著者
岡田 章 今井 晴雄 米崎 克彦
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、社会規範を取り入れて既存の交渉理論を再構築し、理論と実験の両面から社会規範が交渉行動と交渉帰結に及ぼす影響を分析することである。理論研究では、利得分配とグループ形成の交渉状況において、分配に関する規範が社会環境の変化に応じてどのように発生し動的に変化するかを進化モデルを用いて分析する。実験研究では、理論成果の実証とデータからのフィードバックを定式化に反映させるために、アンケートと分配交渉実験を履歴依存や予想の変化をとらえるようにデザインし実施する。
著者
米崎 克彦
出版者
同志社大学
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.329-356, 2011-12

論説(Article)本稿では,国際政治経済学の分野で発展した2レベルゲームモデルに交渉代表者を選ぶ過程を追加することにより,国内の意思決定が,交渉代表者に影響を与えるモデルを考察する.先行研究において,2レベルゲームは様々な形で拡張や応用が研究されている.理論面ではPutnamの2つの仮説に対し様々な形で検証が行われている.本モデルでは,Iida-Tararモデルの結果に対し,両仮説について違う含意が得られた.第1仮説について,複数均衡が存在する条件が導かれ,より交渉が成立するケースが増えるという可能性の点から,この仮説を支持する可能性が導かれた.また,第2仮説について,交渉のアドバンテージはウインセットの大きさではなく誰を選ぶかという部分に変化している.ただし,ウインセットの変化が均衡の集合のサイズに影響を与え,自分らのとり分が相対的に少なくなる可能性のある均衡の集合範囲がなくなる場合があり,間接的に交渉力に影響を与える可能性は残されている.I examine the two-level games model with a negotiation process for the selection of representatives. Putnam (1988) has proposed two-level games and has advanced hypotheses on international bargaining with domestic constrains. Iida (1993/1996) and Tarar (2001) have examined the hypotheses using a game-theoretic model. They stressed that asymmetric information plays an important role in the hypotheses. Even if complete information is available, our model leads the conditions of the hypotheses.