著者
鶴田 治雄 大浦 泰嗣 海老原 充 大原 利眞 森口 祐一 中島 映至
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

東電福島第一原子力発電所事故直後における大気中放射性物質の時空間分布の解明のため、大気環境常時測定局で使用されている、β線吸収法浮遊粒子状物質(SPM)計中の使用済みテープろ紙に採取された放射性セシウムの分析を、これまで東北地方南部と関東地方南部の99地点で実施して、その解析結果とデータ集を2つの論文(Tsuruta et al., Sci. Rep., 2014; Oura et al., JNRS, 2015)で公開した。その後、第一原発から約4km及び16km近傍に位置したSPM局2地点(双葉、楢葉)における事故直後のテープろ紙の提供を受け、SPM中の放射性セシウムを分析した結果の概要を報告する。まず、SPM計が東日本大震災直後も正常に作動していたかどうかを調べて慎重に検討した結果、信頼できると判断した。そこで、2011年3月12-23日(楢葉は3月14-23日)の期間、1時間連続採取されたSPM試料中のCs-134とCs-137濃度を分析した。また、これらのデータを総合的に解析するにあたり、福島県のモニタリングポスト(MP;上羽鳥、山田、繁岡、山田岡など)と第一・第二原発のMPの空間線量率、気象庁のAMeDAS地点と1000hPaの風向風速なども利用した。その結果、これまでの99地点のデータだけではわからなかった、原発近傍の大気中放射性セシウム濃度の詳細な時間変化が、初めて明らかになった。原発より北西方向に位置する双葉では、Cs-137が高濃度(>100 Bq m-3)となったピークは、3月12-13日、15-16日、18-20日に6回も測定され、その多くはプルーム/汚染気塊として、さらに北西~北方へ運ばれたことが明らかになった。また、原発より南側に位置する楢葉でも、高濃度のピークが、3月15-16日、20-21日に6回測定され、その多くは、プルーム/汚染気塊として、風下側の関東地方か福島県南部に運ばれた。これらのプルーム/汚染気塊は、これまでの論文で明らかにしたプルーム/汚染気塊と良い対応が見られたが、今回の測定で新たに見つかったものも、いくつか存在した。また、近くのMPの空間線量率のピークとCs-137濃度のピークとを比較した結果、両者のピーク時間がほぼ一致し、良い対応関係が見られた。とくに、3月12日午後3時における双葉でのCs-137の高濃度のピークは、近くのMPで期間中に最大となった空間線量率のピーク時間とよく一致し、放射性物質のFD1NPP近傍での動態が、詳細に明らかになった。謝辞:2地点のテープろ紙を提供してくださった福島県に感謝します。この研究は、文科省科研費「ISET-R」と環境省推進費「5-1501」で実施中である。
著者
河崎 善一郎 牛尾 知雄 森本 健志 高木 伸之 王 道洪 中島 映至 林 修吾 ARTHUR Jim MAY Peter CHRISTIAN Hugh WILLIAMS Earle HOELLER Hartmut
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、オーストラリア・ダーウィン地域において、雷嵐観測網を構築し観測を実施した。稠密と広域観測装置を併用した観測網を展開し、豪気象局とも連携して、雷放電開始位置とその領域に存在する降水粒子の分布が時々刻々得られ、正負両極性の電荷が蓄積される領域の境界付近に放電開始点が多く分布し、更に稠密観測からその放電路が境界を沿うように進展し、やがて落雷に至る様子が再現された。中和電荷量推定も行い、積乱雲が世界で他に例を見ないほど高くまで成長する巨大積乱雲ヘクターにおいて、ヘクターの成長と共に中和される電荷の位置も上昇する現象が確認された。
著者
鶴田 治雄 中島 映至
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.99-111, 2012-07-16 (Released:2017-02-18)
参考文献数
34
被引用文献数
3

Massive radioactive materials were released into the atmosphere after the accident of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FD1NPP) caused by the Tohoku Earthquake and Tsunami on 11 March 2011, and transported and deposited to the land surface in a regional scale. A large amount of dataset has been opened such as the routine monitoring of radiation dose, fallout, and the regional map of radionuclides deposited to the surface soils by an intensive field measurement and aircraft monitoring by MEXT. In contrast, continual field measurements for atmospheric radioactivity were made only at seven stations in the Kanto area, while they are necessary to evaluate the initial radiation exposure, to validate results of atmospheric transport models, and to estimate the emission inventory of radionuclides. In this review, the following five points are introduced. (1) Summary of release rate estimation from the FD1NPP by the combination of WSPEEDI-II with atmospheric radioactivity of 131I and 137Cs and radiation dose. (2) The possible mechanisms of many peaks of radiation dose during 11-16 March 2011 which were measured at the monitoring posts near the FD1NPP. (3) Possible mechanism of regional transport and the surface deposition of radionuclides. (4) Summary of atmospheric 131I in aerosols and gases, and 131I/137Cs in the atmospheric radioactivity. (5) An intensive one-year field measurement of atmospheric radioactivity of 137Cs at Fukushima and Koriyama since May 2011.
著者
鶴田 治雄 大浦 泰嗣 海老原 充 森口 祐一 大原 利眞 中島 映至
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.244-254, 2017-12-20 (Released:2018-01-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2

