- 著者
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一ノ瀬 俊明
大西 暁生
石 峰
- 出版者
- 社団法人 環境科学会
- 雑誌
- 環境科学会誌 (ISSN:09150048)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.2, pp.167-179, 2013-03-29 (Released:2014-04-15)
- 参考文献数
- 25
中国の黄河流域において,大西ら(2006)の推計した水資源需給構造と,Ichinose et al.(2009)の推計した地下水利用構造とを地域別に直接比較することにより,データが存在せず実態把握の困難であった当該流域における地表水の利用構造を描き出すことを試みた。黄河流域に大部分が含まれる35 の地級行政単位を抽出し,立地の近接性と水資源需給構造の形態的類似性(共通する特徴)に着目してそれらを12 の小流域に分類した。一般に上流域では地表水に依存し,農業での利用割合が低いため,地下水利用の季節変動性は小さい。一方,中流域から下流域では地下水への依存の度合いが高くなり,農業での利用割合が高くなるため,地下水利用の季節変動性は大きくなる。とりわけ,その傾向は黄土高原において顕著である。また,最下流域では再び地表水に依存している。さらに地下水利用構造の類似性にもかかわらず,小流域の中でも地表水を含めた水資源の需給構造に多様性が見られる地域がある。とりわけ中流域では,大河川へのアクセスの状況に応じて多様性が顕著である。