著者
神山 政恵 吉岡 博英
出版者
Japanese Association of Communication Disorders
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.16-25, 1993

全国の公立学校難聴・言語障害学級の実態と担当教師のいわゆる『聴能言語士(STと略す)』の資格への意識を調査する目的で約3分の1に当たる503学級を任意に抽出し,アンケート調査を実施した.その結果は,次の通りである.<br>1) 回収率は61%であった.<br>2) 担当教官は教師歴10年以上のベテランが任命されることが多く,継続の意思を持っている者が多かったが,教室の運営面と言語障害児の指導面の両者の悩みを抱えつつ訓練を行っている様子がうかがえた.<br>3) 一人の担当者が1日に4~6人程度の言語障害児を訓練し,1~2人の職場が多かった.<br>4) 担当者の多くは小学校普通免許状のみを所有し,言語障害に関する専門教育を受けたものは少なく,ほぼ全員が専門教育の研修の必要性を認めていた.<br>5) 担当者の大多数が医療STの資格の必要性を認めていたが,教師にも同様の資格が必要かについては,約半数が必要と回答していた.
著者
阿部田 聡 豊泉 茂 金田 史香 神山 政恵 小池 秀海 吉野 佳一
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.89-95, 1999

症例は47歳男性。1996年5月16日,ボリビア(標高4,200m)へ出張した翌日より頭痛,悪心,呼吸困難,意識障害を呈し,急性高山病と診断され,現地の病院で治療を受けたが,意欲低下,意識不鮮明,運動緩慢が残存した。6月3日帰国し,翌日当科に入院した。知能障害と錐体外路症候を認め,発症20日目のMRIで両側淡蒼球に病変がみられた。SPECTでは両側前頭葉,側頭葉,基底核の血流低下を認めた。発症29日目より高圧酸素療法を行い,自覚症状,神経心理学的検査成績およびSPECTの改善がみられた。急性高山病で淡蒼球病変を呈した報告は本例を含め4例と稀である。ごく早期を逸しても高圧酸素療法は試みるべき治療法と思われる。