著者
遠藤 不比人 秦 邦生 中井 亜佐子 田尻 芳樹 シャムダサニ ソヌ
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

英語圏の人文学研究における「情動理論」を英国モダニズム文学という歴史的文脈で再考察した。特に同時代の精神分析的言説との関連、およびマルクス主義美学の政治的可能性という点に関して、海外の研究者と継続的に英語を使用した会議を開催し、当該テーマをめぐり国際的な研究成果をあげることができた。それを踏まえて、さらに、近代の「心理学化」に抗う「反=心理学」と呼ぶべき言説的系譜が新たな視点として浮上し、それについての国際会議をロンドン大学で行った。
著者
秦 邦生
出版者
青山学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

この研究課題では、従来の文学史・文化史の修正を目指して、1930年代から50年代のイギリス文学・文化を「後期モダニズム」ならびに「後期帝国主義」の観点から研究した。その具体的な研究対象は、ジョージ・オーウェルのディストピア小説、ディケンズ小説翻案、スパイ小説と映画など、多岐にわたった。この研究課題はこれらの文学・映画テクストを、(1)戦後福祉国家体制の成立、ならびに(2)第二次世界大戦から冷戦へと至る、イギリスをとりまく国際関係の変容、という文脈に置くことで、それらが現実との葛藤のなかで形成されるプロセス、ならびに、社会批判やユートピア的な可能性がそれらの作品に記録される過程を浮き彫りにした。
著者
秦 邦生
出版者
津田塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、<情動>についての近年の批評的関心の台頭を踏まえて理論的枠組みを構築しつつ、英国モダニズム文学が同時代の「公共性」の変容過程に積極的に参入するさまを検証した。<情動>を個別作品の内面性や自律性を掘り崩す要素と見なすことで、シンクレア、ワイルド、ウルフなど、さまざまな作家の作品が同時代社会に批評的に介入し、それらが共同体の再編に向けたユートピア的衝動に駆動されているさまを浮き彫りにした。