The spatio-temporal distributions of atmospheric 137Cs concentrations in and around the Fukushima prefecture just after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FD1NPP) accident were retrieved, by measuring radionuclides in suspended particulate matter (SPM) hourly collected on used filter-tapes of operational air quality monitoring stations. Analyzing a published dataset of radiocesium (134Cs and 137Cs) at around 100 SPM monitoring sites, 10 radioactive plumes/polluted air masses in which the maximum 137Cs concentrations were higher than 10 Bq m-3 were found in the period of March 12–23, 2011. In these plumes, 5 plumes were transported to the eastern and/or central parts of the Fukushima prefecture, and another 5 plumes were transported to the Kantou area located more than 100 km south of the FD1NPP, respectively. In the period, the maximum 137Cs concentration of about 575 Bq m-3 was observed in the east coast of the Fukushima prefecture on the evening of March 12, 2011, after a vent process and the hydrogen explosion of Unit 1. Furthermore, high 137Cs concentrations of around 10 Bq m-3 were found in the northern part of the FD1NPP on the morning of March 21 when a strong northerly wind began to blow. These results indicate that further study is expected on the relationship between the release of radionuclides and the events happened in the reactors of the FD1NPP, and on the effects of the vertical structure of the atmosphere on the surface concentrations of radionuclides.
著者
恩田 裕一 山本 政儀 山田 正俊 北 和之 竹中 千里 浅沼 順 中島 映至 篠原 厚 神田 穣太 五十嵐 康人
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

1.領域内の相互啓発と情報共有:全計画研究班の研究が円滑に進むよう統括を行った。WEB中継会議システムを活用して全構成員間のより緊密な連携を図った。 2.研究支援活動:「データベースワーキンググループ」を統括し、事故発生以降の環境データ、モデリングデータ、分析データを使いやすい形で整理し、関係研究者に提供した。また「分析チーム」を統括し、分析がIAEAスタンダードになるようproficiency testの結果を反映させた。3.公募:各計画研究の補完・推進を目的として採択した第ニ期公募案件について研究支援を行った。
著者
中島 映至 竹村 俊彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.997-999, 2009-12-31
被引用文献数
1
著者
鶴田 治雄 中島 映至
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.99-111, 2012
被引用文献数
1

Massive radioactive materials were released into the atmosphere after the accident of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FD1NPP) caused by the Tohoku Earthquake and Tsunami on 11 March 2011, and transported and deposited to the land surface in a regional scale. A large amount of dataset has been opened such as the routine monitoring of radiation dose, fallout, and the regional map of radionuclides deposited to the surface soils by an intensive field measurement and aircraft monitoring by MEXT. In contrast, continual field measurements for atmospheric radioactivity were made only at seven stations in the Kanto area, while they are necessary to evaluate the initial radiation exposure, to validate results of atmospheric transport models, and to estimate the emission inventory of radionuclides. In this review, the following five points are introduced. (1) Summary of release rate estimation from the FD1NPP by the combination of WSPEEDI-II with atmospheric radioactivity of <sup>131</sup>I and <sup>137</sup>Cs and radiation dose. (2) The possible mechanisms of many peaks of radiation dose during 11-16 March 2011 which were measured at the monitoring posts near the FD1NPP. (3) Possible mechanism of regional transport and the surface deposition of radionuclides. (4) Summary of atmospheric <sup>131</sup>I in aerosols and gases, and <sup>131</sup>I/<sup>137</sup>Cs in the atmospheric radioactivity. (5) An intensive one-year field measurement of atmospheric radioactivity of <sup>137</sup>Cs at Fukushima and Koriyama since May 2011.
著者
中島 映至 太田 幸雄 竹内 延夫 高村 民雄 沼口 敦 遠藤 辰雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、ほぼ当初予定した計画以上の成果をあげて終了した。主な成果としては、(1)船舶用のスカイラジオメーターが全自動で稼動し、観測船白鳳丸やみらいによる観測のみならず日本-オーストラリア間の2つの商船航路において定期観測を実現できた。それによって幅広い緯度範囲においてエアロゾルの気性積算の光学特性が明らかになりはじめた、(2)エアロゾル気候モデルがほぼ完成し、自然起源と人為起源のエアロゾルの放射強制力がシミュレーションできるようになったことが挙げられる。その結果、エアロゾルの一次散乱アルベドがアジアの広域において0.8から0.9と言う低い値であり大きな太陽放射吸収を引き起こしていること、そのために、産業革命以降の人為起源エアロゾルの直接効果による全球平均放射強制力は今まで言われていたものよりもかなり小さく-0.20W/m2程度であることが明らかになった。人為起源の硫酸塩エアロゾルと有機炭素エアロゾルによる冷却効果(日傘効果)の約半分が黒色炭素エアロゾルによる加熱硬化によって相殺されている。また、人工衛星によるエアロゾルと雲の光学的特性のリモートセンシング手法が確立され、1990年の1,4,7,10月の4ヶ月に適用された。その結果、低層の水雲の光学特性がエアロゾル粒子の気柱総数に依存する「エアロゾルによる間接効果」をはじめて全球規模で確認できた。産業革命以降の人為起源エアロゾルが海上で引き起こした間接効果の大きさは-1W/m2程度であると推定される。
著者
中島 映至
出版者
社団法人 日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.185-188, 1987-03
著者
高村 民雄 久世 宏明 鷹野 敏明 中島 映至
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

