著者
竹内 久美子
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.109-112, 1989-03-11

緘黙児の理解と治療的アプローチに関する研究の中で,近年内面へのアプローチの重要性が指摘されている。 筆者は緘黙児のより深い理解と治療の手がかりのために,緘黙児の自己意識を明らかにしようとした。その方法は,(1)全道の児童相談所に依頼し得た緘黙児26名についての横断的分析,(2)自己意識に関する資料(SCT・その他)の分析(3)K中学校の協力により参加観察が可能となった一名の事例研究の3つを採用した。その結果明らかになったことは,1)発症時期が3歳〜7歳に集中している。2)症状に多様性があり,しかもそれらは相互に移行的である。3)緘黙に由来する学業不振がある。4)乳幼児期における親との接触経験が少なく,現在の家庭に対する評価がnegativeである。5)内気・自信欠如・孤独・神経質・攻撃的・過敏・頑固ということが彼らの性格特徴としてまとめられる。6)外界の知覚に歪曲や遮断の傾向が認められる。7)緘黙児は現実世界に適応したいという切なる願いをもっていながら,自己実現への努力を放棄せざるを得ない状態にあるため,自己意識に限局や歪みが認められる。一般に人は自己の理想とするところに少しでも近づくために何らかの現実的手段を用いて日々努力するが,緘黙児にそれは認められないことがある。自己実現という観点から緘黙の症状をみると,夢・空想によって自己を実現する段階から,攻撃的な行為・イタズラ・幼児返りにより自己実現しようとする段階,そして表現活動がおさえられ身体反応まで限局されている,というような三つの段階があることを仮設的に提示した。
著者
浜田 和幸 竹内 久美子
出版者
ワック
雑誌
Will : マンスリーウイル
巻号頁・発行日
no.202, pp.266-276, 2021-10
著者
内田 正剛 河添 竜志郎 鈴木 圭 竹内 久美 田尻 美穂
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.109, 2007

【はじめに】<BR> 当事業所は独立型の訪問看護ステーションであり、訪問を通して生活支援のための福祉用具の導入に関わることも多い。今回我々は、身体機能の変化等によりリフト移乗を中止していた症例に対し、吊り具の調整とリフト操作方法の再検討により再導入に至る経験ができた。経緯や吊り具の調整方法などについて若干の知見を得たので報告する。<BR>【症例紹介】<BR> N.O氏、33歳男性診断名:筋萎縮性側索硬化症(H16.6診断)。現病歴:H2歩行困難、筋力低下が徐々に進行、H12呼吸不全となり気管切開、H15人工呼吸器開始、同年呼吸停止し低酸素脳症発症し意識レベルJCS300の寝たきり状態。H17.10.14より全身状態の維持管理を目的に当ステーションの訪問看護・訪問リハビリテーションが開始となった。<BR>【経過】<BR> 訪問開始時の家族の希望として、ベッドからのリフト移乗の再開と訪問入浴時の安全性の確保、介護者の負担軽減のためのリフト使用があった。しかし、リフト使用を中止するまでの吊り下げられた姿勢は座位姿勢に近く、著しい低血圧と頚部のコントロール不良によりそのままでは再開は困難であった。主治医や家族と共に現状でリフト移乗が可能な姿勢の確認をおこなった結果、仰臥位で水平に近く、頭頸部に無理な屈曲を強いらない姿勢であれば可能との結論となった。直接本人で試行ができなことから、事業所内スタッフ間で吊り具の調整方法や手順の確立を図った。結果として脚分離フルサイズ吊り具で水平位に近づくよう長さを調整し、ネックサポートの使用で頸部への負担軽減を図った。また、リフトで吊り上げた際の吊り具の張力が足側へ偏重することを防止するために、両膝窩部にクッションを入れ屈曲位保持させた。H18.1から母親とともに症例への試行を実施し良好な結果となった。その後、訪問時に母親への吊り具装着、操作方法の指導を継続し、H18.3には母親一人でも操作可能となり、ストレッチャーへの移乗や訪問入浴へのリフト使用など生活内へ導入となった。<BR>【考察】<BR> リフトや吊り具等の福祉用具は、対象者の身体機能や用途に合わせ選定、調整、適応する段階付けが必要である。これらは症例の状態変化においても検討調整が繰り返し求められる。生活支援とはその対象者と福祉用具と環境を組み合せてプランニングすることであり、訪問リハビリテーションにおいて我々セラピストは生活の可能性を見出し、実現する役割が求められると考える。
著者
竹内 久美子 日高 敏隆
出版者
文芸春秋
雑誌
本の話
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.60-65, 1995-10