著者
竹腰 誠 柏木 悠 神 和人 平野 智也 藤戸 靖則 相馬 満利 石濱 慎司 船渡 和男
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 = Bulletin of Nippon Sport Science University (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1051-1061, 2021-08

本研究の目的は,日本代表選手を含む大学アルペンスキー選手の体力測定値とパフォーマンスの関係性を検討し,その測定値の有効性と世界一流選手(World)と大学アルペンスキー選手(College)の体力レベルの差を明らかにすることでトレーニングへの一助とすることを目的とした。被験者は,17名の日本代表選手を含む大学男子アルペンスキー選手(Collage)であった。測定項目は,形態・身体組成,柔軟性,筋力,非乳酸性パワー,乳酸性パワー,そして有酸素性パワーの測定であった。アルペンスキー競技のパフォーマンスには,国際スキー連盟(FIS)が定めるFISポイント(回転,大回転,スーパー大回転)を採用した。体力測定項目とFISポイントの関係性には,ピアソンの積立相関係数およびスピアマンの順位相関係数を用いて評価した。また,CollageとWorldの体力の差の検討には,先行研究Neumayr et al.(2003)の報告を参考した。FISポイントと体力測定値の関係性は,形態・身体組成と柔軟性以外の全ての項目と有意な負の相関関係がみられた。FISポイントとの関係性がみられた膝屈曲トルクは,WorldがCollageより大きな値を示し、最大43%の差であった。その次に大きな差がみられた測定項目は,2 mmol/lの相対的な有酸素性パワーであった。大学生アルペンスキー選手の膝伸展屈曲トルク,非乳酸性パワー,乳酸性パワーおよび有酸素性パワーの体力要素は,アルペンスキー競技パフォーマンスと有意な相関関係が認められ,世界レベルを目指すための体力トレーニングの目標値が示された。