平成16年度は以下の研究成果を得た.[GMS-5を用いた放射収支及び雲の放射強制量の高精度評価の為の雲の光学的性質の再検討]これまで,GMS-5を用いて1996年以降の雲量,地表面輝度温度,地表面日射量(収支量)の毎時データを継続的に求めてきた.これらの物理量に対してSKYNET(本研究グループが中心となって,東アジアに展開・運営している高精度雲・エアロソル・放射観測網)による雲・放射に関する各種観測量を利用して,これまで作成したプロダクトの精度評価を行った.その結果,快晴時の推定精度が良好なのに対し,曇天時には,日平均量で50W/m2以上になる大きな誤差が認められる事が分かった.この誤差は短波放射収支に大きな誤差をもたらすことから,その原因究明とアルゴリズムの改善を図った.誤差の要因は,雲の評価,中でもその光学的厚さ推定の正確さにある.この推定に誤差が入る要因には,次のものが予想される;(1)センサーの劣化による感度低下,(2)量子化誤差,(3)推定アルゴリズム,(4)雲自身がもつ非均質性に由来するもの等.センサー劣化については,既に過去に幾つかの研究があり当研究室でも解析を行ってきた.その結果年間数%の割合で劣化を起こしていることが確認された.また,GMS-5と並行して取得されたMODISデータを併用して検討した結果,この誤差を定量的に評価することができた.一方,可視センサーは,6ビットA/D(64階調)変換能力しか持たず,特に低反射率時に高分解能になる様な感度特性を持っている.その結果,薄い雲では比較的精度良く推定できるのに対して,厚い雲では極めて誤差が大きいことが明らかになった.MODISとGMS-5の幾何学的位置の違いは,雲の3次元構造の影響を評価するのに効果的である.同一視野に対するこの影響を評価した.これらの結果は,衛星データの推定アルゴリズムの改善に反映される.
著者
住 明正 中島 映至 久保田 雅久 小池 俊雄 木本 昌秀 高木 幹雄
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

3年計画の最終年度であるので、今までの研究成果の取りまとめを中心に研究活動が行われた。まず、陸域班では、顕熱・潜熱フラックス、アルベド、土壌水分などの物理量の推定が第2年度に引き続き行われた。海洋班では、ほとんどの月平均フラックス求められたので、それらを用いて、海洋内部の熱輸送などが解析された。その結果、西太平洋暖水域の維持機構について、中部太平洋で暖められた水が西に移流される、という関係が明らかになった。大気班では、大気中のエアロゾルや、雲の微物理量の推定が行われ、世界で初めて、広域・長期にわたるデータが得られた。植生班では、NOAAのGACデータを再処理することにより、新しく、土地利用分布を解析した。モデル班では、衛星データのモデルへの取り込みについて研究を深め、マイクロ波による水蒸気データの影響が大きいこと、高度計のデータが非常に重要であることなどが得られた。又、衛星データとモデルを用いた大陸規模の熱輸送・水輸送の推定が行われた。最近の衛星データを用いることにより、この推定が改善されることが示された。成果報告会も2回開催し、又、成果報告書も年度末に刊行する予定である。