著者
米山 真理 竹内 登美子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.88-95, 2021 (Released:2022-08-04)
参考文献数
17

本研究は,レビー小体型認知症(DLB)との診断がついた後,在宅で暮らすDLBの人を看ている家族の介護体験を明らかにすることを目的とした.研究参加者5人に半構造化面接法を行い,質的帰納的に分析した.結果として9のカテゴリーを見いだした.家族介護者は【幻視による混乱】と【多様な症状への対応の模索】,そして【薬の副作用による介護負担の増加】を感じながら,【日々の介護疲れの蓄積と増幅】を繰り返していた.さらに,【不満を覚えるような不適切な専門職者の対応】がこれら負の循環を助長させていた.この循環から抜け出すためには【支えとなる他者からの協力】が必須であり,【多様な症状を予測した対応】ができるようになった家族介護者は【新たな家族役割の自覚】が芽生え【本人と家族にとってのよりよい選択】を判断できるようになっていた.DLBは全身病ともよばれるほど症状が多様でその理解が難しい.ゆえに専門職者がDLBの知識を身につけ,家族と共に対応策を考えながら心身両面を支える必要性が示唆された.
著者
梅宮 弘光 矢代 眞己 大川 三雄 土崎 紀子 野沢 正光 堀越 哲美 米山 真理子
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.265-276, 2007 (Released:2018-01-31)

山越邦彦は,1930年代に設計した2つの実験住宅において,次のような当時における新しい技術を導入した。1)将来の生活変化に対応可能な住宅建築のための乾式構造(トロッケンバウ),2)生理学に基づいた快適環境を実現する輻射熱暖房(床暖房),3)住人を生態系に位置づける循環型住宅諸設備(浄化槽,メタンガス発生装置等)。これらは,生活の快適性を介して人間の生命現象に密接に関係するものであり,その試みは,人間疎外につながる近代化に対してオルタナティブな近代建築像を提示しようとするものだったと考えられる。ここに,山越のアヴァンギャルドとしての姿勢をみることができよう。それはまた,今日さまざまな環境問題に直面している私たちにとって示唆に富む。