- 著者
-
日高 洋
米田 成一
安東 淳一
- 出版者
- 広島大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2005
本年度は,前年度に引き続き,以下について行った。1、gas-rich隕石の分析:多量にガス成分を含んでいる隕石(Kapoeta,Cook101,NWA801,SaU290)について,Sm,Gd同位体,希ガス同位体,の分析を行い,これらの宇宙線照射履歴の詳細について解析した。これらの隕石は銀河宇宙線の他に,低エネルギーの宇宙線による照射の影響を著しく受けている可能性が示唆された。2.炭素質コンドライトのバリウム同位体分析:タイプの異なる6種類の炭素質コンドライト隙石(Orgueil,Mighei,Murray,Efremovka,Kainsaz,Karoonda)について酸による連続溶出実験を行い,得られた各々のフラクションのバリウム同位体分析を行った。特に,3種類のCM隕石から得られた同位体変動を総合的に解析し,原始太陽系の同位体不均一に影響を及ぼす要因としてs-過程,r-過程の原子核合成成分以外に消滅核種^<135>Csの存在の可能性を検証した。3.原始惑星における水質変成:水質変成を激しく受けている形跡のある狭山隕石(CM2)について,その組織からコンドリュールを採取し,個々のコンドリュール粒子についてバリウム同位体測定を行った結果,^<135>Cs-^<135>Ba壊変系の著しい乱れを示すデータを得た。本研究結果は同位体化学的見地から水質変成の存在を示唆する有意義な証拠となり得た。