- 著者
-
神田 聖子
仲田 瑛子
小田島 祐美子
中野 都
佐藤 清香
江木 伸子
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, no.2, pp.78-87, 2020-04-01 (Released:2020-05-27)
- 参考文献数
- 36
【目的】日本食品標準成分表2015年版において,調理前(原材料)と調理後食品を用いた献立の栄養価の差を明らかにし,栄養価計算を行う際の留意事項を検討する。【方法】学内の給食管理実習における30日分の昼食献立を対象に,調理を考慮しない「作成時」と考慮した「提供時」について対応のあるt検定またはWilcoxon符号順位検定を用いて1食あたりの栄養価を比較した。食品群別による比較も行なった。【結果】エネルギーの平均値±標準偏差は作成時で 719±70 kcal,提供時で 699±65 kcalであり,提供時で有意に低かった(p<0.001)。提供時で有意に低値となった栄養素は脂質,飽和脂肪酸,カリウム,カルシウム,鉄,ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンCであり,食物繊維のみ提供時で有意に高かった。食品群別にみると,肉類と野菜類で提供時の栄養価の減少が目立った。【結論】作成時と提供時の栄養価には統計的な差があり,栄養価計算は調理後食品で行うことが望ましいとわかった。両者の差は肉類及び野菜類で調理後食品を用いることにより解消できると考える。やむを得ず原材料で栄養価計算を行う際は,カリウム,鉄,水溶性ビタミンの給与栄養目標量を食事摂取基準の110~140%に設定すること,または,肉類の使用量を予定原材料の115%,野菜類を132%にすることで提供時の値に近似することが示唆された。