著者
猪狩 裕紀 牛田 享宏
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.1216-1220, 2021-11-18 (Released:2022-01-14)
参考文献数
2

痛みは誰もが日常生活の中で経験する現象である.痛みは,ヒトだけでなくあらゆる生物が,生存競争を勝ち抜いていくために欠かせないものであるが,一方で,性状や持続時間はさまざまで,個人差も大きく,特に慢性的に続いているもの(慢性疼痛)については防御的な意義は乏しくなっている面もあり,病態は複雑である.したがって,慢性疼痛の治療にあたっては神経メカニズムに基づいた分類(侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛,痛覚変調性疼痛)や現象学的な要素も含めた病態分類(ICD-11における慢性1次性疼痛や慢性2次性疼痛)などを行い,適切な治療を行っていく必要がある.
著者
水谷 みゆき 牛田 享宏 西原 真理
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.191-202, 2017-09-15 (Released:2017-09-26)
参考文献数
30

Chronic pain is a complex state that involves unpleasant emotion, autono­mic responses, helplessness against pain and movement disorder, as well as the sensation of pain itself. These memorized responses influence the present experience and behavior of the patient. A single treatment option is not enough to treat such a complex clinical state. Thus, our facility has several treatment programs to fit individual patients’ needs. We applied an individualized hypnotic approach to 161 patients who had not shown satisfactory improvement and were considered suitable subjects for psychotherapy.A hypnosis session consisted of the introduction stage, which prepared the therapeutic contexts accommodated to the change in chronic pain as well as each patient’s history, and the induction stage, which mainly targeted non–pain body sensations. Among the patients who tried hypnosis, 71.1% experienced in–session analgesia (ISA), and 46.3% experienced out–of–session analgesia (OSA). The most of the first ISA was experienced before approximately the 10th session, and the most of the first OSA was experienced by approximate­ly the 15th session after ISA.Based on the process and degree of analgesia, the number of sessions, the leaning rate of self–hypnosis, and the patients’ characteristics and experiences in the above process, we attempted to determine the conditions under which the patients were successfully engaged in hypnosis, the stage of changes in their chronic pain, and the inhibitory factors against analgesia. Despite clinical differences among the patients and their pain situations, their responses to the hypnosis implied the importance of achieving pain cessation through their own therapeutic efforts.
著者
篠崎 淳 牛田 享宏
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.214-221, 2008-03-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
43

痛覚系は元来,侵害刺激から身を守るために重要なシステムであるが,組織が修復されているにもかかわらず痛みが持続し,患者を苦しめることがある,痛みは不快な感覚・情動を伴う主観的体験であり,固体が持つ要因による差が大きいことから,客観的評価を行うことが困難であった.近年,イメージング技術の発展により疼痛に関する脳内基盤が明らかにされつつあり,主に第一次・第二次体性感覚野,島皮質,前帯状回,前頭前野内側部が痛みの情報処理に関与していることがわかっている,さらにこれらの領域の中でも前帯状回と島皮質は痛みの情動的側面を担っているという傍証が多い.これらの領域の活動をイメージング技術でとらえることにより,慢性疼痛などの疾患に対する評価の方法として臨床応用していくことで,感覚面・情動面を統合した集学的治療が必要な痛みの治療に貢献できるものと考えられる.
著者
池本 竜則 中田 昌敏 梶浦 弘明 宮川 博文 長谷川 共美 井上 雅之 下 和弘 牛田 享宏
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-40, 2014-03-10 (Released:2014-03-29)
参考文献数
19

