著者
福本 潤也 後藤 雄太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.390-407, 2011

2004年に国土交通省の下に「自動車の検査・点検整備に関する基礎調査検討会」が設けられた.同検討会は自動車検査証の有効期間延長の社会的影響について推計・試算を行い,有効期間の延長が自動車の安全確保と環境保全に甚大な悪影響を及ぼすと結論づけた.しかし,同検討会の推計・試算で重要な位置づけを占める自動車の不具合率の推計は様々な問題を抱えている.本研究では,同検討会の推計が抱える問題を克服するハザード・モデルを提案する.同検討会が不具合率の推計に用いたデータを使用してハザード・モデルのパラメータを推計する.推計結果に基づき,同検討会による社会的影響の推計・試算結果が過大推計であった可能性を指摘する.
著者
上田 孝行 福本 潤也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.688, pp.49-62, 2001-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
45
被引用文献数
3

本稿では, 行動モデル研究に関して筆者らが持っている問題意識を,『観測と被観測の関係』に着目しながら話題提供することを意図している. 取り上げる話題は次の三点である. 第一に, 既往の代表的なモデル作成方法を, 観測と被観測の関係を捉える一つの有力なアプローチである逆問題の考え方に依拠して整理する. 第二に, 観測のための統計情報の利用可能性が広がった場合に, モデルを用いた影響予測や政策評価の信頼性・妥当性の向上を通じて生じる情報価値を, 社会的厚生のタームで把握する問題について議論する. 第三に, 被観測の立場にある主体の選好を行動モデルを通して把握し, それに基づいて政策評価を行う場合に生じうる論理的・倫理的問題について議論する.