著者
小林 敦 長谷川 朗 福田 美穂
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.89-99, 2017-05-01 (Released:2017-05-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

デジタルコンテンツにおける著作権保護の仕組みの一つとして,電子透かしがある。静止画の著作権保護では,放送局,新聞社,雑誌社の他,製造業などでも導入されている。一方,映像の著作権保護では,特定の事業者間のコンテンツ利用契約の順守を目的に導入されたケースはあるが,不特定の個人が動画投稿サイトに不正アップロードするのを抑止する目的では,処理時間と計算機パワーの問題に加えて,DRM(Digital Rights Management)との競合などもあり,導入は進んでいない。しかしながら今後は,DRMを補完する形で不正行為者を特定する用途や,STB(Set Top Box)などエッジ装置での電子透かし埋め込みの可能性もあり,引き続き適用先の開拓を進めてゆく。
著者
福田 美穂 関根 聡
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.800-815, 2023 (Released:2023-06-15)
参考文献数
35

一般ドメインでの固有表現抽出が高い精度を実現するようになった今,研究の目標は化学や医療,金融などさまざまなドメインでの固有表現抽出技術の精緻化へとシフトしている.そこで本論文では,ドメイン依存の固有表現抽出技術応用に関する近年の国内研究動向を報告したい.技術に重点を置いた分析は他文献に譲り,具体的な問題を抱えるさまざまなドメインの読者を念頭に「どのようなドメインでどのような対象に対してどのように固有表現抽出が行われているか」を調査した.4 つの学会大会論文および3つの学会論文誌からドメイン依存の固有表現抽出技術に関する論文を調査したところ,該当する論文のうち約半数が,化学ドメインにおける新規商品開発等支援のための化学物質名・化学物質間関係抽出を主題としていた.その他のドメインは,医療,金融,機械加工,文学,食など多岐にわたり,多様な抽出目的・抽出対象を確認できた.技術的には機械学習を使った手法が主流となっており,とくに本論文の調査期間では BiLSTM-CRF および BERT を使う事例が大勢を占めているが,それらを補完する目的で辞書等の言語資源を組み合わせる手法も多く見られている.
著者
川本 重雄 福田 美穂 福田 美穂 CHO Jaemo PHAN Thanh Hai
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の宮殿建築の特徴を、そこで開かれた儀式の歴史的変化やアジアの宮殿儀式との比較により解明することを目的として研究を実施した。日本の宮殿儀式が儀式の性格に応じて、大極殿院、豊楽院、武徳殿、内裏、神泉苑を使い分けていたことにまず特徴があること、一方で内裏にそうした儀式が収斂していく傾向も早くからあり、それが内裏正殿である紫宸殿の空間や清凉殿の使い方に強い影響を与えていることなどが明らかにできた。また、古代の宮殿儀式を見ると、中国の影響はあるものの、韓国王朝やベトナムのグェン王朝とは異なり、日本的な要素が実はかなり強いことが確認できた。