著者
森 弥広 宇野 祐一 小林 一輔
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1939-1944, 2003-07-01
被引用文献数
2

太平洋戦争末期に建造され,戦後は瀬戸内海の漁港において防波堤の役割を果たしている,2隻の鉄筋コンクリート貨物船についての調査結果を報告する。船体から採取したコアについて,中性化,圧縮強度,塩化物の浸透状況,鉄筋腐食などを調べた。その結果,高濃度の塩化物を含んでいる鉄筋コンクリート部材であっても,コンクリートの組織が密実であれば海洋環境下においても,優れた耐久性を示すことを確認した。
著者
加藤 啓介 幸左 賢二 宮薗 雅裕 小沼 恵太郎
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.1081-1086, 2007-07-30

じん性補強をした集鹿大橋をプロトタイプモデルとして,同規模の地震が繰り返し発生した場合の耐震性能を評価した。非線形動的解析の結果,初期損傷で主塔部や橋脚基部が終局曲率に対して0.1〜0.6φ、程度の損傷であるならば,今回のようなじん性補強を行うことで,2波目による損傷度はほとんど変化しないことが明らかとなった。また,2波目の応答が1波目に対して大きく異なるケースに対しても履歴ループの特性から照査を行った。
著者
倭 富士桜 藤田 修一 下田 政朗 水沼 達也
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.375-380, 1995-06-01
被引用文献数
5

新規ポリエーテル系高性能AE減水剤は、長鎖のポリエチレングリコール鎖と2種の吸着基(スルホン酸基・カルボキシル基)を有す構造からなる。この構造がセメントに対して吸着する過程と吸着形態が、分散、分散保持及び凝結に対して有効となる。即ち、長鎖のポリエチレングリコール鎖がバルキーな吸着層を形成して立体障壁となり、高分散性に、また吸着基の組成比から吸着速度を制御してスランプコントロールを可能とした。更にセメントに対し吸着点となる分子中の吸着基量が少ないことからセメントの水和反応を阻害しない特徴を持つ。
著者
海原 卓也 小林 薫 石橋 忠良
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.1171-1176, 1999-06-21
被引用文献数
3

RCラーメン高架橋柱やRC橋脚において、阪神大震災級の地震に対して部材の耐震性能を向上させるためには、より変形性能を大きくする必要がある。しかしながら、帯鉄筋を多量に配置し、変形性能として部材のじん性率が10以上となるRC柱の地震時変形性能はまだ明らかにされていない。本研究は、帯鉄筋比が0.6%以上となるRC柱部材の交番載荷試験結果より、RC柱の地震時変形性能評価の基礎となる部材降伏時変位算定法を提案するものである。
著者
曽良岡 宏 足立 正信 本田 国保 田中 浩一
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.1123-1128, 2001-06-08
被引用文献数
4

実大規模で製作したボックスカルバートの2試験体を用いて水平載荷実験を行い,主鉄筋量および内空幅の違いが構造物全体系としての水平耐力および変形性能に及ぼす影響について検討した。その結果,主鉄筋量が多いと水平耐力は大きいが荷重低下時の変形が小さいこと,また,内空幅が広く主鉄筋量が少ない場合は,耐力は小さいが水平荷重が低下するときの変形は大きいこと,さらに鉛直部材のせん断破壊によって頂版の沈下量が増加することなどが分かった。
著者
石森 広 斉藤 満
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.997-1002, 1997-06-09

静的および繰返し圧縮載荷を受けた軽量骨材コンクリートの塩化物イオン透過性をAASHTOT-277に基づく急速塩化物イオン透過性試験法を用いて検討した。荷重レベル100%に至るまでの静的圧縮載荷を受けた軽量骨材コンクリートの塩化物イオン透過性は、荷重無載荷の場合と大差ない結果となり、115万回に至るまでの荷重繰返しもまた軽量骨材コンクリートの塩化物イオン透過性に大きく影響しないという結果が得られた。これらの結果は、すでに公表した静的および繰返し圧縮載荷を受けた普通骨材コンクリートの塩化物イオン透過性とは大きく異なるものであることが明らかになった。
著者
小原 和宏 鎌田 則夫 森山 智明
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.1219-1222, 1995-06-01

鉄道の2線2柱7径間ラーメン高架橋(L・70m)を地中梁のない1柱1杭高架橋とした場合、地震時による大きな荷重が作用した時の破壊モードや耐力について弾塑性解析による検討牽行った。地中梁有り構造は水平震度0.375の曲げ降伏耐力で設計しているが、地中梁無し構造の場合は0.50まで曲げ降伏耐力を上げることにより、水平震度1.0程度の耐震性能を確保できる。
著者
安田 敏夫 今田 直登 沖 誠一 青木 茂
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.1237-1242, 2001-06-08
参考文献数
7

広島ガス(株)廿日市工場において建設を行っているピットイン式(地中式)のNo.2LNGタンク(85,000kl)では,土留め支保として高強度の連続地中壁(以降,連壁と称す)を採用した。この連壁の設計基準強度は60N/mm^2,配合強度80N/mm^2であり,骨材事情が特に厳しい西日本の連壁としては,最も高強度の領域である。この報文では,この連壁に用いた高強度コンクリートの施工時の品質管理結果および施工結果について報告する。
著者
越川 武晃 上田 正生 内山 武司 和田 俊良
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.301-306, 2001-06-08
被引用文献数
2

本研究は,著者らが既に報告済みの補強材の付着すべりを考慮したPC梁部材の材料非線形解析手法を,スパン-梁丈比が比較的小さな梁部材の場合に無視し得なくなる横せん断変形の影響をも考慮し得るように発展させた荷重増分法に基づく矩形断面を有するPC梁部材の材料非線形曲げ解析法について報告するものである。即ち,まずこの問題に対する全ポテンシャル・エネルギー汎関数を導き,次いで,これを用いて有限要素法への定式化を行っている。更に,本解析値と著者らのPC梁の実験結果および既往の実験結果との比較により,本解析法の妥当性を検証している。
著者
樋口 雅也 河合 研至
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.1531-1536, 2002

