著者
稲葉 浩幸
出版者
近畿大学
雑誌
商経学叢 (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.149-165, 2003-12-20

本稿では, ファイアマークの図案を分析し, その由来や意図を検証することを目的とする。ファイアマークとは火災保険契約の証として, 被保険者宅に取り付けられたプレートのことであり, わが国では1887年に設立された東京火災のファイアマークが最古のものである。ファイアマークの役割は, 消防組織が消火活動を行う際の目印また保険会社の広告・宣伝という実益的な機能がクローズアップされるが, そのデザインには「水」や「魔除け」といった図案が多用され, 防火の「お守り」としての側面も見られる。こうしたファイアマークの歴史的・文化的価値を評価し, わずかに現存するファイアマークを保存していく必要がある。
著者
稲葉 浩幸
出版者
近畿大学
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.255-266, 2006-12-20

わが国に近代的な生命保険事業が紹介されたのは,1867年の福沢諭吉『西洋旅案内』が最初とされる。明治維新以後,政府は富国強兵・殖産興業をスローガンに資本主義化を推進し,1881年にはわが国初の近代的な生命保険会社,明治生命が開業した。黎明期の生命保険事業は類似保険および経営基盤の脆弱な生保会社の乱設などの諸問題を抱えながらも,保険業法制定,第一生命保険相互会社の創立と順調な発展を遂げた。生命保険の浸透にともない,小説の題材としても次第に生命保険が登場するようになった。本稿では,黒岩涙香『生命保険』(1890年)と夏目漱石『吾輩は猫である』(1905年)の2編を採り上げ,その内容を生命保険の観点から検証する。
著者
稲葉 浩幸
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Kinki University journal of business and economics (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.1-18, 2003-12-20

"本稿では, ファイアマークの図案を分析し, その由来や意図を検証することを目的とする。ファイアマークとは火災保険契約の証として, 被保険者宅に取り付けられたプレートのことであり, わが国では1887年に設立された東京火災のファイアマークが最古のものである。ファイアマークの役割は, 消防組織が消火活動を行う際の目印また保険会社の広告・宣伝という実益的な機能がクローズアップされるが, そのデザインには「水」や「魔除け」といった図案が多用され, 防火の「お守り」としての側面も見られる。こうしたファイアマークの歴史的・文化的価値を評価し, わずかに現存するファイアマークを保存していく必要がある。HIROYUKI INABA. Features of Fire Marks in Japanese Insurance Companies. In this paper, fire marks' designs are analyzed and it aims at verifying those origins and intentions. Fire marks are the plates attached in the insured's houses as a proof of a fire insurance contract, and the fire mark of the Tokyo fire insurance company founded in 1887 is the oldest thing in Japan. As fire marks' roles, there are utility-functions of the mark at the time of a firefighting organization performing fire-extinguishing activities and the advertisement of insurance companies. However, designs, such as ""water"" and a ""talisman"", are used abundantly and the side as a ""charm"" of fire prevention is also looked at by Japanese fire marks. It is necessary to evaluate such fire marks' historical value and cultural worth, and to save the fire marks who are slightly living."
著者
稲葉 浩幸
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.15-30, 2010-07

本稿では, わが国に近代的保険業が誕生した明治期に創刊された, 宮武外骨による諷刺雑誌『滑稽新聞』と北沢楽天による漫画雑誌『東京パック』の中から, 保険について書かれた記事を抜粋し, 創成期の保険業の状況を解読することを目的とする。特に, 当時人気を博した諷刺漫画は, 辛らつかつ滑稽味に溢れた作風で保険の制度や保険会社を鋭く調刺した。 (英文) This paper looks at Gaikotsu Miyatake 'Kokkei Newspaper' and Rakuten Kitazawa 'Tokyo Pack' from the viewpoint of insurance after Meiji era in Japan. Especially, the popular caricatures sharply satirized the system of insurance and the insurance company at Meiji ear by the style that had sense of humor and bitter irony.