著者
深沢 徹 西岡 泰弘 大嶺 裕幸 浦崎 修治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.941-952, 2002-06-01
被引用文献数
11

本論文では,携帯端末におけるフリップの内部に平行2線とダイポールアンテナを配置したモデルに対し,フリップを開いた状態では逆相励振,閉じた状態では同相励振を行う方法を提案する.フリップ開時には電力が平行2線を伝達するため,その長さの分だけアンテナの放射部を人体から遠ざけることが可能になり,人体による性能劣化の小さなアンテナが実現できる.また,フリップ閉時には平行2線とダイポールから構成される逆Lアンテナが形成され,該アンテナにより誘起される筐体上の電流からの放射を利用することで帯域を広げることが可能となる.本論文ではまず初めに,上記アンテナのフリップ開時,閉時における放射インピーダンス整合の設計法について述べる.次に,フリップ閉時における帯域幅について検討を行い,逆相励振の場合に比べ,同相励振することで帯域幅が3倍以上広がることを示す.次に,放射特性についてミュレーションを行い,従来のモノポールアンテナより高い利得が得られることを示す.更に測定値と計算値を比較し,計算の妥当性を確認する.
著者
大嶺 裕幸 薮下 剛 紀平 一成 田邊 宏太 葛西 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.100, pp.61-66, 2008-06-19
被引用文献数
1

JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency)により開発を行っているH-II Transfer Vehicle(HTV)は,国際宇宙ステーション(ISS:Intemational Space Station)への物資補給を担う無人・自動ランデブ宇宙機である.HTVはISSへ接近する際、ISSに搭載されているGPS受信機とHTVに搭載されているGPS受信機により相対航法を行うため、高精度な測位が可能である.マルチパス環境下においては、GPS受信機はマルチパスによるシュードレンジ誤差が発生する.このマルチパスによって生じるシュードレンジ誤差成分は、相対航法により除去できない成分となるため、測位誤差を生み出すおそれのあるマルチパスによる影響を前もって予測し定量的に把握しておくことが重要となる.本報告では,ISS構造物によるマルチパスを考慮した遅延波の解析並びにシュードレンジ誤差解析結果について報告する.ISS構造物をパドルやラディエータ等の駆動部も考慮して詳細なモデル作成を行い、レイトレースによりマルチパス遅延波を精度良く算出した.この結果、ISSで発生するマルチパスによるシュードレンジ誤差の方向を算出することができる.更に、ISS,GPSの軌道に連動したISS構造物によるシュードレンジ誤差の変動の予測が可能であることを示す.
著者
大嶺 裕幸 薮下 剛 田邊 宏太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.446, pp.1-6, 2006-12-15

H-II Transfer Vehicle(HTV)は,国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を担う無人・自動ランデブ宇宙機である.HTVはISSの日本実験棟(JEM)と通信を行いながらISSへの接近,係留を行うため,ISS近傍領域においても通信を行う必要がある.このため,ISS構造物によるマルチパスの影響は,通信成立に影響を及ぼす可能性がある.ここでは,ISS構造物によるマルチパスを考慮した放射パターン解析並びに通信解析結果について報告する.約100m規模の複雑なISS構造物を多面体と円筒で構成し,更に,パドルやラディエータ等の駆動部も考慮してISS構造物のモデルを構築した.ISS構造物からの散乱波は,Uniform Geometrical Theory of Diffraction(UTD)法により解析し,HTV軌道に連動したISS構造物による通信レベルの変動を算出した.又,解析の妥当性を検証するために,1/13スケールモデルを基にしたISSの部分模擬構体を用いた放射パターン測定を実施し,この結果,解析結果とほぼ一致する結果が得られている.