著者
力丸 真美 谷野 功典 福原 敦朗 佐藤 俊 二階堂 雄文 佐藤 佑樹 東川 隆一 福原 奈緒子 河俣 貴也 梅田 隆志 森本 樹里亜 小泉 達彦 鈴木 康仁 平井 健一郎 植松 学 峯村 浩之 斎藤 純平 金沢 賢也 柴田 陽光
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1_2, pp.85-88, 2018-10-25 (Released:2019-04-02)
参考文献数
15

キノコの屋内栽培では大気中に大量の胞子が浮遊しており,高濃度のキノコ胞子を繰り返し吸入することで感作され,Ⅲ型,Ⅳ型アレルギーの機序により過敏性肺炎を発症する.診断には臨床経過や画像検査所見,環境誘発試験,沈降抗体反応やリンパ球刺激試験など免疫学的所見と病理学的所見の結果を総合的に判断することが重要である.今回我々はナメコ,シイタケ栽培者に発症した過敏性肺炎の2症例を経験したので報告する.
著者
久米 裕昭 冨田 ひかる 福原 敦朗
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.321-327, 2022 (Released:2022-06-11)
参考文献数
27

55歳男.28歳から日本酒の醸造元に勤務.42歳時から麹菌(Aspergillus oryzae)を扱う作業を開始すると呼吸困難感,咳,喘鳴が出現し,作業から離れると症状は消失した.症状は次第に増強し,防塵マスクを着用しても作業を中断するようになり,2019年6月に当科外来を受診.血清学的検査では,アスペルギルス特異的IgE抗体陽性,アスペルギルス沈降抗体陰性,Asp f 1(Aspergillus fumigatusの主要抗原)特異的IgE抗体陰性.肺機能検査は正常で可逆性陰性であったが,経過中にFEV1は400mL,15.9%変動した.PEFの測定では,麹菌の作業直後に20.8%低下した.吸入ステロイド薬(Budesonide),吸入長時間作用性β2刺激薬(Formoterol)の配合剤を用いたSMART療法で症状は軽減した.これらの症状,肺機能から,麹菌によるアトピー性気管支喘息で,III型アレルギーの関与は証明されなかった.これまでに,日本酒醸造の従事者に発症した報告は無く,新たな職業性喘息と考えられる.