著者
神田 晶申 田中 翔 後藤 秀徳 友利 ひかり 塚越 一仁
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.85-93, 2010 (Released:2010-03-18)
参考文献数
43

Present understanding of electric transport in graphene, a crystalline layer of carbon, is reviewed. In the first part, emphasis is placed on the gap between the ideal and reality of electron transport, which is mostly caused by disorder (charged impurities) in the experimental samples. Disorder which affects the graphene transport originates mainly from charged impurities in the substrate, comtaminants on the graphene surface due to, e.g., resists and sticky tapes, and absorbed gas molecules. The amount of charged impurities and the methods to remove them are discussed. In the second part, the characteristic phenomena in multilayer graphene are explained for spins and Cooper-pair transport, which are relevant to the nonuniform distribution of the carrier density under nonzero gate voltages.
著者
神田 晶申
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では、グラファイト超薄膜に各種原子分子のインターカレーションや表面吸着を施すことによって新機能性を発現させ、それをゲート電圧によって制御することを最終目標としている。インターカレーション(表面吸着)させる物質として、アルカリ金属であるカリウムを選定した。カリウムは、バルクのグラファイトにインターカレート(C8K)すると極低温で超伝導となり劇的な物性変化をもたらすことが知られている。グラファイトを原子レベルまで薄くしたグラフェンでは、低次元化とゲート電界印加により、C8Kからの物性変調が期待される。特に、超伝導転移温度の上昇やゲート変調が観測されると興味深い。一方で、単体カリウムやC8Kは空気中で不安定であるために、電気伝導測定用グラフェン試料の作製プロセス、測定プロセスをカリウム試料に最適化する必要がある。本研究では、以下に示す手順によって、試料作製・極低温測定を行う方法を確立した。(1)配線済みグラフェン試料上面にカリウムを蒸着、(2)不活性ガスで満たしたグローブボックスに試料を搬送し、必要に応じてチューブ炉でアニール(3)紫外線硬化接着剤を用いて試料を不活性ガスでシール、(4)試料を低温冷却装置まで搬送、(5)低温冷却装置を真空にし、冷却・測定を実行。4Kまでの測定で、カリウム蒸着によって移動度が減少すること、電荷中性点(キャリア密度が最小になるゲート電圧値)がマイナスに移動することが観測された。これらのことは、カリウムによって電子がドープされるとともに、荷電不純物が増えることで散乱、電荷中性点での状態密度が増えたことに起因すると考えられる。今後、希釈冷凍機を用いて極低温測定を行うとともに、試料作製プロセスの更なる改良を行う予定である。
著者
山口 尚秀 宮崎 久生 神田 晶申 大塚 洋一
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.944-949, 2002-02-20

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