛 郡山 朋子 下敷領 耕一 矢ヶ崎 和弘 箱山 晋
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.344-349, 2005-09-05

乾物生産量と蒸発散量の測定を介して共生窒素固定量を評価する可能性を探るために, 根粒着生に関するダイズの同質遺伝子系統, T201(根粒非着生系統)とT202(根粒着生系統)をそれぞれ3段階および5段階の窒素(N)施用条件下で栽培した.T201の葉緑素含量(SPAD値)はT202より低く推移し, また両系統の差は無Nから多N区へと順次拡大した.さらに, 根粒重(Ndw)とSPAD値における系統間・処理区間差が大きくなるにつれて, 乾物生産量(DM)と蒸発散量(ET)の間の量的関係における違いが拡大した.生育期間中のDMとETとの間には1次回帰式で表せる関係が認められ, DMが0のときを仮定したET (ET_<w=0>)はT201よりもT202で大きく, またT201におけるET_<w=0>は地面蒸発量(E_0)にほぼ一致した.一方, N施用量によりT202のNdwとET_<w=0>はともに変動し, 両者には密接な関係が認められた.T201とT202の間のET_<w=0>差(δET_<w=0>)から推定したDM差(δW)と両系統間のN集積量の差から評価した固定N量との間に有意な正の相関関係が認められた(P<0.001).これらの結果はN固定のエネルギー・コストに着目した共生窒素固定量の推定が可能であることを示している.