著者
竹田 琢 亀岡 恭昂
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47091, (Released:2023-10-27)
参考文献数
14

大学の授業でワークショップ実践者を育成する際,学生が読み手である教員を強く意識することで,多様なリフレクション記述が阻害される可能性がある.そこで本研究では,初心者を対象にワークショップ実践者育成を行う短期大学の授業において,仮想の読み手として「過去の自分」を設定することでリフレクションを支援し,その効果を検討した.その結果,単に経験を「報告」する記述が減り,自分自身が取り組んだ経験について省察する「応用」の記述が増え,多様な観点から批判的で将来の行動に繋がるリフレクションができるようになる可能性が示唆された.
著者
竹田 琢
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.23, no.Special, pp.S133-S140, 2024 (Released:2024-03-20)

大学の授業で行われるグループワークでは,しばしば雑談が行われている。雑談は関係構築機能を有するが,授業内グループワークにおいては学習目標を阻害するものとして扱われ,雑談に焦点を当てた検討はほとんどなされず,その相互行為の内実は明らかにされていない。そこで本研究では相互行為分析の手法を用いて,グループワークにおける雑談に焦点を当て,学生がグループワークにおける雑談を通じて何を達成しているのかについて検討を行う。対象は短期大学の授業における最終回で行われた振り返りを目的とするグループワークである。分析では,まず雑談がグループワークにおいて頻繁に発生していることを検証した。次に相互行為分析により,雑談の前後を含む場面の検討を行った。その結果,学生は雑談することで志向を共有し,全員で新たな話題に参加していることが明らかになった。学生はグループワークを全員が参加できるものにするために,雑談を利用している可能性が示された。