著者
粟津原 元子 田中 佐知 早瀬 明子 花坂 照彦 畑江 敬子 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.91, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 鶏肉の旨み成分であるイノシン酸およびグルタミン酸量は鶏肉の加熱中に変化する事が知られている。一般にグルタミン酸などのアミノ酸はプロテアーゼの作用により加熱中に生成された後分解され、イノシン酸はフォスファターゼの作用により加熱中に分解して減少すると考えられている。本研究では、鶏肉の加熱調理方法として急速加熱,緩慢加熱および急速加熱と緩慢加熱の組合せ加熱を考え、加熱中の温度履歴と鶏肉の旨み成分との関係を検討した。【方法】 鶏モモ肉ミンチ260gを直径120mm×高さ20mmの円柱状に成型したものを試料に用いた。加熱条件は、緩慢加熱(オーブン210℃、35分加熱),急速加熱(レンジ500W、7分加熱),4種類の組合せ加熱(レンジ3分+オーブン30分、レンジ4分+オーブン25分、レンジ5分+オーブン20分、レンジ6分+オーブン15分)とし、それぞれ試料中心温度が80℃になるまで加熱を行った。それぞれの試料からPCAにより可溶性成分を抽出し、核酸関連物質をHPLCで、アミノ酸をアミノ酸分析計でそれぞれ測定した。【結果】 グルタミン酸は緩慢加熱では加熱の初期の段階でやや増加したものの、焼き上がりの時点では生肉に比べてやや少なくなった。急速加熱では緩慢加熱に比べて、グルタミン酸の減少率が大きく、生肉の88%になった。イノシン酸は緩慢加熱では生肉の屋16%にまで減少したが,急速加熱では生肉の65%にとどまった。組み合わせ加熱では、グルタミン酸量は組み合わせのパターンに関わらずやや減少したが、イノシン酸は始めの急速加熱が長く、その後の緩慢加熱が短いほど減少が抑制され、旨み成分の保持に効果があった。
著者
田中 佐知 早瀬 明子 粟津原 元子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.306-313, 2010 (Released:2014-10-03)
参考文献数
15

オーブンレンジにおける鶏肉の嗜好性の高い調理方法を明らかにすることを目的として,鶏もも肉を電子レンジ加熱(M)(500W電子レンジ加熱8分間),オーブン加熱(O)(210°Cコンベクションオーブン加熱40分間),それら2つの調理を組み合わせた組合せ加熱(C)(電子レンジ加熱5分間の後オーブン加熱25分間の30分間)の3種類の方法で加熱調理し,調理物の物性測定,官能評価を行った。電子レンジ加熱(M)はオーブン加熱(O)よりも温度上昇速度が高く,内部温度と表面温度の温度差が小さい。また,オーブン加熱(O)は他の加熱よりも重量保持率が低く,電子レンジ加熱(M)は他の加熱よりも柔らかい。官能評価では,外観評価,総合評価ともに,電子レンジ加熱(M)に比べて組合せ加熱(C)とオーブン加熱(O)が有意に好まれ,組合せ加熱(C)とオーブン加熱(O)の好まれ方は有意な差はなかった。よって,組合せ加熱(C)は,好ましい調理を短時間で加熱調理できることから,オーブンレンジに適した嗜好性の高い鶏肉調理が可能な調理方法であることが示された。
著者
粟津原 元子 田中 佐知 早瀬 明子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-195, 2013 (Released:2013-08-20)
参考文献数
21

鶏肉の加熱中のうまみ成分の変化を明らかにすることを目的とし,鶏ももミンチ肉を緩慢加熱(オーブン(O)210℃,35分),急速加熱(電子レンジ(M)500 W,7分),4種類の組合せ加熱(M 3分+O 30分,M 4分+O 25分,M 5分+O 20分,M 6分+O 15分)で加熱し,加熱中の温度履歴と鶏肉のうまみ成分との関係を検討した。5'-IMP量は,緩慢加熱の時間が短い条件ほどその減少は抑制されうまみの保持に効果があった。グルタミン酸及び総遊離アミノ酸量は加熱条件による顕著な違いは見られなかったものの,緩慢加熱の時間が長い条件では分子量約18,000のペプチドの消失が見られ,タンパク質やペプチドの分解により生じた低分子ペプチドによりうまみが増加している可能性が示唆された。以上の結果から,加熱条件によって5'-IMP,グルタミン酸,ペプチドの量が異なり,加熱条件を組み合わせることにより,よりうまみの強い焼上がりにできる可能性が示された。
著者
米田 千恵 粟津原 元子 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.337-343, 2008-10-20
参考文献数
13
被引用文献数
3