Musculoskeletal pain and other clinical complaints are known to increase with age, however its relationship to these symptoms remains unclear. In this study, we investigated the correlation between musculoskeletal pain and other clinical complaints. Questionnaires containing self–reported complaints collected from 3891 people over 30 years old were used for our study. Serf–reported complaints comprised of 33 items including three musculo­skeletal disorders (knee, low back, neck) and another thirty complaints. Firstly, we divided subjects into the following eight different categories by their musculoskeletal condition; a group without musculoskeletal disorder (Control), a group with knee pain alone, a group with low back pain alone, a group with neck stiffness alone, three groups which had overlapping pain in above two regions and a group with overlapping pain in all regions. Secondly, we investigated the epidemiological background and analyzed the number of other complaints in each group.   In terms of epidemiological background, the ages in groups with any musculoskeletal disorders were significantly higher than those in control. Moreover, groups with musculoskeletal disorders except low back pain alone were significantly more prevalent in women. Groups with any musculo­skeletal disorders had significantly greater numbers of other complaints compared to control. Comparing the three groups with mono–regional pain, we discovered the number of other complaints was more significant in the group with neck stiffness than in the other two groups. The theoretical number of other complaints in a group with pain in all regions was significantly greater than the sum in each group with mono–regional pain.   These findings suggest that musculoskeletal disorders are not only a regional problem but also affect other organs in the human body, followed by an increase of other unidentified complaints.
著者
櫻井 博紀 佐藤 純一 青野 修一 新井 健一 井上 真輔 西原 真理 畠山 登 尾張 慶子 西須 大徳 牧野 泉 牛田 享宏
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.336-341, 2019-12-20 (Released:2020-03-14)
参考文献数
19

Patients who complain of chronic pain have various symptoms and complicated pathologies, and there are often cases in which the symptoms worsen due to weather changes. However, few studies have examined the nature of pain affected by weather changes. In this time, we investigated the characteristics of patients with weather–related pain. As results, their pain intensity is moderate and they can maintain moderate daily activity. But in psychosocial factors, they have low self–efficacy and high catastrophic thinking. As treatment for chronic pain, exercise therapy managed by a therapist is highly recommended in non–drug therapy. Patients with weather–related pain often complain at head and neck shoulders. Evidences on the effects of exercise therapy for these body parts have also been reported. We hope that capturing the characteristics of patients with weather–related pain will lead to more appropriate treatments tailored to the pathological condition of the patients.
著者
牛田 享宏
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.507-511, 2023 (Released:2023-11-01)
参考文献数
7

痛みは誰しもが経験するものであるが,病気やけがが治っても痛みが残るなどすると非常に苦しい経験が続いてしまうことになる.国際疼痛学会(IASP)は3~6カ月続く痛みを慢性疼痛と定義しているが,長引いているケースにおいては器質的な要因だけでなく心理社会的な要因も関与して持続することも多い.そのため世界保健機関(WHO)とIASPでは国際疾病分類(ICD-11)の中でその分類を定めており,骨関節あるいは神経系の問題に直接的に起因するタイプを慢性二次性疼痛症候群とし,器質的な要因があってもそれだけで説明が困難なものを慢性一次性疼痛と分類している.慢性二次性疼痛症候群のメカニズムについては神経障害性疼痛や侵害受容性疼痛などのモデル動物実験などを通じて明らかにされてきている.一方で慢性一次性疼痛は臨床的には線維筋痛症,慢性腰痛,過敏性腸症候群,舌痛症などがカテゴリされるが,これらについては多彩な養育経験や環境因子などが関与しており少なからず器質的な要因もかかわって,神経系の感作が引き起こされる痛覚変調性疼痛の病態を形成していることも多い.現在,痛覚変調性疼痛についても基礎医学的なメカニズムの解明が進んできているところであり,それらを包括した形での治療の方向性の模索が必要と考えられる.
著者
西上 智彦 池本 竜則 山崎 香織 榎 勇人 中尾 聡志 渡邉 晃久 石田 健司 谷 俊一 牛田 享宏
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P1018, 2009 (Released:2009-04-25)

