著者
神山 眞 小出 英夫 沢田 康次 秋田 宏 千葉 則行
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.7_428-7_443, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本文は国土地理院が全国に展開しているGPS観測システムGEONETによる地震時地殻変動から求めた地盤の地震時ひずみの特性を二つの代表的な地震を対象として述べるとともに、それらの地震により生じた土木構造物の地震被害との関係を考察したものである。対象とした地震は2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)と2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)である。被害地点の分布は地盤ひずみ分布と相関があり、10-4.7~10-4.5の最大せん断ひずみレベルが土木構造物被害発生の一種のしきい値を与えることが指摘される。
著者
小出 英夫 千葉 則行 神山 眞 秋田 宏 沢田 康次
出版者
東北工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

以下の研究成果を得た。①国土地理院GEONET提供のF3データやRINEXデータを用いて、東北地方を中心とする国内の地殻変動を観察するためのシステムの基礎を構築した。②プレート境界型の巨大地震における、発生数日前からの「プレスリップ(予兆すべり)」の2次元有限要素法による数値シミュレーションを実施する過程において、両プレート間の摩擦係数の時間的・空間的変動の考慮の必要性が明確になった。③過去10年間に発生した東北地方における8個の被害地震では、その地殻変動の時間履歴にプレスリップに関係すると思われる本震直前の2~3日前頃に水平変位の方位角の日変動に変化が生じることがわかった。
著者
神山 眞一
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.5-23, 2015-01-07
著者
三神 厚 神山 眞
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_133-I_138, 2018

東北地方太平洋沖地震によって,東北の太平洋岸の広い範囲で地盤が沈降し,多くの漁港で岸壁の嵩上げ工事が実施されたが,本震後の余効変動(隆起)が漁港施設に影響を及ぼしており,嵩下げ工事を実施する漁港も現れた.漁港の被災から復興に至る過程が高精度の地殻変動データとともに得られていることは過去にない特徴である.本研究では余効変動を伴う巨大海溝型地震による震災からの合理的な復興へ活かすための貴重な教訓を抽出すべく,東北の地震により漁港に生じた様々な不都合や,それに応じた関係機関の対応をヒアリング調査等から明らかにするとともに,地殻変動の推移とともに時系列で整理した.その結果,本震後,すぐに隆起に転じた地域では,漁業の継続性を確保するための段階的な復興工事が結果的に有益であったこと等が明らかになった.