- 著者
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立平 良三
保科 正男
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.5, pp.325-333, 1993-05-31
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
-
2
10年間のアメダスの毎時雨量を解析して,30mm/h以上の大雨の発生度数がどのような日変化をするかを調べた.各都府県毎に平均をとった場合の日変化は様々であるが,相関係数を類似の尺度として幾つかのグループに分けることを試みた.その結果,大まかな傾向として,次の三つの特徴的なグループの存在が見いだされた.(1)西日本の南西斜面の大雨早朝から午前にかけて発生度数が高く,また季節的には梅雨末期に当たる7月に多い.地形的には,南西風が海から直接に吹きつける領域であり,亜熱帯高気圧の縁辺を廻ってくる熱帯海洋気団中で発生する大雨の特徴と考えられる.(2)本州中部の大雨夕刻から夜にかけて発生のピークがあり,季節的には盛夏の8月に多い.熱雷的な性格の大雨と考えられる.ただし,南東風による地形性の降雨が卓越する沿岸の都県では,台風が原因と考えられる副次的なピークが9月に現れている.(3)西日本の南東斜面の大雨大雨の発生が一日中ほとんど変わらず,しかも高い発生の状態が続く.これは西日本で南東風が海から吹きつけるような地形の領域で発生する大雨で,台風など熱帯低気圧に伴う大雨と推定される.