著者
辛島 彰洋 中村 有孝 安斎 友花 塚田 僚 益田 幸輝
出版者
東北工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、以下に記すように、睡眠-覚醒状態に依存したシナプス結合の可塑的変化が大脳皮質と海馬で観測されことを示し、そのメカニズムに迫ることができた。大脳皮質では、体性感覚野スライス標本を用いたin vitroパッチクランプ実験と、体性感覚応答を覚醒時と睡眠時で比較するin vivo実験を行った。覚醒時にシナプス結合が増強し、睡眠中には減弱していることを示す結果が得られた。さらに、感覚遮断実験により、覚醒時の増強が経験依存的である可能性を示した。大脳皮質と同様に海馬CA1領域でも、in vitro実験も行い、覚醒時にシナプス結合が増強していることやその増強が経験依存的である可能性を示した。
著者
小出 英夫 千葉 則行 神山 眞 秋田 宏 沢田 康次
出版者
東北工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

以下の研究成果を得た。①国土地理院GEONET提供のF3データやRINEXデータを用いて、東北地方を中心とする国内の地殻変動を観察するためのシステムの基礎を構築した。②プレート境界型の巨大地震における、発生数日前からの「プレスリップ(予兆すべり)」の2次元有限要素法による数値シミュレーションを実施する過程において、両プレート間の摩擦係数の時間的・空間的変動の考慮の必要性が明確になった。③過去10年間に発生した東北地方における8個の被害地震では、その地殻変動の時間履歴にプレスリップに関係すると思われる本震直前の2~3日前頃に水平変位の方位角の日変動に変化が生じることがわかった。
著者
大沼 正寛
出版者
東北工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、天然スレート民家建築の分布状況とその普及プロセスを明らかにすることを目的としたフィールド調査研究である。東日本大震災直後の混乱により調査は難航したが、天然スレート生産の嚆矢となった旧桃生郡十五浜(石巻市雄勝町付近)を中心に、陸前北上地方を捜索して地理情報システムで整理した。また、硯と石盤に始まった地域産業と洋風建築特需の栄枯盛衰、二次良品地消システムともいうべき地元普及プロセスと背景にある復興産業史を描くことができた。さらに民家遺構の具体例を実測調査し、気仙大工系技術者の軸組架構や周辺民俗遺構などにも考察を寄せ、広域文化的景観を形成した歴史地理を把握することができた。
著者
許 雷
出版者
東北工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

建物情報モデリング(BIM)の国際標準仕様であるIndustry Foundation Classes(IFC)に基づいて、建築意匠・設備設計が一体となる建築デジタル環境設計手法を提案した。まず、学生150名を対象として建物使用者・居住者がどのような建築情報を求めているのかをアンケート調査を行い、安全性・安心性、経済性が最も重要視されていることが確認した。次に3次元CAD ソフトArchiCAD を用いて建築のIFCデータを作成し、建物を構成する全ての要素、住所、建物、階情報、建物部位・部材(部屋、壁、スラブ、窓、ドアなど)を解析した。そしてASHRAEの負荷計算方法を参照したで空調負荷計算用建物のIFC情報を解析し、デジタル空調負荷計算ツールを構築した。Accessで作成された建材データベース、外部気象データなどとの連携により、空調負荷、年間エネルギー消費量、環境負荷及び省エネルギー計算を行った。今後では、建材環境性能データベースの改善・充実をしながら、開発した環境設計ツールを更に改良する予定である。
著者
河野 公一
出版者
東北工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,ロシア極東地域で毎年発生している森林火災の状況を把握するため,衛星画像を用いて7年間分の解析を行った.その結果,焼け跡は4月と10月に多く,また,火災煙は5月に多く検出された.これらの結果の分析から,前年の10月の焼け跡がその後に雪で覆われ,翌年の4月に雪が融けて再び検出されることが分かった.さらに,5月に多く観測される火災煙の発生場所は,前年の10月の焼け跡の多くと一致していることも分かった.提案法ではこれらの情報を複合的に用いることにより,森林火災の発生メカニズムの一つを明らかにした.
著者
伊藤 美由紀
出版者
東北工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

がん患者は意思決定の時期を幾度もむかえる。彼らのスピリチュアルペイン(自己存在の意味や生きる意味に対する苦しみ)について看護師を対象に調査した。時間存在喪失の苦悩では【限られた時間しかない】,【時間が有効に使えない】,【将来の時間がほしい】,【時間を終わらせたい】,関係存在喪失の苦悩では【関係を拒む】,【関係を持ちたい】,【関係を疑う】,【関係が変わる】,自律存在喪失の苦悩では【身体症状が変化する】,【変化する自分を認められない】,【将来の生活が考えられない】,【自分らしさや役割が果たせない】があげられた。
著者
吉田 毅
出版者
東北工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

車椅子バスケット日本代表クラスの後天的身体障害者を対象に、彼ら/彼女らのアスリートキャリア形成に関して検討した。このプロセスでの性差として、主に車椅子バスケットに参加する契機の相違が認められた。男子は他律的な面が顕著であるのに対し、女子は自律的な面が顕著であった。その後の車椅子バスケットに定期的、継続的に参加するようになる要因としては、良き仲間を得たことや車椅子バスケットそれ自体の魅力が、参加し続ける要因としては、向上心とともに、身近にアスリートとしての同志や役割モデルを得たことが認められた。こうした一連のアスリートキャリア形成をめぐる主な問題点として、競技活動と仕事や家庭との両立、また練習場所や資金といった物的な側面が認められた。
著者
藤田 豊己
出版者
東北工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ロボットが作業のために手先を動作している画像を観察したときの人間の注視による関心領域を計測し,位置的類似度を用いて特性を検証した.その結果,対象とした動作においては,トップダウン的な処理が優位なScanpath(視線走査)が生じるがわかった.さらに,画像処理手法により関心領域を検出し,その妥当性をその特性結果を利用して評価した.その結果,ボトムアップ処理とトップダウン処理を表す特徴を統合することで有効な注視領域検出が可能となり,基本的な動作検出も可能となることを示した.