著者
角 明夫 林田 裕樹 竹之下 佳久 下敷領 耕一
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.191-197, 2001-09-30 (Released:2010-06-22)
参考文献数
14

A possibility of paddy rice (Oryza sativa) cultivation with reflective mulching materials as a tool of low input and high-yielding culture was examined. The albedo increased and water temperature in the daytime decreased by mulching of white styrofoam board or reflective film over the interrow space. Leaf area indexes in the mulching plots decreased as compared to the control plot due to the decline in leaf weight ratio and the increase in specific leaf weight. By mulching, the dry matter production at early growth stage increased in a year 1999 under relatively low sunshine but it tended to decrease in another year 2000 under intense sunshine, high temperature and low humidity. Furthermore, dry matter production in the latter half of growth tended to increase in both years, and the percentage of ripened grains elevated as well as the number of ripened grains. In both years, the grain yield increased about 10% and the damage due to grass leaf roller (Cnaphalocrocis medinalis) reduced, by mulching.
著者
角 明夫 森 彩恵 村田 和代 朝比奈 愛 郡山 朋子 下敷領 耕一 矢ヶ崎 和弘 箱山 晋
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.344-349, 2005-09-05

乾物生産量と蒸発散量の測定を介して共生窒素固定量を評価する可能性を探るために, 根粒着生に関するダイズの同質遺伝子系統, T201(根粒非着生系統)とT202(根粒着生系統)をそれぞれ3段階および5段階の窒素(N)施用条件下で栽培した.T201の葉緑素含量(SPAD値)はT202より低く推移し, また両系統の差は無Nから多N区へと順次拡大した.さらに, 根粒重(Ndw)とSPAD値における系統間・処理区間差が大きくなるにつれて, 乾物生産量(DM)と蒸発散量(ET)の間の量的関係における違いが拡大した.生育期間中のDMとETとの間には1次回帰式で表せる関係が認められ, DMが0のときを仮定したET (ET_<w=0>)はT201よりもT202で大きく, またT201におけるET_<w=0>は地面蒸発量(E_0)にほぼ一致した.一方, N施用量によりT202のNdwとET_<w=0>はともに変動し, 両者には密接な関係が認められた.T201とT202の間のET_<w=0>差(δET_<w=0>)から推定したDM差(δW)と両系統間のN集積量の差から評価した固定N量との間に有意な正の相関関係が認められた(P<0.001).これらの結果はN固定のエネルギー・コストに着目した共生窒素固定量の推定が可能であることを示している.
著者
角 明夫 片山 忠夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.418-424, 2001-09-05
参考文献数
21
被引用文献数
2

稈(茎)長において異なる同質遺伝子系統, ソルガム2系統;Plainsman tall typeとPlainsman short type, ダイズ2系統;ヒュウガとヒュウガ矮性系統, 水稲2系統;銀坊主と短銀をポット栽培し, 正常系統と矮性系統の消費水量(CU)と乾物増加量(ΔW)および収量との関係を比較検討した.CUとΔWの間にはそれぞれ作物について直線関係が認められた.ΔW=0におけるCUは, ダイズ2系統を除いて, 蒸発量(E_s)にほぼ等しかった.蒸散効率(ΔW/(CU-E_s))は矮性遺伝子の有無によってほとんど影響されなかった.ΔWが大きくかつ蒸散効率(TE)の低かったヒュウガは, 供試作物中最も多量の水を消費した.またこれにはソルガム系統や水稲系統と異なり, 開花期以降ΔW=0におけるCUが蒸発量を上回る傾向を示したことも関係した.ソルガム2系統はダイズおよび水稲の2系統よりTEにおいて勝ったもののΔWが大きく, 結果的に水稲2系統と匹敵するCUを示した.これに対して矮性系統は, 供試した作物の全てで, 正常系統より常にCUが小さかった.加えて, 矮性系統は絶対収量において正常系統に劣るものの, 同一の蒸散量をより効率的に収量生産へと結びつけることが示された.このような矮性系統の特性は干害回避性と水利用の効率化という両面からも有用であろう.