著者
川本 重雄
出版者
北海道工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

本研究は、大きく分けて三つの内容からなる。一つは、科学研究費補助金の助成を受ける以前から続けていた、『類聚雑要抄』および『類聚雑要抄指図巻』の写本の調査である。これまでに、『類聚雑要抄』については、京都大学菊亭家本・陽明文庫本・内閣文庫本(十三点)・国会図書館本(三点)・宮内庁書陵部本(六点)・群書類従来、『類聚雑要抄指図巻』については、サントリ-美術館本・東京国立博物館本(二点)・慶応大学図書館本・宮内庁書陵部本を調査することができた。二つめは、こうして集めた諸写本をもとにした校合作業である。『類聚雑要抄』は、京都大学菊亭家本を底本に、諸写本と校合した結果を、本年度作成した報告書にまとめた。また、『類聚雑要抄指図巻』については、平成八年度科学研究費出版助成補助金を申請中である図書『類聚雑要抄指図巻』において、その成果を報告する予定である。三つめは、『類聚雑要抄』・『類聚雑要抄指図巻』の成立やその内容についての研究である。従来、『類聚雑要抄』の作者を平知信とする説があったが、その誤りを指摘し、左大臣藤原頼長の家司藤原親隆がその編者であることを明らかにした。また、『類聚雑要抄』各巻の内容を詳細に検討することによって、いくつかの記事の誤りを指摘したり、各巻の成り立ちの差などを明確にすることができた。こうした『類聚雑要抄』についての検討内容は、報告書の中で詳しく述べられている。このほかに、記事の補正の多い群書類従本の『類聚雑要抄』がどのような史料によって補正したかといった問題を現在検討している。

1 0 0 0 OA 日本住宅史

著者
川本 重雄
出版者
建築史学会
雑誌
建築史学 (ISSN:02892839)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.66-88, 1993 (Released:2018-08-19)
著者
川本 重雄
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.473, pp.p19-35, 1987-10
被引用文献数
3
著者
川本 重雄 福田 美穂 福田 美穂 CHO Jaemo PHAN Thanh Hai
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の宮殿建築の特徴を、そこで開かれた儀式の歴史的変化やアジアの宮殿儀式との比較により解明することを目的として研究を実施した。日本の宮殿儀式が儀式の性格に応じて、大極殿院、豊楽院、武徳殿、内裏、神泉苑を使い分けていたことにまず特徴があること、一方で内裏にそうした儀式が収斂していく傾向も早くからあり、それが内裏正殿である紫宸殿の空間や清凉殿の使い方に強い影響を与えていることなどが明らかにできた。また、古代の宮殿儀式を見ると、中国の影響はあるものの、韓国王朝やベトナムのグェン王朝とは異なり、日本的な要素が実はかなり強いことが確認できた。
著者
藤井 恵介 川本 重雄 平山 育男 溝口 正人 後藤 治 大野 敏 藤川 昌樹 光井 渉 大橋 竜太 清水 重敦 藤原 重雄 加藤 耕一 角田 真弓 野村 俊一 上野 勝久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、日本の建築と都市にかかわって、<天災・人災→被害→修理・再建・再生>というプロセスについて、日本の7世紀から20世紀まで、実例を調査、収集する。そして特にその際に起きた技術革新と建築様式の変化を明らかにすることが目的である。主要な成果は以下の通り。①安元3年(1177)に起きた京都大火と治承4年(1180)の南都焼討は、大仏様を誘発する契機となり、和様を中心様式から引きずり下ろした。②明治24年の濃尾地震(1891)は、その後の近代建築の耐震性上昇などの大きな誘因となった。しかし、被害が過剰に報告されるなど、情報が操作された点も多い。
著者
藤井 恵介 川本 重雄 平山 育男 溝口 正人 後藤 治 上野 勝久 大野 敏 藤川 昌樹 光井 渉 大橋 竜太 加藤 耕一 角田 真弓
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

日本建築史の分野において、従来の建築様式史を批判的に検討し、それがもはや現在においては必ずしも有効ではないことを確認した。そして、新たな研究領域が拡大しつつあることを確認して、日本・東アジアの木造建築を対象とする、新しい建築様式史を提案する必要があることを認識した。この5年間で、新しい建築様式史を構築するための基礎的検討を行ったが、具体的な作業は、建築史の全分野、建築史以外の報告者を得て開いたシンポジウムにおける討論を通じて実施した。その記録集10冊を印刷して広く配布した。