実際のコンクリート構造物のライフサイクルにおける環境負荷を,CO2排出量,廃棄物量から総合的に評価した。その結果,建設資材の製造に伴う環境負荷が圧倒的に大きく,次いで施工に伴う環境負荷が比較的大きいことがわかった。また,DtT(Distancc-to-Target)法やエココストなどの手法を用いることにより,環境負荷の統合化が可能であることが明らかとなった。
著者
皆口 正一 丸山 久一 稲葉 美穂子 坂田 昇
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.87-92, 1996-06-17

現在、高流動コンクリートの材料分離だけを定量的に評価する方法はなく、スランプフロー試験時の目視によって評価している。よって、これに代わる簡単かつ是量的な方法の確立が望まれている。本研究では、高流動コンクリートの材料分離、特にペーストの分離を定量的に評価する測定方法としてキッチンペーパーを用いた方法を考案し、その有効性を検討した。その結果、ペーパーの付着量の大小によって高流動コンクリートの材料分離を定量的に判断できることが分かり、また、この方法を使用することで材料分離の観点から高性能減水剤の限界添加量を見い出せることが分かった。
著者
林 大介 坂田 昇 三村 俊幸 神沢 弘
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.415-420, 2001-06-08

本研究では,1回の塗布でコンクリートに浸透し,かつ施工時に飛散や液ダレが生じにくいシラン・シロキサン系撥水材の施工に際し,最も効果的な塗布方法を把握することを目的とした実験を実施した。その結果,シラン・シロキサン系撥水材の塗布において,エアレススプレーを使用する場合とローラーを使用する場合で浸透深さに差異はなく,いずれの場合も塗布方向の違いによる浸透深さの違いはないことが分かった。また,水セメント比が高く,表面水分率が低いコンクリートの方がより深く浸透すること等が分かった。
著者
鈴木 雅博 酒井 博士 孕石 孝平 六郷 恵哲
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.121-126, 2001-06-08

耐衝撃部材は,安全性を確保するために衝撃作用下の部材の靱性を向上あるいは変位復元性を向上させる必要がある。これを実現するため,短繊維補強PCはりを提案した。本研究では,その衝撃特性を把握するために,短繊維の有無及びプレストレス量を変化させた部材を作製し,落下高さを漸増させる重錘落下試験を実施した。その結果,短繊維補強PCはりは,(1)短繊維補強をしていないPCはりと比較して最大支点反力が増加し,かつ,塑性域でのはりの残留変位が小さくなり高い復元性を示すこと,(2)部材損傷を小さくする効果があること,等が認められ,耐衝撃性能の向上が認められた。
著者
丸山 一平 長井 宏憲 野口 貴文 友澤 史紀
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.823-828, 2000-06-01

本研究は,構造物に要求される性能から材料に求められる性能が定義できるという仮定の元で,要求された性能を満たすコンクリートの調合設計手法を確立することを目的としたコンクリートの要求性能型調合設計に関する基礎的研究である。本研究ではコンクリートに対する多くの要求性能値を同時に満たす調合問題を多目的最適化問題として扱い,遺伝的アルゴリズムを用いて,その解を導出するシステム構築を目指したところ、一定の成果が得られた。
著者
近松 竜一 近藤 紀人 中嶋 智史
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1035-1040, 2002-06-08
被引用文献数
1

コンクリート工事におけるせき板部を対象とした養生材料として,型枠を脱枠した後,硬化コンクリートの表面に貼付して乾燥を防ぐ養生用保水テープを開発し,その適用効果について検証した。この保水テープは,表面が多少濡れていても容易に貼付でき,また屋外に放置した状態でも3ヶ月以内であれば糊残りなく剥がすことができる。コンクリートを打ち込んだ後,早期に脱枠しても,保水テープを貼付することにより表層部に緻密な硬化組織が形成され,施工計画の自由度を高め,計画どおりの保水効果が期待できる有用な養生工法であることを確認した。
著者
弘中 義昭 鬼頭 誠 末永 充弘 登坂 敏雄
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1347-1352, 1996-06-17

吹付けコンクリートの施工性および品質の向上を目的として、シリカフユームや細骨材の0.15mm以下の微粒分を混入した吹付けコンクリートの現場施工試験を平成2年度以来,北陸新幹線加越,五里ケ峯,新倶利伽羅トンネルにおいて行ってきた。これらの結果、吹付けコンクリートのリバウンドおよび粉塵濃度抑制等の施工性が向上するばかりでなく,品質面においても硬化体が緻密化することによる高強度化,AE減水剤の添加により凍結融解抵抗性の向上等,吹付けコンクリートの高品質化にも大きな効果があることを確認した。
著者
三好 征夫 桝田 佳寛 安田 正雪 荒金 直樹
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.361-366, 1998-06-30
被引用文献数
2

通常の強度レベルで目標スランプフローが450mmの,若干の締固めは必要であるが,流動性に優れ,じゃんかなどの施工欠陥を作りにくい分離低減剤を用いた準高流動コンクリートの開発を目標として,高性能AE減水剤や分離低減剤の使用量,粗骨材量を変化させて,スランプフローやVロート流下時間などのフレッシュ性状や硬化物性を検討した。この結果,準高流動コンクリートは,少量の分離低減剤を使用し,350〓/m3程度の粗骨材量で,建築用の軟練りのコンクリートと高流動コンクリートの中間に位置する諸性状を有することが明らかとなった。