著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.847, pp.80-83, 2007-04-23

群馬音楽センターを語るには、群馬交響楽団についてまず語らざるを得ない。前身である高崎市民オーケストラは、戦後間もない1945年に始まっている。その2年後にはプロ化を果たすが、練習場は喫茶店の2階で、公演場所は大抵が山奥の小学校。重い楽器を抱えながらの移動音楽教室は苦難の連続だったが、少しずつ支持の輪を広げていく。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.926, pp.90-93, 2010-05-24

小田急線と横浜市営地下鉄が接続する湘南台駅。高層住宅と商業施設に囲まれた郊外ターミナルから、歩いてすぐのところに、その建物はある。銀色の小屋根の連なりと、その奥に見える巨大な球体。湘南台文化センターだ。 球の中身はプラネタリウムと市民シアターである。それ以外にこの建物は、こども館、公民館、市役所支所などの機能を収める。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.908, pp.98-101, 2009-09-14

東急・田園都市線の用賀駅から、用賀プロムナードを歩く。この道は象設計集団の設計によるもので、瓦を敷いた道のところどころに水路やベンチがある楽しい遊歩道だ。その突き当たりにあるのが、都立の砧公園。世田谷美術館はこの公園の中にある。 逆三角形の支柱で持ち上げられたパーゴラが伸び、訪問者を出迎える。建物は高さとボリュームを抑えたいくつかの棟から成る。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.895, pp.70-75, 2009-03-09

山原(ヤンバル)と呼ばれる沖縄本島の北部地方。その中心都市が名護だ。1978年、市庁舎の建設にあたって公開コンペが実施された。国内の本格的なコンペは10年ぶりだったこともあって、全国から308組もの応募があり、その中から1等に選ばれたのが象設計集団とアトリエ・モビルの共同体「TeamZOO」だった。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.794, pp.80-83, 2005-04-18

丹下健三氏は数多くの建築を遺した。代表作とされる有名建築以外にも、実は興味深い建築が全国に散らばっている。丹下氏の訃報ふほうを受け、知る人ぞ知る名作の現在を追って、東京、静岡、愛知、兵庫を巡った。(磯 達雄=建築ライター)幹と枝でできたオフィスビル 東海道新幹線からも東京駅を出てすぐ近くに見えるのでおなじみの小規模なオフィスビル。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.855, pp.104-107, 2007-08-27

「モダン建築」をテーマに建物を見て回っている我々にとって、村野藤吾という建築家はなかなかにやっかいな存在だ。果たして彼の建築はモダンと言えるのかどうか。今回、採り上げる日本生命日比谷ビルは、まさにその問題を正面から突き付けた問題作である。 場所は皇居外苑の南側。日比谷公園から日比谷通りを挟んで向かい側にあたる。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.842, pp.92-95, 2007-02-26

甲府の街に着くと、そこには「風林火山」と書かれたのぼりがいっぱい立っていた。言うまでもなく、ここ甲斐の国は、風林火山の旗印で有名な武田信玄のおひざ元。今年のNHK大河ドラマ「風林火山」に乗っかって、観光振興で盛り上がっているのだった。 目指す先は、山梨文化会館である。それはJR甲府駅の北口を出ると、すぐ前に建っていた。外観を特徴付けているのは太い円柱。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.814, pp.136-139, 2006-01-23

私鉄の駅からタクシーに乗り、甲南女子大学へと向かう。キャンパスは神戸市東灘区の山の手にある。急な坂道を上っていくと、突然に視界が開けて、クリーム色の校舎群が目に飛び込んできた。車を降りたのは池の前。振り返ると眼下に、神戸の街を越えて遠く海までが見渡せる。この場所に村野藤吾の設計で建物がつくられ、大学が開学したのは1964年。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.816, pp.120-123, 2006-02-27

