著者
楢崎 幸範 竹村 俊彦 天野 光 石川 徹夫 藤高 和信
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.847-855, 2013 (Released:2013-11-29)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

福岡県における東京電力福島第一原子力発電所事故による2011年3~5月の大気中人工放射性核種濃度及び沈着量と経時変化並びに放射線による初期段階での被ばく線量を評価した。空間放射線量率は37±2.1nGy/hであり,事故の影響による線量の上昇は認められなかった。大気浮遊じんから131I,134Cs,136Cs,137Cs及び132Teが微量検出された。131Iは事故から2週間後に,134Cs及び137Csは3週間後から検出した。大気中の総131I量は14mBq/m3,134Csは11mBq/m3及び137Csは9.5mBq/m3であった。4月6~7日には大気移流による比較的高濃度のプルームを観測した。大気拡散シミュレーションにより,このプルームが福島第一原子力発電所起因であることを解析した。日間降下物からは人工放射性核種は検出されず,月間降下物からは131I,134Cs及び137Csを検出した。3か月間の総降下量は131Iが4.2Bq/m2,134Csが0.85Bq/m2及び137Csが0.84Bq/m2であった。上水試料からはこの間に検出された人工放射性核種は見られなかった。検出された人工放射性核種からの内部被ばく及び外部被ばくによる実効線量は0.23μSv/yであり,人体に健康影響を与える線量ではなかった。
著者
中島 映至 竹村 俊彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.997-999, 2009-12-31
被引用文献数
1
著者
竹村 俊彦
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.237-241, 2009-12-20 (Released:2009-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

The aerosol effects on the climate system are roughly divided into three categories: direct, indirect, and semi-direct effects. Observations from satellites and ground with remote sensing and numerical models have been developed to understand and estimate aerosol effects on a global scale. In the latest assessment report of the Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) , however, there are still large uncertainties in their radiative forcings in comparison with the estimation of long-lived greenhouse gases. To reduce the uncertainties, we have to study the three-dimensional aerosol distributions and the cloud-aerosol interaction more accurately. It is important to observe aerosol vertical profiles with lidar, one of the active sensors, to understand the three-dimensional aerosol distributions as well as to continue observations with passive sensors. The data assimilation, which harmonizes numerical models with observations, is also an effective method to reduce the uncertainties. A cloud resolving model coupled with an aerosol transport model is a useful tool to better understand the cloud-aerosol interaction. Efforts to analyze the aerosol climate effects quantitatively will result in more reliable projection of the future climate change and elucidating climate system.
著者
原 由香里 佐竹 晋輔 鵜野 伊津志 竹村 俊彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.719-728, 2004-10-31
参考文献数
16
被引用文献数
3

2000年から2002年にかけて日本における黄砂観測日数は急激な増加傾向を見せたが,2003年は一転して非常に観測日数の少ない年となった.このような黄砂現象の年々変動のメカニズムを明らかにするため,領域ダスト輸送モデルを用い,1993〜2003年の11年間の春季)2月20日から4月30日)を対象に黄砂の発生・輸送過程のシミュレーションを行った.黄砂観測日数データやTOMS Aerosol Indexを用いた比較から,モデル結果は観測された年々変動を再現していることが確認された.また,シミュレートされた黄砂現象の年々変動から,黄砂多発年と非多発年の間には大気境界層内の輸送経路や輸送量に明らかな違いが見られた.更に,ECMWF客観解析データを用いた気象場の解析から,モデル結果の発生量と発生源域の強風発生頻度の間には強い相関が見られ,ジオポテンシャル高度のアノマリー解析から発生源域の強風発生頻度や輸送経路が説明されることが明らかとなった.