著者
豊島 真吾 石島 力 佐藤 安志
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.113, pp.113_27-113_34, 2012-06-30 (Released:2015-10-30)
参考文献数
19

誘蛾灯によるゴミムシ類の多様性調査の有効性を評価するため,茶園の誘蛾灯に捕獲されるゴミムシ類の種多様性と季節消長を把握し,ピットフォールトラップ(PFT)による調査結果と比較した。誘蛾灯には,2010年5月25日から10月25日までに24属52種1,959個体のゴミムシ類が捕獲され,上位10種で総捕獲数の90%を占め,既報のピットフォールトラップ(PFT)調査に比べて上位種が多様であったが,PFTの主要種であるマルガタツヤヒラタゴミムシは捕獲されなかった。誘蛾灯の主要5種は7月または9月に捕獲ピークを示したが,PFTの主要2種は6月と11月に捕獲ピーク(2山型)を示した。全期間の捕獲数に基づく種多様度指数は,0.794(シンプソンの指数:D)および2.198(シャノン・ヴィナーの指数:H’)と推定され,PFTのそれらに比べて高かった。以上より,誘蛾灯はPFT調査に比べて多様なゴミムシ類を捕獲するが,PFTと組み合わせて,相互にデータを補完することが望ましい。
著者
石島 力 今村 太郎 Visarathanonth Porntip 宮ノ下 明大
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.143-145, 2005
被引用文献数
1 1

The impact of two predatory bugs, <i>Xylocoris flavipes</i> and <i>Joppeicus paradoxus</i>, on the stored-product insect, <i>Tribolium confusum</i>, was examined. Five pairs of adult <i>T. confusum</i> were placed in a plastic container (dia. 15 cm, height 8 cm) containing 10 g of whole-wheat flour. After 3 d, the following four experimental groups were set up: Control (no predator release), <i>X. flavipes</i> (four pairs of adult <i>X. flavipes</i> released), <i>J. paradoxus</i> (four pairs of adult <i>J. paradoxus</i> released), and <i>X. flavipes</i>+<i>J. paradoxus</i> (two pairs each of <i>X. flavipes</i> and <i>J. paradoxus</i> released). Twenty-five days after the release of the predatory insects, we counted the number of living <i>T. confusum</i>, <i>X. flavipes</i>, and <i>J. paradoxus</i>. The number of <i>T. confusum</i> in the <i>X. flavipes-</i>treated and <i>J. paradoxus</i>-treated groups was 3 and 33% of the control, respectively. On the other hand, the suppressive effect of <i>X. flavipes</i>+<i>J. paradoxus</i> treatment was lower than that of the above two treatments, probably due to intraguild predation between <i>X. flavipes</i> and <i>J. paradoxus</i>.
著者
石島 力 佐藤 安志 大泰司 誠
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.193-200, 2008-11-25
被引用文献数
1

チャのハマキガ類の卵寄生蜂キイロタマゴバチの発育速度,性比,羽化率および体サイズを,チャノコカクモンハマキ卵およびチャハマキ卵を寄主とした場合について5つの温度(16,20,24,28,および32℃)で調査した.ハマキガ類の卵で飼育したキイロタマゴバチの発育速度は,どちらの卵で飼育した場合においても,温度と有意な関係がみられたが,卵サイズの大きいチャハマキ卵の方がチャノコカクモンハマキ卵に比べ,温度に対する発育速度の上昇率は有意に高かった.チャノコカクモンハマキおよびチャハマキ卵で飼育した発育零点と有効積算温度は,雌,11.7℃,120.5日度,雄,11.5℃,119.0日度,および雌,11.7℃,114.9日度,雄,11.7℃,116.3日度となった.チャノコカクモンハマキおよびチャハマキ卵から羽化した成虫の性比(雌個体数/合計個体数)は,それぞれ0.76〜0.89および0.71〜0.77であり,羽化成虫の性比については,チャノコカクモンハマキがチャハマキに比べ有意に高かった.また,チャノコカクモンハマキおよびチャハマキ卵から羽化した成虫の羽化率[{羽化個体数/(羽化個体数+卵塊内死亡個体数)}×100]は,それぞれ23.7〜73.4および41.8〜85.0であった.羽化率は,両寄主ともに,温度の上昇に従って,加速的に低下した.チャノコカクモンハマキ卵から羽化した雌および雄成虫の頭幅は雌0.172〜0.186mmおよび0.168〜0.188mmであった.チャハマキ卵から羽化した雌および雄成虫の頭幅は0.202〜0.216mmおよび0.195〜0.212mmであった.チャノコカクモンハマキで飼育した場合,ハチの頭幅は温度が上昇するに従って大きくなることが示唆された.一方,チャハマキで飼育した場合,ハチの頭幅は温度が上昇するに従って加速的に小さくなることが示唆された.