著者
石生 義人
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.72-87, 2012 (Released:2017-09-01)
参考文献数
58

本論文では,2004年大統領選挙時点におけるイラク戦争支持の決定要因をサーベイデータを使って分析した。その結果,アメリカ人のイラク戦争支持に影響を与えていた社会・心理的特徴は,帰属政党,信仰宗教・宗派,愛国心,最終学歴であることがわかった。 帰属政党に関しては,共和党帰属者が最もイラク戦争支持傾向が強く,民主党帰属者が最も弱かった。信仰宗教・宗派に関しては,キリスト教バプテスト派が最も支持傾向が強く,ルター派・メソジスト派の支持が特に弱かった。愛国心はイラク戦争支持に正の影響を与えていた。最終学歴に関しては,大学院等の教育を受けている人の支持傾向が弱く,短大卒以下の最終学歴を持つ人の支持傾向が強かった。これら四つの要因が,イラク戦争の正当性を批判的に評価することを促進または抑制し,その結果として戦争支持態度が影響を受けたと考えられる。
著者
石生 義人
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.72-87, 2012

本論文では,2004年大統領選挙時点におけるイラク戦争支持の決定要因をサーベイデータを使って分析した。その結果,アメリカ人のイラク戦争支持に影響を与えていた社会・心理的特徴は,帰属政党,信仰宗教・宗派,愛国心,最終学歴であることがわかった。 帰属政党に関しては,共和党帰属者が最もイラク戦争支持傾向が強く,民主党帰属者が最も弱かった。信仰宗教・宗派に関しては,キリスト教バプテスト派が最も支持傾向が強く,ルター派・メソジスト派の支持が特に弱かった。愛国心はイラク戦争支持に正の影響を与えていた。最終学歴に関しては,大学院等の教育を受けている人の支持傾向が弱く,短大卒以下の最終学歴を持つ人の支持傾向が強かった。これら四つの要因が,イラク戦争の正当性を批判的に評価することを促進または抑制し,その結果として戦争支持態度が影響を受けたと考えられる。
著者
石生 義人 イシオ ヨシト Yoshito Ishio
雑誌
国際基督教大学学報. II-B, 社会科学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.48, pp.1-18, 2002-03-15

この論文は、アメリカ労働政策分野においてなぜ「鉄の三角同盟」現象が起こっていないのかという疑問に答えようとするものである。DavidKnokeが収集したデータを再分析し、1980年代の労働政策に関わった115の組織アクターの連携にどのような特徴があったのかを調べている。具体的には、25の労働関違法案にかかわる組織連携にどのようなアクターが含まれていたのかを分析し、(I)経済団体、(2)労働省のOfficeof the Secretary、(3)下院の労働・教育委員会(共和党議員)が複数の法案に関して連携をしていることがわかった。この連携は「鉄の三角同盟Jの構造的特徴は有しているが、どの程度政策結果に影響を与えているのかを調べてみると、これらの組織の政策方針と実際の政策結果が60%程度しか一致していないことがわかった。つまり、「鉄の三角同盟」と呼べるほどの影響力を行使していなかった。その主な理由は、労働団体を中心とする連携が、効果的な反対ロビー活動を展開していたからである。「鉄の三角同盟」現象は、連携を組む反対ロピー活動によってその影響力が弱められるため、敵対する組織連携がない政策分野においてのみ発生しやすいということが言える。