著者
瀬戸 美江 蒲原 しほみ 藤本 健四郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.2-7, 2003-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
27

鶏レバー,牛レバー,豚レバーの3種類を用い,調理温度によってにおいを軽減できるかということを目的に,アンケート調査,ニオイセンサー,官能評価,化学的成分の測定を行った.アンケート調査の結=果,「生臭さ」や「味」が嫌いな理由の上位にあることが分かった.ニオイセンサーでは,レバーにより加熱温度によるにおいの強さが異なったので,官能評価を行ったところ,180℃の高温短時間加熱により生臭さが抑えられ,味も好まれた.また,高温加熱によりサラダ油の浸透が進み,高度不飽和脂肪酸の酸化も抑えることができた.鉄含有量が高いヘム鉄のレバーを高温短時間加熱することにより鉄分の損失は抑えられ,味もにおいも好ましくなることで,貧血の鉄補給源など栄養的効果を期待される食品として,レバーの利用範囲を広くすることができるのではないかと考える.
著者
瀬戸 美江 藤本 健四郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.102-105, 1993-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
14
被引用文献数
4

The oxidative deterioration in refregerated dried sardine was evaluated periodically by several methods as follows:1) Water content was almost constant during 20 days of storage.2) Fat content, POV, CV and organic solvent-soluble fluorescence reached maximum the level after 13 days of storage and then decreased.3) The measurements of intensities of browning of lipids and fluorescence of protein-bound compounds were found to be good indications of oxidative deterioration of dried sardine.
著者
宮澤 陽夫 藤本 健四郎
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

酸化油脂を経口摂取したときの生体毒性の発現機構を知るため, リノール酸メチルヒドロペルオキシドおよびその二次酸化分解生成物(主にカルボニル化合物)を経口投与したときのマウス免疫系組織への影響を調べた.C67BL/6系雄マウス(体重20〜30g)に精製リノール酸メチルヒドロペルオキシド(過酸化物価=6100meq/kg)を90, 190, 270, 310mgずつ経口投与した. また別にヒドロペルオキシドの分解物(カルボニル化合物)を経口投与した. 投与24時間後に, 臓器重量正測定するとともに, 各種臓器組織をHE, PASおよびズダンIII法で染色し, 組織像(肝臓, 胸腺, 脾臓, パイエル板など)を光学顕微鏡で調べた. また, 血清GOTとGPTの活性を測定した. リノール酸メチルヒドロペルオキシドなどの脂質過酸化物を投与したときの胸腺細胞をフローサイトメトリーによるドットプロット分析に供し, 胸腺細胞の変化を調査した.リノール酸メチルヒドロペルオキシドなどの脂質過酸化物を経口摂取したマウスの免疫系組織(胸腺, 脾臓)の重量は顕著な低下を示した. とくに胸腺上皮組織では, 浸潤しているリンパ球の著しい壊死が観察できた. この時胸腺ホモジネートからの自発的な極微弱化学発光量は顕著な増加を示した. また脂質過酸化物を摂取したマウスの脾臓においてはヘモグロビンの変性を示すヘモジゼリンの蓄積が認められ, 一方, 小腸パイエル板においてはリンパ球の壊死が顕著に認められた. ヒドロペルオキシド投与マウス胸腺のリンパ球をフローサイトメトリーで分析すると, 免疫応答能の欠落した容積の小さいリンパ球群の出現が新たに認められた. これらの結果から, 脂質加酸化物を摂取した場合に生体の免疫系組織に大きな障害のあらわれることが明らかになった.
著者
藤本 健四郎 菅野 安広 金田 尚志
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.419-422, 1980-06-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

In the previous paper, the antioxidant effect of capsaicin, the pungent principle of red pepper, has been demonstrated. Capsaicin is a N-vanillylamide whose pungency has been known to depend upon the carbon chain length of the fatty acid moiety. In this paper, to obtain the pungent free N-vanillylamides, which are expected to be useful as antioxidants for foods, syntheses of N-vanillylamides of saturated C12 to C22 fatty acids were carried out, and their pungency and antioxidant activity were determined. As a result, their pungency reduced with the elongation of carbon chain of the fatty acid. That is, compared with C9 amide, the pungency of C14 amide was 1/100 and that of C18 amide decreased to 1/1000. On the other hand, the antioxygenic effect of each synthetic N-vanillylamide on methyl ester of safflower oil was almost equal to that of the natural pungent mixture extracted from red pepper. By addition of 0.02mol/kg of synthetic amides in the substrate, the antioxidant activity was equivalent to that of BHA in 0.02% level. In this level, pungency was not found in the sensory even for C12 amide.
著者
藤本 健四郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.271-276, 2006-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
25
被引用文献数
2
著者
瀬戸 美江 神田 聖子 澤田 崇子 藤本 健四郎
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.251-253, 2006-08-20
被引用文献数
1

食事ごとに使用するたんぱく質供給源食品である魚介類,肉類,卵類,大豆・加工品に対して,緑黄色野菜0.5倍以上,その他の野菜1.0倍以上使用することが,調理をする上で,野菜350g摂取を習慣化するための実践的な方法の一つではないかと考える。
著者
瀬戸 美江 塩谷 知華 澤田 崇子 藤本 健四郎
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.15-21, 2007-02-20
被引用文献数
3 4

世帯構成の違いが,高齢者の食生活にどのような影響を及ぼしているかを検討した。世帯タイプ別の構成割合は夫婦のみの世帯数が最も多く,次いで三世代同居世帯,単独世帯の順であった。アンケート調査では,夫婦のみの世帯が最も食事への満足度が高かったが,食事調査では単独世帯や夫婦のみの世帯では,食事摂取基準値に対する不足が懸念された。三世代同居世帯の高齢者は「好きなおかずがない」ことを不満に感じているが,調理者は「好む料理を作る」ことを最も配慮・工夫しており,世代の異なる家族の嗜好を満足させることの難しさを何うことができた。また,単独世帯の高齢者は家族と会話がないことを不満としており,会話が食事にとっていかに重要かということも分かった。
著者
山田 正子 細山田 康恵 山内 好江 瀬戸 美江 澤田 崇子 藤本 健四郎
出版者
千葉県立保健医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

給食施設等で使用されているメラミン樹脂製食器からのホルムアルデヒドの溶出量および放散量を洗浄回数の影響も含めて知ることを目的に研究を行った。まず、給食施設を対象に、温冷配膳車の設定温度の調査した。その結果、温冷配膳車の保温の設定温度は65℃が最も多く、保冷設定温度は5℃が最も多かった。そこで、メラミン樹脂製食器の加温条件は65℃とした。次に、アセチルアセトン法によりホルムアルデヒドの溶出量の測定を行ったが、測定方法が適さなかったためか測定をすることができなかった。そのため、測定方法を検討し、ホルムアルデヒドを2,4-ジニトロフェニルヒドラジンで誘導体化し測定する方法により測定を継続中である。
著者
瀬戸 美江 藤本 健四郎
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.2-6, 1994-02-20
被引用文献数
5

イワシを冷凍保存する際、脱水シートで包むことにより、ラップフィルムに比べドリップ量が抑えられ、酸化がわずかではあるが抑制された。官能検査においても、脱水シートの方が、焼き色、つや、総合評価において0.1%の危険率で有意差が認められ、全ての項目で脱水シートの効果が認められた。これらの結果より、脱水シートを利用することで、食品のもっている基本的性質をかえないで水分を減少させることが、食品の保存に対して効果があるばかりでなく、旨みを増し、ひいては、おいしさを向上させていることが示唆された。