阪急神戸線の御影駅を下り、山側の道を行く。斜面が急な角度に切り替わるそのあたりで、波形の庇と花模様のブロックで覆われた建物が二つ、続いて見えてくる。小原流の豊雲記念館と家元会館だ。車の行き来が激しいので、ゆっくりと眺めるのは難しい。ちらりと横目でとらえながら建物の前を通り過ぎ、坂の上の事務室を訪ねる。 スタッフの案内で、まず向かったのが豊雲記念館。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.868, pp.98-103, 2008-02-25

辺りは一面の雪景色だった。色がない、音もない世界。その中に弘前市民会館は建っていた。 雲が途切れて晴れ間が訪れる。すると打ち放しコンクリートの壁が雪に反射した光でまばゆく輝き出した。そこに浮かび上がる木々の影。世界は一瞬のうちに息を吹き返したようだ。寒さで体は凍えていたが、雪の中で建築を見るのは、これはこれで悪くない。 建物の中へと足を踏み入れる。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.829, pp.96-99, 2006-08-28

日本列島を西から東へと旅してきたモダン建築巡礼だが、今回は西日本編の締めくくりということで、特別に日本の西端に戻って沖縄に向かうことになった。採り上げるのは那覇市民会館である。 予定より少し早めに着いたので、市民会館の中にある食堂で食事を取ることにした。注文したソーキそばが出来上がるの待っていると、ガラスの向こうに池があるのに気付いた。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.889, pp.54-57, 2008-12-08

JR京葉線の千葉みなと駅で降りる。千葉港方面へ歩いていくと、土地区画整理事業によって生まれた更地に新しい建物がぽつりぽつりと建っている。そんなエリアを抜けて、目指す千葉県立美術館に着いた。 この美術館は、千葉県に関係した美術作品を収集・展示し、地域の美術活動を振興することを目的として、1974年にオープンした。その2年後に管理棟を完成させて主要部が完成。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.858, pp.24-28, 2007-09-24

小田急線を生田駅で降りて、タクシーに乗る。住宅地を抜けて、小高い丘を上った先にその建物はあった。連続するアーチの一部をガラスのカーテンウオールで覆った異形のファサード。山田守の設計で1957年に完成した長沢浄水場だ。この建物は神奈川県川崎市にあるが、東京都水道局の施設である。 建物は改修を終えたばかり。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.821, pp.96-99, 2006-04-24

日本を西から東へとたどってきた建築巡礼の旅だが、今回は緊急企画として東京・八王子の大学セミナー・ハウスへと向かった。新しい研修棟の建設に伴って、宿泊用のユニット・ハウスが解体されると聞いたからである。「ワァオ!」。本館の前でタクシーを降りると、思わず口から感嘆の言葉が漏れる。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.866, pp.88-91, 2008-01-28

山形新幹線を山形駅で降り、左沢線に乗り換える。その時点では、確かに空は晴れ渡っていた。しかし列車が進むにつれ天候は徐々に怪しくなっていき、寒河江駅に到着したときには雨が降り出していた。建築取材の一番の難敵が雨。これまで不思議なことに「昭和モダン建築巡礼」の取材で、雨にたたられることは一度もなかったのだが、今回は運に恵まれなかったようだ。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.849, pp.88-91, 2007-05-28

旧中山道沿いの街並みから少し奥まったところに、その建物は見えた。白い。それが第一印象だ。場所は群馬県西部にあるかつての松井田町。現在は合併したため安中市となっている。 この建物は白井晟一の設計により1956年に完成。
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.898, pp.88-91, 2009-04-27

建築巡礼ポストモダン編は、今回から「隆盛期」に入る。ポストモダン建築が、多様な花を開かせた1980年代の建築群を採り上げていく。幕開けを飾るのは、この時期の記念碑的傑作、つくばセンタービルである。 東京・秋葉原からつくばエキスプレスの快速に乗って45分。2005年にこの新路線が開通して、つくばはずいぶんと便利になった。