著者
芳川 雅子 荒井 章司 柴田 知之 石丸 聡子
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.374, 2011 (Released:2011-09-01)

スラブや堆積物由来成分によるマントルウェッジのより詳細な改変過程を明らかにするため、西南日本弧背弧域福岡県玄界島沖の黒瀬に産するマントルかんらん岩捕獲岩6試料の鉱物の主要元素組成および単斜輝石のSr-Nd同位体・微量元素組成を求めた。その結果、フラットからV型のコンドライト規格化微量元素組成パターンを示し相対的に低いNd同位体比を示すタイプ2(Yoshikawa et al., 2010)の捕獲岩が多く認められることがわかった。これらの捕獲岩試料中の単斜輝石は様々な程度の負のZr・Ti異常を示し、単斜輝石のCeN/YbN比とスピネルのCr#(100xCr/Cr+Al値)に相関がなく、さらに非常に肥沃したSr-Nd同位体組成を示すものが含まれ、起源マントルが部分溶融した後に沈み込むスラブや堆積物由来の成分による交代作用を被った可能性が高いことを示唆している。