著者
米山 真理 竹内 登美子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.88-95, 2021 (Released:2022-08-04)
参考文献数
17

本研究は,レビー小体型認知症(DLB)との診断がついた後,在宅で暮らすDLBの人を看ている家族の介護体験を明らかにすることを目的とした.研究参加者5人に半構造化面接法を行い,質的帰納的に分析した.結果として9のカテゴリーを見いだした.家族介護者は【幻視による混乱】と【多様な症状への対応の模索】,そして【薬の副作用による介護負担の増加】を感じながら,【日々の介護疲れの蓄積と増幅】を繰り返していた.さらに,【不満を覚えるような不適切な専門職者の対応】がこれら負の循環を助長させていた.この循環から抜け出すためには【支えとなる他者からの協力】が必須であり,【多様な症状を予測した対応】ができるようになった家族介護者は【新たな家族役割の自覚】が芽生え【本人と家族にとってのよりよい選択】を判断できるようになっていた.DLBは全身病ともよばれるほど症状が多様でその理解が難しい.ゆえに専門職者がDLBの知識を身につけ,家族と共に対応策を考えながら心身両面を支える必要性が示唆された.
著者
青栁 寿弥 竹内 登美子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.2_151-2_161, 2017-06-20 (Released:2017-08-30)
参考文献数
20

病院で働く看護師が抱く認知症患者の対応困難な現状を踏まえ,本研究は,一般病院で働く看護師を対象として,教育内容の質が確保された「認知症高齢者のコミュニケーション法」のe-learning教材を開発することを目的とした。開発した教材は,動画やアニメーションを取り入れて臨場感を高めたこと,および実践に活かせるよう事例展開を組み込み,よくある誤り事例から考えさせる内容で構成し,教材と受講者とのインタラクティブ性を確保した点に特徴がある。看護師15名を対象として,開発した教材による学習効果を検討した結果,教材学習前より学習後の目標達成度伸び率が有意に上昇した(p< .05)。また,教材学習後の自由記述を質的帰納的分析した結果,「患者の隠れた思いに気づく」や「患者とのかかわりで得られた成功体験」等のカテゴリーが得られた。以上より,本研究における e-learning教材の質が保証された。
著者
弓 貞子 竹内 登美子 若佐 柳子 桑子 嘉美 片桐 美智子
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医療短期大学紀要 (ISSN:09156933)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.35-42, 1993-03-25

この研究は平成3年に行った表記テーマの研究を土台に行ったものである。研究その1の成果に基づき43名の学生に,改良した実習記録用紙を使用させ,学習効果を測定した。又,記述内容の評価には,教員・学生の双方が使用できる同一の評価用紙を作成した。2つの仮説を基に結果を導き出し,次のような結論を得た。1)情報収集部分の学習の良否が,患者の把握や,看護計画の内容の良さを決定するという事が,仮説検定の理論によっても明かになった。2)改良した実習記録用紙の情報部分では,9割の学生が,必要とする内容を記載できていたので,この様式は学習上有効であるといえる。但し,3)に挙げた注意が必要である。3)教員の評価と学生の自己評価の比較では,7割(14項目)に差が無く,3割(6項目)に有意な差が見られた。差のあった項目のうち4項目は情報部分であり,情報が記入されていても,その意味を理解しているとは限らず,指導上注意が必要である。4)合格ラインに達していなかった項目は,「検査及びその結果」・「予測される問題点」の2つであった。今後特に,指導上の工夫が必要である。