著者
神野 卓之 芳村 学 中村 孝也
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.1201-1206, 2001-06-01
参考文献数
2

本論では,旧基準による鉄筋コンクリート柱を対象とした実験結果に基づく地震応答解析によって,兵庫県南部地震におけるコンクリート系建物の中間層崩壊について検討した。また,海外で屡々見られる複数層にわたる崩壊が兵庫県南部地震ではほとんど見られなかった要因についても検討した。その結果,兵庫県南部地震で中間層崩壊した建物に作用した入力地震動の大きさが分かり,また,入力がそれよりも大きければ,複数層で崩壊した可能性もあること,など,が分かった。
著者
西村,次男
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, 1998-06-30

一方向繊維強化プラスチックロッドを構成する各種繊維が,純水,酸性およびアルカリ性の溶液によってどのような劣化を生じるかをより厳しい環境下(温度80℃,湿度60±2%)で劣化促進浸潰試験を実施し,浸漬試験後に繊維の強度ならびに走査電子顕微鏡を用いて微視的に観察し,各種繊維の劣化を明らかにした。その結果,アラミド繊維からなるテクノーラは,耐化学薬品性において強度低下は余り認めらず耐化学薬品性に優れていることが明らかとなった。しかし,アラミド繊維からなるケブラーk49,ガラス繊維およびかボン繊維は溶液の種類によってなんらかの影響を受け強度低下することが明らかとなった。
著者
田野崎 隆雄 野崎 賢二 白坂 優 成島 良輔
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.337-342, 1995-06-01
参考文献数
4
被引用文献数
3

今後発生が増加し、有効利用が望まれている石炭火力発電所の石炭灰を、コンクリート混和材利用の面から評価した。122Lotの石炭灰ーフライアッシュを評価した結果、混和材利用に当たって問題とされている単位水量比,空気連行量の管理を、BET比表面積法で管理可能なことを見出した。BET法は、メチレンブルー吸着量等より簡単迅速な評価方法である。
著者
鳥居 和之 佐藤 政勝 上田 信二 川村 満紀
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.889-894, 1995-06-01
参考文献数
7

明治44年に建設された鉄筋コンクリートアーチ橋(石川橋)の解体調査にて得られた主鉄筋、配力鉄筋およびエキスパンドメタルの腐食性状、力学的性質、化学成分および金属組織の特徴を調べた。その結果、主鉄筋の強度規格は現在のSR235に相当するものであるが、鉄筋の伸びは現在のものよりもかなり大きいことが判明した。また、鉄筋の化学成分および金属組織に関しても興味深い知見が得られた。鉄筋の各種分析の結果に基づいて、当時の鉄筋の製造方法や製造地(国産または外国産)、鉄筋の腐食性状との関連性について考察している。
著者
倭 富士桜 藤田 修一 下田 政朗 水沼 達也
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.375-380, 1995-06-01
被引用文献数
5

新規ポリエーテル系高性能AE減水剤は、長鎖のポリエチレングリコール鎖と2種の吸着基(スルホン酸基・カルボキシル基)を有す構造からなる。この構造がセメントに対して吸着する過程と吸着形態が、分散、分散保持及び凝結に対して有効となる。即ち、長鎖のポリエチレングリコール鎖がバルキーな吸着層を形成して立体障壁となり、高分散性に、また吸着基の組成比から吸着速度を制御してスランプコントロールを可能とした。更にセメントに対し吸着点となる分子中の吸着基量が少ないことからセメントの水和反応を阻害しない特徴を持つ。
著者
海原 卓也 小林 薫 石橋 忠良
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.1171-1176, 1999-06-21
被引用文献数
3

RCラーメン高架橋柱やRC橋脚において、阪神大震災級の地震に対して部材の耐震性能を向上させるためには、より変形性能を大きくする必要がある。しかしながら、帯鉄筋を多量に配置し、変形性能として部材のじん性率が10以上となるRC柱の地震時変形性能はまだ明らかにされていない。本研究は、帯鉄筋比が0.6%以上となるRC柱部材の交番載荷試験結果より、RC柱の地震時変形性能評価の基礎となる部材降伏時変位算定法を提案するものである。
著者
横関,康祐
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 1998-06-30

東京都芝給水所は,明治27〜29年に建設された地下式給水所施設であり,底版や煉瓦作りの側壁・隔壁目地材としてコンクリートやモルタルが使用されている。本構造物の解体・新設工事に伴い,我が国でも数少ない100年以上もの長年月を経たセメント系材料の物理的・化学的変質挙動を調査した。その結果,表面から70mm程度はカルシウムに代表されるセメント分の溶出に伴い,水酸化カルシウムやC-S-Hの化学的変質が進行し,表面部には強度低下が確認されたものの,入念な施工がなされていたため40mm以深では,十分な性能を有していることが確認された。.
著者
石川 裕次 岡本 晴彦 石井 修 廣重 隆明
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.1389-1394, 1997-06-01
参考文献数
6

端部S造中央RC造梁について、RC部主筋をU字形定着とし(1)鉄骨フランジ面のスタッドの有無,(2)中央RC造部から端部S造部に移行するSC部におけるせん断補強を変数とした曲げせん断実験を行った結果、以下のことが分かった。Lスタッドの有無により最大耐力が異なる。H.鉄骨フランジ面にスタッドを設けることによってSC部でのてこ反力を低減し、端部S部の材料特性を反映した紡錘形の復元力特性が得られる。
著者
盛岡 実 萩原 宏俊 坂井 悦郎 大門 正機
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.157-162, 1999-06-01
参考文献数
11
被引用文献数
7

