著者
朝日 元生 高嶋 和毅 築谷喬之 北村 喜文 岸野 文郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3879-3889, 2008-12-15

本研究では,マウスポインティング時にC-D比が運動特性に与える影響を調査し,適切なC-D比に関する指針を提案することを目的とする.C-D比とはカーソル速度を決定する指標であり,ディスプレイ上のカーソル移動距離に対するマウス移動距離の比と定義される.運動特性とC-D比の関係を調査するために,2段階の実験を行った.実験1では一般的なGUI環境で,実験2では大画面環境でポインティング実験を行った.実験1では効率的なポインティングを行うために適切なC-D比は,0.125∼0.25という結果となり,実験2では0.0625が適切なC-D比であるという結果となった.これらの結果から,ポインティング動作を行う際に動的にC-D比を変更することの有効性が示唆された.また,どちらの実験においても,極端に小さいC-D比条件(0.0625)では,素早くターゲット付近に到達できるが,直感性の低下を招く可能性があり,ポインティング効率(ポインティング時間)と直感性(速度波形の歪み)にはトレードオフの関係が見られた.また,ピーク速度が検出される位置やターゲット突入時のカーソル調整に必要な距離はどちらの実験でもC-D比に依存していなかったことから,ポインティング運動の計画は主にターゲット距離によってのみに決定されることが示唆された.
著者
藤田 和之 高嶋 和毅 築谷 喬之 朝日 元生 伊藤 雄一 北村 喜文 岸野 文郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.11, pp.2454-2465, 2010-11-01

ユーザによる単純な操作に複数のカメラ操作を連動させ,効率良く地図を閲覧することができるインタラクション手法としてAnchored Zoom (AZ)とAnchored Zoom and Tilt (AZT)の二つを提案する.二次元の地図を俯瞰する三次元的なカメラ視点を用い,AZではズームを,AZTではズームとチルトをパン操作に連動させ,ユーザの指定する地図上の1点を常にビューポートに収めるよう制御する.これら2手法のパフォーマンスを評価するため,ペン入力の環境において,従来手法であるPan & Zoom (PZ)及びSpeed-dependent Automatic Zooming (SDAZ)と比較する実験を行った.画面外オブジェクトの獲得タスクと位置把握タスクの二つを実施した結果,提案手法が従来手法に比べ距離感や方向感覚を失うことなく,より高速にオブジェクトを獲得できることが分かった.