【はじめに】前頭前野は記憶の形成などに大きく関与しており,慢性疼痛患者においても神経活動にModulationが引き起こされていることが明らかになっている.同部位の機能低下は注意力の低下,社会的認知能力の低下,意欲の低下を惹起している可能性があり,慢性疼痛患者においても治療をより難渋する要因となる.しかし,痛み刺激に対する前頭前野の脳血流量がどのようなタイミングで応答しているかについては未だ明らかでない部分も多い.また,前頭前野における脳血流の変化と痛みとの関係も明らかでない.本研究の目的は痛み刺激に対する前頭前野における即時的な脳血流変化を脳イメージング装置を用いて検討することである.【方法】対象は事前に研究目的と方法を十分に説明し,同意が得られた健常成人15名(男性9名,女性6名,平均年齢27.3±3.0歳)とした.痛み刺激は温・冷型痛覚計(ユニークメディカル社製,UDH-300)を用いて,49°Cの熱刺激をプローブにて右前腕に30秒間行った.痛み刺激終了後に痛みの程度をvisual analog scale(VAS)にて評価した.脳血流酸素動態は近赤外光イメージング装置(fNIRS,島津製作所製,OMM-3000)にて測定した.測定部位は前頭前野とし,国際10-20法を参考にファイバフォルダを装着した.測定開始前は安静とし,酸素動態が安定した後に測定を開始した.解析対象は測定開始からの10秒間(ベースライン),刺激開始からの10秒間(初期),刺激開始10秒後からの10秒間(中期),刺激開始20秒後からの10秒間(後期)の酸素化ヘモグロビン(oxyHb)のそれぞれの平均値とした.統計処理は多重比較検定を行い,ベースライン,初期,中期,後期のoxyHbの有意差を求めた.また,初期,中期,後期のoxyHbとVASの相関関係をそれぞれ求めた.加えて,痛みが少ない下位5名(VAS:25.8±8.3)と痛みが強い上位5名(VAS:72.2±5.6)の2群間の初期,中期,後期におけるoxyHbを比較した.なお,有意水準は5%未満とした.【結果】VASは平均51.6±20.6(14-83)であった.多重比較検定にて左側のBrodman area10(BA10)のoxyHbがベースライン,初期より後期において減少していた.初期,中期,後期のoxyHbとVASの相関関係は認めなかった.また,痛みが強い群は痛みが少ない群より初期における左右のBA10,中期における左側のBA 10のoxyHbが減少していた.【考察】痛み刺激によって前頭前野BA 10の脳血流量は即時的に減少した.また,痛みの感じ方が強い場合,BA10の脳血流量は有意に減少していた.基礎研究では関節炎モデルラットにおける電気生理学的解析にて,扁桃体が内側前頭前野の活動を抑制することが報告されている.以上のことからヒトにおいても,強い痛み刺激は,即時的に前頭前野の神経活動を抑制させる可能性が示唆された.
著者
西原 真理 新井 健一 牛田 享宏
出版者
愛知医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

感覚過敏は中枢神経感作とも重なる概念であるが、その評価は主観的なものに限られ、他覚的に定量化する試みは成功していない。治療法として弁別能力を向上させることが有効であると推測されるが、その生理学的評価を中心に研究を継続している。これまでは聴覚刺激による皮質反応を検討してきたが、触覚による評価も追加した。一連の研究から、触覚でも聴覚と同様の抑制が見られること、その抑制は情報の階層処理が進むほど強くなること、個体内で聴覚、触覚の抑制率に一定の傾向があることなどが分かっている。新しい生理指標として期待できるものであった。また異なる方法として、音圧変化の程度に応じて反応する聴覚誘発反応変化率(loudness dependence of auditory evoked potentials:LDAEP)についても検討し、それらが不安や特定の性格傾向と関連があるかどうかについて調べている。また、更に感覚過敏を社会関係性の視点から検討するために動物実験を追加している。このために高社会性げっ歯類であるハタネズミを用いた。これまで既に、絆が形成されたペアーを短期間離して飼育すると、機械刺激、熱刺激に対する反応性が増強すること、この過敏性は不安と関連していることを報告している。現在は感覚過敏の治療に応用するための正確な生理学的評価である聴覚、触覚刺激による脳内抑制機構の定量化の成果は得られているが、直接的に治療に結びつけ、論文発表に結びつけ、一定の成果を上げるにはさらに追加実験が必要であると考えたため、研究を1年延長した。
著者
田中創 西上智彦 山下浩史 今井亮太 吉本隆昌 牛田享宏
雑誌
日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会
巻号頁・発行日
2020-11-20

