著者
福山 秀敏
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.472-479, 1992-05-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
32

銅酸化物高温超伝導体は,強相関系と考えられている.一方で,角度分解型光電子分光の実験によって,バンド計算と矛盾しないフェルミ面が観測されている.この二つの考え方は一見矛盾するように見えるが,強相関系では,励起エネルギーの大きさによって電子状態の特徴が本質申に異なることに注意すれば,それが解消すること,および,フェルミ面の形状をはじめとする低エネルギー励起が,強相関系に対する最も基本的なt-jモデルで記述されることがわかる.特に,現時点で重要な手がかりを与えている磁気的励起に関する実験と理論を比較することにより,ドープ量と温度の平面上での相図に対する統一的理解の可能性を探る.
著者
福山 秀敏
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.614-623, 1976

この数年, 相次いで低次元的な電子系が作り出され, 興味ある新しい現象が見出されている. とくに従来理論的可能性としてしか理解されていなかったバイエルス転移が, 実際に観測されるようになってきた. 現在までに明らかにされた実験的事実と, それに伴い理論的な新しい問題として登場した電荷密度波とそのピン止めを中心に紹介する.