著者
矢田 俊文
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.112-129, 2014-06-30

本稿は,特定地域総合開発,一次から五次の全国総合開発計画,計6つの計画すべての策定に参画した下河辺淳前国土庁事務次官の『戦後国土計画への証言』を分析することにより,各全総策定の構図を解明しつつ,戦後の国土計画の大局的な流れを把握する.構図では,世界と日本の経済・社会情勢と日本のマクロ経済・社会政策(動因1),深く関与した首相等の権力中枢(動因2),国土に関する思潮(動因3)を動因とし,責任官庁および審議会を主体として位置づけ,さらに,策定の重点分野について,国土構造の構築(照準1),地域の活性化(照準2),国土管理(照準3)を照準として描く.照準の3つの分野は,経済地理学の主要研究分野でもある.特定地域開発と一全総では,緊急課題への対応から復興や成長政策が照準となり,国土構造に照準が当てられなかった.官僚機構が整備され,下河辺氏のリーダーシップが確立する二全総では,交通・通信ネットワークの整備を軸にした「100年の計」と豪語する国土構造の構築を提起し.その後はその補強・修正に重点を置いた.つまり,三全総は,構想の弱点であった地方の活性化や国土の管理などの分野に照準を当て,四全総は東京一極集中の是正,五全総は日本の北東,南西,日本海沿岸地域など周辺地域に国土軸や地域連携軸を整備し,太平洋ベルト一軸一極集中の是正に照準を置くとともに,「21世紀のグランドデザイン」と銘打ち,二全総から半世紀後の国土の姿を描いてみせた.
著者
矢田 俊文
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.29-36, 2014-01-01

Google世代もしくはGoogle時代のインフォプロがおちいり易い「情報リテラシー」の盲点に留意し,調査研究を行う人材を育成するためには,どのような教育を設計し,どう実行するべきか。データベース会社のノウハウを通して,利用者教育のデザインと具体的手法について論じる。急増するエンドユーザに必要な「情報リテラシー」を伝え,利用者対応で疲弊しない,サステイナブルな知識と人材育成の方法を議論する。
著者
庄 ゆかり 矢田 俊文
出版者
大学ICT推進協議会
雑誌
大学ICT推進協議会年次大会論文集 (ISSN:21867127)
巻号頁・発行日
no.2011, pp.393-398, 2011-12

データベース出版社が実施するウェビナー(Webinar = ウェブ・セミナーの省略形)は、受講場所を問わない利便性が評価されるが、初心者には対面講習会が好まれる場合もある。広島大学中央図書館では、トムソン・ロイター社提供のウェビナーにおいて、図書館会場と講師とのリアルタイムな音声対話を実現し、図書館員がコンピュータ操作およびコミュニケーションを補助するファシリテーターとなる講習会を実施したので、一事例として報告する。
著者
矢田 俊文 庄 ゆかり 野原 ゆかり
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.501-506, 2011-12-01

デジタルネイティブ世代が増加している現在,外国語文献データベースと文献管理ソフトについて,伝統的訪問講習会への参加者は減少傾向にある。しかし,講習会参加者に対するアンケート結果には,依然として講習会が有意義であることが示されている。ウェブで開催するセミナーであるウェビナーを使って,大学に潜在的に存在する多くの利用者が参加できる新しい講習会のスタイルとして,広島大学の「図書館を活用した音声対話式ウェビナーの事例」と九州大学の「分野ごとに的を絞った内容をシリーズで提供した事例」を報告する。
著者
堀 健彦 矢田 俊文
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本年度は、佐渡における地籍図の作成過程を明らかにし、佐渡島の地籍図の資料的性格に関する検討を完了させた。「佐渡市所管地押調査更正地図の調製状況とその特徴」と題したこの論文は国立歴史民俗博物館研究報告に掲載予定であったが、諸般の事情から来年度以降の発行になったため、今年度の成果として表記できなかった。この論文は、従来は網羅的には把握されていなかった佐渡島における地籍図作製について、作製年、製図者、地主総代などの情報をデータとして体系化したものなっており、近代期における地域社会の一側面を示す資料としての価値も有する。また、本研究計画上で中核となる地籍図の集成作業については、本年度は、地籍図の撮影を旧佐和田町域について行ったほか、効率的なデジタルデータ化のために有効なノウハウの蓄積に関して、昨年度の知見を踏まえたうえで、新たな方法による地籍図と現代の地理情報とを重ね合わせる方法を試した。それにより明らかになった問題点を踏まえ、さらなる方法について、実際に作業を行った作業者を交えて討議を行い、より省力化が図れるであろう方法やノウハウについて情報を集積することにつとめた。これにより、研究期間満了後も継続的に佐渡島の地籍図のデジタルアーカイブ化作業を進めるための道筋をつけることができた。本研究計画は、申請者が構想する佐渡島全体を一つの歴史空間としてとらえ、様々なデータをコンテンツとして提供していく計画の第一段階であった。研究期間満了後のプロジェクトの推進に関しては、所属機関である新潟大学人文学部が2009年3月に佐渡市教育委員会との間で締結した連携協定等に依拠しながら、大学における教育・研究の枠組みの中で行っていく。
著者
伊藤 喜栄 田口 芳明 矢田 俊文
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.451-458, 2000-12-31

1999年4月24日午後, 関西大学100周年記念会館にて, 経済地理学会関西支部特別例会が開催された.以下には, 小杉 毅氏による問題提起, 伊藤, 田口, 矢田の3氏の報告要旨, 石原照敏, 辻 悟一, 森川 滋, 川島哲郎の4氏からのコメントを中心に討論の概要を掲げる.なお, コーディネーターは, 小森星児氏(神戸山手大学長)が, 司会は加藤恵正(神戸商科大学)が務めた.