末梢器官から脊髄後角へ伝達された痛みの情報は,脳の広範な領域へ伝えられる.その中でも,体性感覚野は痛みの強度,部位,性質を同定する役割を担っている.特に,体性感覚野は痛みの部位を同定する機能を果たしているため,痛みの慢性化により体性感覚野の体部位再現が不明瞭になると,「どこが痛いのか正確に分からない」,「痛みのある部分が実際よりも腫れたように感じる」という訴えが聞かれることがある(Maihofner, 2010).このように,末梢からの侵害刺激によって身体知覚異常が生じることが明らかにされており,慢性疼痛患者の評価において身体知覚は重要な概念である.慢性疼痛患者の身体知覚を客観的に評価する指標には,2点識別覚(Two point discrimination: TPD)がある.TPDは皮膚上の2点を同時に刺激し,2点と感じられる最小の距離を識別する感覚であり,体性感覚野や下頭頂葉の可塑性を反映する評価とされている(Flor, 2000, Akatsuka, 2008).慢性腰痛症例において,腰部の輪郭が拡大していると感じる群ではTPDが有意に低下することを明らかにした(Nishigami, 2015).また,成人脳性麻痺者を対象とした調査において,見かけ上の姿勢異常よりも主観的な身体知覚やTPDの低下が慢性腰痛に関与することを明らかにした(Yamashita, Nishigami, 2019).さらに,我々は超音波を用いて変形性膝関節症(膝OA)患者の膝腫脹を評価し,自覚的腫脹との乖離がある膝OA患者では,安静時痛・運動時痛が強く,TPDの低下を認めることを明らかにした.このように,身体知覚が痛みに影響する一方で,痛みの慢性化には運動恐怖が影響する.運動恐怖とは,痛みによる恐怖心から行動を回避することであり,例えば慢性腰痛患者が腰を曲げることを怖いと感じることなどがそれに当たる.このような運動恐怖を評価する指標としては,これまでFear Avoidance Beliefs QuestionnaireやTampa Scale for Kinesiophobiaが用いられてきた.しかし,これらの評価は自記式質問紙であり,痛みに関連した運動恐怖を客観化する指標にはなり得ない.そのような背景から,近年では痛みに関連した運動恐怖を運動学的異常として捉える運動躊躇という概念が提唱され,運動方向を切り変える時間(Reciprocal Innervation Time: RIT)として表される(Imai, 2018).橈骨遠位端骨折術後患者において,術後早期の運動躊躇が1ヵ月後の運動機能に悪影響を及ぼすことが明らかにされている(Imai, 2020).また,我々はSingle hop test時に運動恐怖を感じている前十字靭帯再建術後患者では,膝屈伸運動中のRITが遅延し,それには位置覚の異常が影響することを調査している.これらより,痛みや身体機能には身体知覚や運動恐怖が密接に関与しており,それらを客観的に定量化することが重要である.今後は,定量化した因子に対して介入することで,慢性疼痛の予防や身体機能の改善につなげていくことが課題である.
著者
牛田 享宏 野口 光一 細川 豊史 田口 敏彦 高橋 和久 住谷 昌彦 菊地 臣一
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.183-192, 2018-09-15 (Released:2018-11-06)
参考文献数
11

