著者
稲垣 長典 西尾 正子 服部 マリ子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.282-287, 1965-07-15 (Released:2009-04-21)

(1) 電子レンジによる食品中の微量成分の変化をみるために,まず各種ビタミンの変化と脂肪の酸化状態を調べた。(2) ビタミンAについてはレンジ,オーブン同様でともにAの損失は少ない。B1については濃度1000γ%の場合沸騰に達する時間でレンジにては約5%,オーブンにては約12%の損失があり,レンジのほうが損失は少ない。B2についてはB1ほど損失大でなく,レンジでもオーブンでも大差ない。Cについては高濃度にてはレンジ,オーブンに差はないが低濃度になるに従いレンジのほうが残存率高くなる。すなわち10mg%の液を沸騰させるまでにレンジでは約10%,オーブンでは約30%の損失である。これらの傾向は食品の場合でも同様であった。(3) 脂肪の酸化状態を酸価,過酸化物価,TBA値カルボニル価より検討した結果,加熱により酸化されるがレンジ,オーブンの間には大きな差はなかった。
著者
山西 貞 花井 精子 福原 恵子 稲垣 長典
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大学自然科学報告 (ISSN:00298190)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.101-108, 1954-08

我々は,比較的精度がよくて簡単な罐詰魚肉(赤身魚肉)の鮮度判定法を見出した。この方法は,魚肉の水抽出液中のHistamineをPaper Chromatographyにより定量し,判定の目やすとするものである。この場合,Histamineの量はHistamine-Spotの面積から算出する。実際に,この方法をサンマ水煮罐詰魚肉の検査に適用し,従来の揮発性塩基やTrime-thylamineの定量による方法より優れていることを認めた。終りに,この研究において有益なご助言を頂いた当研究室の辻村みちよ教授,ならびに研究の進行に種々の面でご援助頂いた東大農芸化学藤巻正生講師に深甚の謝意を表する。