著者
笠原 春香 松尾 博一
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集 第72回(2022) (ISSN:24367257)
巻号頁・発行日
pp.277, 2022 (Released:2022-12-22)

日本の大学スポーツ振興における関心は、スポーツ基本計画の一部に大学スポーツの振興が位置付けられたことをきっかけに高まりをみせてきた。その後、大学スポーツの振興に関する検討会議を経て具体的な議論が進められ、第二期スポーツ基本計画では、2022年3月までの具体的な計画目標として大学内におけるスポーツ分野を統括する部局の設置と100大学へのアドミニストレーター配置の促進が掲げられた。しかし、それらの設置や配置は一定進んだものの、目標の達成には至っていないのが現状である。さらに、大学スポーツ統括部局の実態は大学によって千差万別で、それらを一律に評価する評価項目がないために、実態を客観的に把握することは難しい。従って、まずは客観的な評価指標を用いて組織の状態を適切に評価し、その改善に向けた施策を検討することができる体制を整える必要がある。そこで本研究では、組織構造の3次元の観点(専門化・公式化・集権化)から、大学スポーツ統括部局の評価項目を策定し、日本の大学スポーツ統括部局の組織構造を客観的に評価すると共に、その望ましいあり方を提案することを試みた。大学スポーツ統括部局を有する12大学を調査対象として属性アンケートと半構造化インタビューを行い、定性比較法を用いてデータ分析を実施した。その結果、専門化では6つ、公式化では4つ、集権化では6段階の評価項目が抽出された。先行研究においては、組織は高度な専門化と公式化を有することが推奨されているが、調査対象の大学スポーツ統括部局の組織構造を評価したところ、すべての部局で低い専門化と公式化の組織構造であることが示された。集権化については、大学の方針によって適切なあり方(分散型・集権型)は異なるが、いずれの場合でも、上位の意思決定者と下位の意思決定者が少ないレポートラインで結ばれていることで、適切な集権化を実現しやすいことが明らかとなった。
著者
小笠原 春香:筆頭著者 大木 友美 井原 緑
出版者
昭和大学保健医療学部
雑誌
昭和大学保健医療学雑誌 (ISSN:1349029X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.80-86, 2013-03

消化器癌術後患者への食事指導の実際と看護師の認識を明らかにすることを目的に、A病院の消化器外科病棟に勤務する臨床経験3年以上の看護師5名を対象に半構成的面接を行った。内容分析の結果、消化器癌手術後の食事指導の実際として、【患者に合わせた時期とパンフレットの使用】【患者の気持ちに寄り添った指導】【患者に合わせた指導場面の設定】などのカテゴリーが抽出された。また、食事指導に対し看護師は、業務の中で【優先業務は生命・安全】と考えている一方で、【食事指導への思いと現実のギャップ】や【したいけどできない現実に対する後悔】が生じており、満足のいく食事指導ができない《介入できないジレンマ》を感じていることが分かった。