Chronic pain is one of the common health problems among the general population. Various mechanisms are involved in the pathophysiology of pain, and a correct understanding of its pathophysiology or cause is important for an optimal management of pain. In terms of the physiological anatomy, pain with physical ⁄ organic causes can be classified mainly as “nociceptive pain” or “neuropathic pain.” However, there is also pain that does not fall into either of these two categories. This type of pain is often considered as a third classification, but its definition has not been standardized globally. In Japan, this type of pain is often called “psychogenic pain,” even when the pain is not attributed to psychological factors. However, it may not be an appropriate term for this particular type of pain. Firstly, because there is no standardized definition, physicians differ in how they classify pain as “psychogenic.” Additionally, the term “psychogenic” could give negative impressions to patients, which can deteriorate the patient–physician relationship and may result in poor treatment outcomes. In this paper, we have discussed these problems and proposed a new term “cognitively perceived pain” for this third category of pain, with the aim to foster a more appropriate, and easy–to–understand classification of pain. “Cognitively perceived pain” encompasses all pain that is neither nociceptive nor neuropathic pain, including that described as centralized pain or sensory hypersensitivity, in addition to psychogenic pain according to its original meaning (i.e. pain attributable to psychological factors). Because pain is perceived in the brain, the presence of any pain implies the impairment or abnormality of cognition. The proposed term is straightforward to convey the essence of pain without including any negative–sounding words. We hope that this term and its concept will be widely accepted, and help to increase understanding of this poorly defined category of pain.
著者
川田 倫子 牛田 享宏 池内 昌彦 川上 照彦 山中 紀夫 池本 竜則 谷 俊一 小松 誠
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.127-132, 2006-08-20 (Released:2013-10-24)
参考文献数
10
被引用文献数
3 6

Hip joint associated pain is known to distribute widely in affected thigh or lower leg and generally not restricted in hip joint area.However detail feature of hip joint associated referred pain is not sufficiently clarified. Therefore the aim of this study is to characterize the types of distribution of hip joint related pain and to give our opinion about underlying neurophysiological mechanisms of hip joint referred pain. Of 36 severe osteo-arthritis joints, 83% of the joints showed remote pain area and 18% of the joints showed pain restricted only in inguinal area. Fourteen percent of the joints had far remote pain in lower leg area. L5 root block study was conducted in 7 cases. In all cases remote referred pains were attenuated at least 2 or 3 days and long lasting pain improvement was achieved in one case. These results suggest that referred pain observed in severe hip osteoarthritis cases may initially triggered by hip joint itself but prolonged referred muscle pain may become a possible generator for triggering and maintaining of mal-pain circuit.
著者
牛田 享宏 山口 重樹 木村 嘉之 青野 修一
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.257-268, 2018-12-28 (Released:2019-03-29)
参考文献数
4

Chronic pain is a biological psychosocial pathological condition, which is caused by various elements involved in many ways. Therefore, it is necessary to analyze the disease state from various viewpoints and to treat multimodally. Since there was no standard diagnostic tool for chronic pain so far, it was difficult to develop epidemiological research and development and evaluation of treatment in accordance with specific pathological conditions. Therefore, the IASP proceeded development to add the item of Chronic Pain in ICD–11, which was officially announced from WHO in June 2018. This attempts to classify chronic pain into seven major categories (① chronic primary pain, ② chronic cancer related pain, ③ chronic postoperative and posttraumatic pain, ④ chronic secondary musculoskeletal pain, ⑤ chronic secondary visceral pain, ⑥ chronic neuropathic pain, ⑦ chronic secondary headache and/or orofacial pain) and others.By developing a more realistic method of using this new standard disease name, effective utilization not only in research but also in clinical practice is needed. In addition, this review will also introduce the versions that the Chronic Pain Research Group of the Ministry of Health, Labor and Welfare has been developing. At the same time as disease name classification, it is important to know where and how to treat chronic pain.In 2017, IASP defined the treatment by forming “Task Force on Multimodal Pain Treatment Defines Terms for Chronic Pain Care” in order to unify the names of confused treatment modes. At the same time as disease name classification, it is important to know where and how to treat chronic pain. Also, in the past, IASP has been defining treatment facilities such as Multidisciplinary Pain Center. In addition, this time we will introduce the assessment of O–P factor which is helpful for thinking about what kind of patients and where to receive medical treatment.
著者
林 和寛 池本 竜則 牛田 享宏
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.260-268, 2016-03-25

