- 著者
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南石 晃明
竹内 重吉
篠崎 悠里
- 出版者
- 農業情報学会
- 雑誌
- 農業情報研究 (ISSN:09169482)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.3, pp.159-173, 2013 (Released:2013-10-01)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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11
本稿では,全国アンケート調査に基づいて,農業法人経営における事業展開,人材育成およびICT活用の最新動向とその関連を明らかにした.まず第1に,経営規模拡大(売上高や従事者数の増加)の実態を明らかにした.第2に,売上高が増加すると経常利益が黒字の経営が増加することを明らかにした.第3に,経営規模拡大の重要戦略である事業多角化の主要共通課題が,「人員・人材確保」,「技術・ノウハウ」,「従業員育成」などの人材確保・育成と,「販路の開拓」や「情報の発信方法」などのマーケティングであることを明らかにした.第4に,経営規模拡大(従事者数)により,「作業マニュアルの作成」などの人材育成項目に取組む経営が増加することを明らかにした.第5に,ICTの活用動向および人材育成との関連について明らかにした.具体的には農業法人経営のほとんどはパソコンや携帯電話などを業務で利用しており,1~2割は各種センサー類を利用している.経営規模の大小を問わず経営のほとんどは,「財務管理」にICTを活用しているが,経営規模によってセンサー類による「情報の計測」や「自動制御」の活用割合は異なる.経営規模(従事者数)が増加するとほとんどの項目で活用割合が増加する.さらに,ICTを活用した人材育成・能力向上の取組では,「情報の整理・共有化」の取組割合は,経営規模(従業員数)に比例的に増加するが,「作業支援・判断支援」は,経営規模(従業員数)が一定の規模を超えると急増する.