著者
中川 裕美 稲葉 美穂 後藤 祐充 笹舘 夏来 三宅 敏恵 小林 敦子 鈴木 貴博 下澤 達雄
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.654-660, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
16

血中カリウム(potassium; K)値は腎機能などによって変動するが,体内での変動とは別に,検体の溶血や採血時のクレンチングなどの条件によって偽高値を示すことがある。今回,これらに問題はなく一過性に高K血症をきたした症例を経験した。この症例ではカリウムを多く含む食事の影響が推測されたため,その検証を行ったので報告する。同意が得られたボランティア12名を対象に,患者から聞き取りを行った内容と同様の食事を摂取させ,食前,食後1時間,2時間で血清Kと尿K,尿クレアチニン(creatinine; CRE)を測定した。個人別の変動では,12名のうち2名において血清K値が食後1時間で0.7 mmol/L上昇,食後2時間の尿K/CREが60 mmol/g·CRE上昇した。また,血清K値は食前の値に対して食後1時間**,2時間*で有意に上昇し,尿K/CREは2時間**で有意に上昇した(*p < 0.05, **p < 0.01)。12名のうち5名で血清K値が0.3 mmol/L以上上昇しており,この群では食後1時間の尿Kの排泄量が少なく食後2時間で大きく増加していることより,K排泄が遷延していると考えられた。今回の検討で,健常者においても短時間で食後の血清K値の上昇を認めたことから,臨床像と乖離のある高K血症においては採血手技や検体の取り扱いの確認だけでなく,食事内容や食後の時間経過の聞き取りも重要であると考えられた。
著者
皆口 正一 丸山 久一 稲葉 美穂子 坂田 昇
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.87-92, 1996-06-17

現在、高流動コンクリートの材料分離だけを定量的に評価する方法はなく、スランプフロー試験時の目視によって評価している。よって、これに代わる簡単かつ是量的な方法の確立が望まれている。本研究では、高流動コンクリートの材料分離、特にペーストの分離を定量的に評価する測定方法としてキッチンペーパーを用いた方法を考案し、その有効性を検討した。その結果、ペーパーの付着量の大小によって高流動コンクリートの材料分離を定量的に判断できることが分かり、また、この方法を使用することで材料分離の観点から高性能減水剤の限界添加量を見い出せることが分かった。