はじめに 痛みは不快な感覚・情動経験であり,侵害刺激に起因するだけではなく,認知・情動的側面が影響を及ぼすことが知られている.多様な要因がかかわる「痛み」を客観的にとらえるために,脳内神経活動を用いた評価の試みが行われている.本稿では,痛みにかかわる脳内神経活動の知見を紹介するとともに,痛みを遷延させる認知・情動的要因の評価と介入方策を概説し,患者の痛みにかかわる問題を解決するための一助としたい.
著者
河合 隆志 牛田 享宏 井上 真輔 池本 竜則 新井 健一 西原 真理
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.181-189, 2014-08-30 (Released:2014-09-16)
参考文献数
20

Many patients have neck and back pain, and their standing posture (spinal alignment) is sometimes considered to be one of the factors that contributes to such pain. Thus, it would be useful to evaluate spinal loads in that posture. A method to evaluate individual spinal loads using link segment models made from body mass distributions using DXA (dual–energy X–ray absorptiometry) was developed.   An element was defined as 1.30 × 1.22 cm, and a detailed body mass distribution consisting of 7473 elements was constructed using DXA equipment (QDR4500). The subjects' bodies were divided into cervicofacial (vertex–C7 ⁄ T1), thoracic (C7 ⁄ T1 – T12 ⁄ L1), and lumbar (T12 ⁄ L1 – L4 ⁄ 5) segments. Each mass, M1, M2, and M3, and the center of the masses were calculated. With these parameters and DXA images, each torque, TC7/T1, TT12/L1, and TL4/5, was calculated from the following formulas: TC7/T1 = M1gr1cosθ1, TT12/L1 = M1g (l2cosθ2 + r1cosθ1) + M2gr2cosθ2, and TL4/5 = M1g (l3cosθ3 + l2cosθ2 + r1cosθ1) + M2g (l3cosθ3 + r2cosθ2) + M3gr3cosθ3 (r1, r2, and r3: lengths from the rotation center to each center of mass; l2 and l3: lengths of C7 ⁄ T1 – T12 ⁄ L1 and T12 ⁄ L1 – L4 ⁄ 5; θ1, θ2, and θ3: angles formed between a horizontal line and r1, r2, and r3). In order to reproduce the standing posture on DXA, the standing side was formed by a vacuum cushion for operative position in advance.   The parameters from DXA in the lateral view were as follows. In case 1 (38–year–old man, healthy, 164.0 cm and 55.5 kg), they were M1 = 4.50, M2 = 13.24, M3 = 6.92 kg, TC7/T1 = –0.28, TT12/L1 = –3.80, and TL4/5 = –6.42 Nm (facing right, clockwise: positive). In case 2 (76–year–old man, lumbar spondylosis, 156.9 cm and 59.6 kg), they were M1 = 4.83, M2 = 14.27, M3 = 10.34 kg, TC7/T1 = –1.69, TT12/L1 = –16.1, and TL4/5 = –44.3 Nm. In case 3 (71–year–old woman, lumbar spondylosis, scoliosis, 147.2 cm and 49.0 kg), they were M1 = 4.63, M2 = 11.42, M3 = 5.36 kg, TC7/T1 = –2.53, TT12/L1 = –16.0, and TL4/5 = –27.0 Nm. Torques at L4/5 were 6.9 and 4.2 times greater in cases 2 and 3 than in case 1. Total masses calculated from DXA were 54.5, 59.0, and 47.6 kg, and errors between these and actual weights were –1.8, –1.0, and –2.9%, respectively.   A method for evaluating spinal loads as torques was developed using DXA. In the future, it will be possible to use this method to evaluate factors such as pain and the effect of rehabilitation. The relationships between torques and various scales (such as pain, depression, ADL, and QOL) need to be examined, taking into account age, sex, muscular strength, etc.
著者
長谷川 共美 池本 竜則 井上 雅之 山口 節子 牛田 享宏 柴田 英治 小林 章雄
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-8, 2014-03-10 (Released:2014-03-29)
参考文献数
29