膨張材を混和したセメントペーストの化学収縮は無混和のセメントペーストと比較して大きい。膨張材無混和のペーストは自己収縮を示したが,膨張材を混和したセメントペーストは自己膨張を示した。自己体積変化と化学収縮の差より,水和物によって埋められなかった空隙について検討した。膨張材を混和したセメントペーストは,無混和のペーストと比較して結合水量が大きく,化学収縮も大きい一方で,自己膨張を示したことより,水和物によって埋められなかった空隙の他に,水和物によって創り出された空隙が存在することが明らかとなった。
著者
鈴木 紀雄 井上 貴之 永井 覚 丸太 誠
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.547-552, 1999-06-01
参考文献数
2
被引用文献数
3

鉄筋コンクリート造柱一フラットスラブ接合部の周囲に配筋されたフープ筋の効果を調べることを目的とした実験を行った。その結果,水平力方向のスラブ筋に巻いたフープ筋は変形能力を向上させること,水平力に直交する方向のスラブ筋に巻いたフープ筋は,ねじり強度と変形能力を増大させることが明らかとなった。
著者
前田 安美 馬場 望 西村 泰志
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.1147-1152, 2000-06-01
参考文献数
2

本研究は,はり貫通形式RCS接合部に関して,鉄骨フランジ上下面に形成される水平圧縮束によってなされる内部パネルから外部パネルへの応力伝達の効果を実験的に検討した。その結果,E-FBPは水平圧縮束を形成させる働きを有し,水平圧縮束に作用する力は鉄骨フランジ上下面に集中的に配置されたせん断補強筋の引張力によって外部パネルに伝達され,その引張力は外部パネルにアーチ機構を形成するのに大きく寄与することが示された。
著者
石森 広 斉藤 満
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.997-1002, 1997-06-09

静的および繰返し圧縮載荷を受けた軽量骨材コンクリートの塩化物イオン透過性をAASHTOT-277に基づく急速塩化物イオン透過性試験法を用いて検討した。荷重レベル100%に至るまでの静的圧縮載荷を受けた軽量骨材コンクリートの塩化物イオン透過性は、荷重無載荷の場合と大差ない結果となり、115万回に至るまでの荷重繰返しもまた軽量骨材コンクリートの塩化物イオン透過性に大きく影響しないという結果が得られた。これらの結果は、すでに公表した静的および繰返し圧縮載荷を受けた普通骨材コンクリートの塩化物イオン透過性とは大きく異なるものであることが明らかになった。
著者
小澤 満津雄 国森 亮平 車戸 克巳 森本 博昭
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.631-636, 2000-06-01
参考文献数
1
被引用文献数
1

本研究では,近年実施工への使用が増大している高強度コンクリートについて,若材齢時のクリープ試験により(1)載荷時材齢の影響,(2)載荷応力についての線形性,(3)圧縮クリープと引張クリープの相違点について検討した。その結果,(1)圧縮クリープおよび引張クリープとも載荷時材齢が大きくなるとクリープの進行が小さくなる(2)圧縮クリープは,載荷応力比40%以下の範囲で載荷応力についての線形性が認められた。一方,引張クリープは計測値のばらつきが大きく単位クリープに対する載荷応力の影響は確認できなかった(3)本研究の範囲では圧縮および引張クリープの挙動に明確な差異は認められなかった,などの知見が得られた。
著者
小原 和宏 鎌田 則夫 森山 智明
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.1219-1222, 1995-06-01

鉄道の2線2柱7径間ラーメン高架橋(L・70m)を地中梁のない1柱1杭高架橋とした場合、地震時による大きな荷重が作用した時の破壊モードや耐力について弾塑性解析による検討牽行った。地中梁有り構造は水平震度0.375の曲げ降伏耐力で設計しているが、地中梁無し構造の場合は0.50まで曲げ降伏耐力を上げることにより、水平震度1.0程度の耐震性能を確保できる。
著者
皆口 正一 丸山 久一 稲葉 美穂子 坂田 昇
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.87-92, 1996-06-17

現在、高流動コンクリートの材料分離だけを定量的に評価する方法はなく、スランプフロー試験時の目視によって評価している。よって、これに代わる簡単かつ是量的な方法の確立が望まれている。本研究では、高流動コンクリートの材料分離、特にペーストの分離を定量的に評価する測定方法としてキッチンペーパーを用いた方法を考案し、その有効性を検討した。その結果、ペーパーの付着量の大小によって高流動コンクリートの材料分離を定量的に判断できることが分かり、また、この方法を使用することで材料分離の観点から高性能減水剤の限界添加量を見い出せることが分かった。
著者
弘中 義昭 鬼頭 誠 末永 充弘 登坂 敏雄
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1347-1352, 1996-06-17

吹付けコンクリートの施工性および品質の向上を目的として、シリカフユームや細骨材の0.15mm以下の微粒分を混入した吹付けコンクリートの現場施工試験を平成2年度以来,北陸新幹線加越,五里ケ峯,新倶利伽羅トンネルにおいて行ってきた。これらの結果、吹付けコンクリートのリバウンドおよび粉塵濃度抑制等の施工性が向上するばかりでなく,品質面においても硬化体が緻密化することによる高強度化,AE減水剤の添加により凍結融解抵抗性の向上等,吹付けコンクリートの高品質化にも大きな効果があることを確認した。