著者
田中 法生 福田 陽子
出版者
国立科学博物館
雑誌
筑波実験植物園研究報告 (ISSN:02893568)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.53-58, 1999-12

筑波実験植物園において,サクラソウの遺伝的多様性を維持できる自生地外保全のための基礎データを得るために,園内3カ所のサクラソウ個体群の自然交配による結果率,種子生産量を調査した。これらを自生地2カ所のデータと比較したところ,送粉者が制限され種子生産量が低いと報告されている田島ヶ原の個体群よりも多く,送粉者が多く種子生産量が高いと報告されている北海道の個体群と同程度であることが示された。園内での種子生産は,送粉者の豊富な自生地と同様の良好な状態と評価できる。また,園内において何らかのマルハナバチ類が頻繁にサクラソウを訪花したことが推測された。今回,サクラソウを訪花するマルハナバチ類は確認できなかったが,園内の他の植物に訪花する2種類のマルハナバチ,コマルハナバチとトラマルハナバチが観察された。
著者
福田 陽子 田中 法生
出版者
国立科学博物館
雑誌
筑波実験植物園研究報告 (ISSN:02893568)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.13-18, 2000-12

筑波実験植物園において,サクラソウの遺伝的多様性を維持できる自生地外保全のための基礎データを得るために,サクラソウの主要ポリネーターであるトラマルハナバチによる,春から秋にかけて園内で開花する植物への訪花状況を調査した。その結果,4月下旬から10月上旬までトラマルハナバチが利用する14種類の植物が連続的に開花し,花蜜及び花粉収集行動が観察されたことから,トラマルハナバチが恒常的に活動を行い,コロニーの生活史を全うするのに良好な環境であると評価できた。7月中旬から8月中旬の気温の高い期間に,マルハナバチの減少がみられたが,これは園内の花資源の不足ではなく,夏の高温が原因と考えられた。また今回,サクラソウでビロードツリアブによる花蜜収集が観察されたが,トラマルハナバチの訪花は観察されなかった。しかし花弁に見られた多数の爪痕はマルハナバチ類の訪花の可能性を示した。
著者
児玉 幸子 福田 陽子 佐山 弘樹 小池 英樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.193-196, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本論文では,外部入力に対しインタラクティブかつ複雑に変化するテクスチャのコンセプトと,それを実現するため人工生命モデル“Evoloop”を用いたインタラクティブアート<生きている表面>について報告する.作品では正方形のスクリーン上の図形を画像認識して輪郭線を抽出し,それとスクリーンの淵で囲まれた範囲をEvoloop個体群が生息する空間とする.鑑賞者が図形を動かすと,Evoloopは輪郭線や個体同士と衝突して多くは消滅し,個体の新たな生成・自己複製・進化によって,生息空間に多様性が生まれる.結果的にリアルタイムに変化する抽象のコンピュータグラフィックスが生成される.これら個体群の状態をテクスチャ画像の生成に利用し,別のスクリーン上に動的テクスチャをマッピングした生物の3次元CGを投影する.