The aim of this study was to investigate the features of overweight or obese individuals with a BMI >25 kg/m2 who complained of low back pain, knee pain, and neck stiffness. The subjects comprised 88 overweight or obese individuals who were divided into a symptomatic group and an asymptomatic group prior to the weight–loss intervention in order to compare several parameters of each group. Symptomatic patients were divided into groups of subjects whose symptoms did or did not improve as a result of the 6–month weight–loss intervention. Changes in the test paramete­rs from before and after the intervention were compared between the two groups. The results revealed no differences in any parameters between the two groups (symptomatic and asymptomatic) at baseline in neck stiffness or low back pain. However, for knee pain, the maximal oxygen uptake (VO2max) was significantly lower in the symptomatic group than in the asymptomatic group (p<0.01). Furthermore, the weight–loss intervention revealed a significant increase in VO2max in the “improved” group compared to the “no change” group (p<0.05). The study results showed that both weight loss and the acquisition of aerobic capacity were important in relieving knee pain in overweight or obese individuals.
著者
池本 竜則 牛田 享宏 谷口 慎一郎 谷 俊一 森尾 一夫 佐々木 俊一 Zinchuk Vadim 田中 茂樹
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.107-112, 2004-07-31 (Released:2014-02-20)
参考文献数
9

It is widely known that sensation of the pain is derived from sensory-discriminative factor and emotional factor. Especially in chronic pain, emotional factors and psychosocial backgrounds are more likely to contribute for the patients' discomfort. The aim of this study is to investigate how emotional factor of pain participates in intractable pain. We employed fMRI to compare the brain activations occurring in the orthopaedic neuropathic pain patients with allodynia and normal individuals in response to the visual virtual painful experience. During fMRI scanning, a video demonstrating an actual tactile stimulation of the palm and its imitation were shown to participants. In contrast to normal individuals,allodynia patients also displayed activation of the areas reflecting emotions: frontal lobe and anterior cingulate. These findings suggest that brain have important role in the development and maintaining of peripheral originated chronic painful condition.
著者
池本 竜則 牛田 享宏 谷口 慎一郎 谷 俊一 森尾 一夫 佐々木 俊一 田中 茂樹
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.117-125, 2006-08-20 (Released:2013-10-24)
参考文献数
36
被引用文献数
2 1

Using functional magnetic resonance imaging (FMRI) technology, we investigated the difference of pain related brain cortical activation derived from noxious stimulation to the skin and muscular tissue. Ten healthy volunteers who have no history of brain vascular disease were enrolled in this study. A cutaneouos pain was provoked by isotonic (0.9%) saline injection into intradermal space on right lower leg through 24G plastic catheter, and a muscle pain was provoked by hypertonic (3%) saline injection into right tibialis anterior muscle. We used event-related FMRI to measure brain activity during each injection. Visual analogue scale (VAS) was used to quantify pain intensity and unpleasantness, and pain quality was assessed with several verbal descriptions. Results: Pain unpleasantness rating was higher in the muscle pain compared to the cutaneous pain,despite the same pain intensity rating. The cutaneous pain had more acute pain onset than the muscle pain. Pain duration after stimulation was short in the cutaneous pain, but long in the muscle pain. The extent of the painful region tended to be larger with the muscle pain, but there was no statistical significance. Evoked FMRI response from the cutaneous pain showed distinct brain activation in the inferior and superior parietal cortex (BA: Brodmann area 5/7/40), primary and secondary somatosensory cortex (S1 & S2), insula, supplementary motor area (SMA, BA6), posterior cingulate cortex and cerebellum. On the other hand, FMRI response from muscle pain showed distinct brain activation mainly in the contralateral insula. These results suggest that the parietal lobe including the S1 is the essential area for cognition of sharp and well-localized pain conditions such as cutaneous pain, and may not be essential for cognition of diffuse pain derived from muscular tissue.
著者
池本 竜則 牛田 享宏 谷口 慎一郎 谷 俊一 森尾 一夫 佐々木 俊一 田中 茂樹
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.111-115, 2005-08-26 (Released:2014-01-16)
参考文献数
9
被引用文献数
1 3

