著者
篠崎 淳 牛田 享宏
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.214-221, 2008-03-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
43

痛覚系は元来,侵害刺激から身を守るために重要なシステムであるが,組織が修復されているにもかかわらず痛みが持続し,患者を苦しめることがある,痛みは不快な感覚・情動を伴う主観的体験であり,固体が持つ要因による差が大きいことから,客観的評価を行うことが困難であった.近年,イメージング技術の発展により疼痛に関する脳内基盤が明らかにされつつあり,主に第一次・第二次体性感覚野,島皮質,前帯状回,前頭前野内側部が痛みの情報処理に関与していることがわかっている,さらにこれらの領域の中でも前帯状回と島皮質は痛みの情動的側面を担っているという傍証が多い.これらの領域の活動をイメージング技術でとらえることにより,慢性疼痛などの疾患に対する評価の方法として臨床応用していくことで,感覚面・情動面を統合した集学的治療が必要な痛みの治療に貢献できるものと考えられる.
著者
篠崎 淳一 数馬 恒平 佐竹 元吉 近藤 一成 紺野 勝弘
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.134-140, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

自然毒,特に有毒植物の誤食による食中毒は症状が重篤なことが多く致死率が高いことが特徴である.そのため,原因植物の迅速かつ正確な同定が求められている.本研究では1989~2015年に厚生労働省に報告された植物による食中毒事例を調査した.植物由来食中毒の傾向を鑑みて,発生件数の多い4種(バイケイソウ類,チョウセンアサガオ類,トリカブトおよびスイセン)および死亡事例があるイヌサフランの迅速・簡便な同定法を構築した.PCR-RFLP法を利用した本法は電気泳動像において,有毒植物では2本,食用植物では1本のバンドを検出することで判定できる.また,本法は簡便な操作で,高価な機器を必要とせず,短時間に一義的な結果が得られる.また,調理した試料に対しても適用可能である.