著者
村田 和代
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.49-64, 2013-09-30 (Released:2017-05-02)
被引用文献数
2

本稿では,まちづくり系ワークショップの進行役であるファシリテーターの言語的ふるまいの特徴を明らかにし,それが話し合いにどのような影響を与えているか,まちづくりをめぐる話し合いに有効かを考察する.ワークショップの進行役(ファシリテーター)の特徴を特定するために,ワーグショップと同じくミーティング談話(meeting genre)の一種であるビジネスミーティングの進行役(司会者)の言語的ふるまいと比較する.データとして,ワークショップ談話の録音・録画データ(約80時間),ビジネスミーティング談話の録音・録画データ(約35時間),参加者へのインタビューやフィールド・ワーク等で得た情報を用いる.考察の結果,ビジネスミーティングの司会者と比較すると,ファシリテーターのふるまいには対人関係機能面に関わる言語ストラテジーと,話し合いのメタ的情報を提示する言語ストラテジーが積極的に使用されていることが明らかになった.このようなファシリテーターに特徴的な言語的ふるまいが,「参加者が平等な立場で臨める話し合い」「参加者がプロセスを把握しやすい話し合い」「参加者間のラポール構築を促し,参加者同士が話しやすい話し合い」へと導く要因となることも明らかになった.まちづくりをめぐる話し合いにおいて,ファシリテーターは,住民参加を促し,各政策主体が協働してまちづくりを進めるために効果的であると言える.
著者
角 明夫 森 彩恵 村田 和代 朝比奈 愛 郡山 朋子 下敷領 耕一 矢ヶ崎 和弘 箱山 晋
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.344-349, 2005-09-05

乾物生産量と蒸発散量の測定を介して共生窒素固定量を評価する可能性を探るために, 根粒着生に関するダイズの同質遺伝子系統, T201(根粒非着生系統)とT202(根粒着生系統)をそれぞれ3段階および5段階の窒素(N)施用条件下で栽培した.T201の葉緑素含量(SPAD値)はT202より低く推移し, また両系統の差は無Nから多N区へと順次拡大した.さらに, 根粒重(Ndw)とSPAD値における系統間・処理区間差が大きくなるにつれて, 乾物生産量(DM)と蒸発散量(ET)の間の量的関係における違いが拡大した.生育期間中のDMとETとの間には1次回帰式で表せる関係が認められ, DMが0のときを仮定したET (ET_<w=0>)はT201よりもT202で大きく, またT201におけるET_<w=0>は地面蒸発量(E_0)にほぼ一致した.一方, N施用量によりT202のNdwとET_<w=0>はともに変動し, 両者には密接な関係が認められた.T201とT202の間のET_<w=0>差(δET_<w=0>)から推定したDM差(δW)と両系統間のN集積量の差から評価した固定N量との間に有意な正の相関関係が認められた(P<0.001).これらの結果はN固定のエネルギー・コストに着目した共生窒素固定量の推定が可能であることを示している.