We employed the functional MRI (fMRI) to investigate the changes of brain activation after reducing of capsaicin-induced heat hyperalgesia. Eight healthy volunteers who have no history of brain vascular disease were enrolled in this study. Capsaicin-induced heat hyperalgesia was developed by topical application of 2% capsaicin cream to anterior surface of left forearm. First fMRI time series were taken an hour after the application of capsaicin and second fMRI time series were taken an hour after medication (Loxoprofen Na: 120 mg). As for the pain task, 45°C wet cotton was put on the region where the heat hyperalgesia was evoked by capsaicin cream. Results of first fMRI time series showed distinct activation in the thalamus, anterior cingulate cortex, supplementary motor area, and prefrontal cortex. An hour after medication, though heat hyperalgesia still remained, all participants reported improvement of pain discomfort (VAS 4.7 to 2.5). Second series fMRI showed activation only in the thalamus. These results suggest that deactivated areas (anterior cingulate, etc.) observed after medication might be involved mainly in the pain related discomfort.
著者
牛田 享宏 大迫 洋治 末冨 勝敏 小畑 浩一 石田 健司 藤原 祥裕 神谷 光広 石田 健司 藤原 祥裕 神谷 光広 小畑 浩一
出版者
愛知医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

四肢の不動化(ギプスやシーネの装着あるいは過度のベッド上安静)はしばしば不動化した部位の廃用とそれに伴う痛みが生じる。しかし、この痛みのメカニズムについてはまだ明らかにされていないのが現状である。そこで我々は独自に開発したギプス固定法による前肢拘縮モデルを作製し、痛みの発症のメカニズムに関与する脊髄後角における神経ペプチドであるCGRP、転写因子であるC-fosおよびアストロサイトの活性マーカーであるGFAP、ミクログリアの活性マーカーであるCD11 bについて調査した。また、後根神経節においてCGRP陽性細胞の大きさとその分布について調査を行った。更にこのような拘縮に対する運動療法の有用性を検証する目的での訓練の効果について調べた。その結果、ギプス除去後にギプス固定側の脊髄後角においてCGRP陽性線維の増加、C-fosタンパク陽性細胞の増加、GFAPおよびCD11bの染色性の亢進が観察された。これらのことはギプス固定により、脊髄後角においてミクログリアやアストロサイトの活性化亢進し、それを引き金として炎症性神経ペプチドの増加などが引き起こされていることが示唆された。同時に調べた後根神経節細胞レベルのCGRP分布パターンの変化は、同部位においても長期のギプス固定により、後根神経節細胞に感作や可塑的変化が引き起こされていることを疑わせるものと考えられた。今回のモデル動物では、ギプスから解放を行っても治療を行った患肢を使う傾向が乏しい。そこで、水中訓練や反対側のギプス固定などを行ったところ反対側のギプスによって、生活障害が引き起こされると患側を使うようになり自ら動かすようになることが判った。今後はタイミングや運動強度などについても検証を行っていく必要があるものと考えられた。