- 著者
-
矢島 脩三
- 出版者
- 関西大学
- 雑誌
- 情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.3-30, 2005-03-15
二十世紀の半ばに誕生した電子計算機であるコンピュータは,半世紀経過した二十一世紀の現在までに,まるで超新星爆発のような凄さをもって進歩発展を遂げ,世の中に情報革命を引き起こしている.このITすなわち情報技術の進展はさらに驚異的で,サイバースペースも誕生し,情報メディア革命やディジタル革命は,実はこれからが本番であるのかもしれない.コンピュータ誕生の時代に筆者は学生であったが,このときより始まったIT進展の大波に飲み込まれて,その真只中を過ごし古稀を迎えた世代の一人として,ここでは,コンピュータ誕生やITの進展を振り返ってみる.これはまた,筆者のライフワークの研究「コンピュータ開発と論理回路理論」を包括しかつそのバックグランドでもある.内容は平成15年12月18日の筆者の関西大学退職最終記念講義を基にして加筆したものである.第1章は関西大学の最初のコンピュータとその時代について,以下,第2章コンピュータの誕生,第3章国産コンピュータの誕生,第4章トランジスタコンピュータの誕生について記す。第5章では,筆者が設計開発し1960年に完成したKDC-Iについて述べ,当時の世界最高峰の真空管式コンピュータIBM704についてもふれる.さらに,第6章ITの進歩発展,第7章コンピュータ以前,第8章おわりにと続く.