冷凍メバチ肉の塊を,30℃の3%食塩水に浸漬する解凍法(解凍法1),30℃の水に浸漬する解凍法(解凍法2)および4℃での緩慢解凍(解凍法3)に供した。品質の同じ試料では,解凍過程における重量変化,色は解凍法1と解凍法2の間で差異はみられなかった。上物とよばれる品質の高いマグロ肉についての官能検査では,解凍法1で解凍した試料は解凍法2で解凍したものに比べて,水っぽくなく,一方で,粘性,塩味,マグロらしい味(うま味)が強かった。解凍法1で解凍した刺身の外側の食塩濃度は,解凍法2および解凍法3で解凍した試料の食塩濃度よりも有意に高かった。マグロ肉へ食塩が浸透することによって,粘性が増し,うま味が増強されるものと考えられた。
著者
米田 千恵 粟津原 元子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.337-343, 2008-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
13

冷凍メバチ肉の塊を,30℃ の3%食塩水に浸漬する解凍法(解凍法1),30℃ の水に浸漬する解凍法(解凍法2)および4℃ での緩慢解凍(解凍法3)に供した。品質の同じ試料では,解凍過程における重量変化,色は解凍法1と解凍法2の間で差異はみられなかった。上物とよばれる品質の高いマグロ肉についての官能検査では, 解凍法1 で解凍した試料は解凍法2で解凍したものに比べて,水っぽくなく,一方で,粘性,塩味,マグロらしい味(うま味)が強かった。解凍法1で解凍した刺身の外側の食塩濃度は,解凍法2および解凍法3で解凍した試料の食塩濃度よりも有意に高かった。マグロ肉へ食塩が浸透することによって,粘性が増し,うま味が増強されるものと考えられた。
著者
田中 佐知 早瀬 明子 花坂 照彦 粟津原 元子 畑江 敬子 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.92, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 オーブンレンジでは,コンベクションオーブンによる緩慢加熱,電子レンジによる急速加熱,さらにそれらの組み合わせ加熱がある。前報でこれらの中で急速加熱を長くした組合せ加熱が旨み成分をより保持することが明らかになった。本研究ではこれらの3つの方法で加熱した鶏肉の食味評価を行い,鶏肉のおいしい加熱法について検討した。 【方法】 試料である鶏もも肉(170×120×20mm,250g)をオーブンレンジ内の焼き網上に載せ,緩慢加熱(オーブン210℃加熱),急速加熱(レンジ500W加熱),組合せ加熱(急速加熱→緩慢加熱)の3つの加熱方法により,それぞれ常温(20℃)から試料中心温度が90℃になるまで加熱した。そして,それぞれの試料において,重量保持率,面積保持率,水分量,破断強度,多汁性を測定し,物性の違いを測定した。さらに,一般パネル72名を対象に順位法による官能検査を行い,物性と嗜好性の関係を評価した。 【結果】 重量保持率と面積保持率は,急速加熱>組合せ加熱>緩慢加熱の順となり,水分保持量は,緩慢加熱に対して組合せ加熱と急速加熱が1.1倍であった。破断強度は,緩慢加熱>組合せ加熱>急速加熱の順であり,肉の硬さは,急速加熱に比べて組合せ加熱が1.6倍,緩慢加熱が4.2倍であった。多汁性は,緩慢加熱で最も低く,組合せ加熱で最も高い傾向であった。官能評価では,急速加熱が他の2つの加熱調理法に比べ1%有意で好まれない結果が得られ,その理由は「パサパサしている」が多かった。以上の結果から,組合せ加熱では,うまみ成分が保持されて味が濃く,ジューシーで水分が保持されている特性を持ち,3つの加熱調理法の中で鶏肉を最もおいしく調理できることを確認した。
著者
米田 千恵 粟津原 元子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.337-343, 2008

冷凍メバチ肉の塊を,30℃ の3%食塩水に浸漬する解凍法(解凍法1),30℃ の水に浸漬する解凍法(解凍法2)および4℃ での緩慢解凍(解凍法3)に供した。品質の同じ試料では,解凍過程における重量変化,色は解凍法1と解凍法2の間で差異はみられなかった。上物とよばれる品質の高いマグロ肉についての官能検査では, 解凍法1 で解凍した試料は解凍法2で解凍したものに比べて,水っぽくなく,一方で,粘性,塩味,マグロらしい味(うま味)が強かった。解凍法1で解凍した刺身の外側の食塩濃度は,解凍法2および解凍法3で解凍した試料の食塩濃度よりも有意に高かった。マグロ肉へ食塩が浸透することによって,粘性が増し,うま味が増強されるものと考えられた。