著者
加藤 俊博 奥山 治美 徳留 信寛 織田 久男 渡辺 和彦 木村 眞人
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.192-200, 2009-04-05
被引用文献数
1

健康志向が世界的に高まりつつあり、わが国においても、国民の食育、食と健康に関する関心は益々高くなっており、食生活の重要性が強く認識されつつある。一方、国民の「栄養と健康」に関する知識の現状はなお不十分で、野菜摂取量不足等によるビタミン、ミネラル不足あるいは油脂・脂肪(リノール酸、トランス脂肪酸)の取りすぎ等による栄養摂取のアンバランスががん、心疾患等の生活習慣病を助長している。他方で、消費者の健康食品・機能性成分に対する関心は高く、栄養補助食品としてビタミンやミネラル成分が摂取されている。しかし、ミネラル等の栄養補助食品では過剰摂取による弊害も発生しており、野菜等の食物からの摂取を積極的に勧める必要がある。このため、行政サイドからも、野菜摂取量の増加が叫ばれているものの、食生活の変化から、こども、若者高齢者を中心に野菜を十分に摂取できていないのが現状であり、流通と消費の両サイドから十分量のミネラル強化野菜の周年安定供給が望まれている。
著者
川崎 晃 織田 久男 山田 宗孝
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.667-672, 2004-12-05
被引用文献数
5

カドミウム(Cd)の安定同位体(^<113>Cd濃縮金属,94.8%)をCdトレーサーとして利用する手法を確立するため,土耕ポット栽培のダイズ試験における最適トレーサー添加量を求めるとともに,Cdがダイズ子実へ移行しやすい生育時期について調べた.^<113>Cdの0.1M硝酸溶液(1,000mg Cd L^<-1>)を蒸留水で希釈し,ポット(1/5,000アール)あたりの^<113>Cdトレーサーの添加量が0.2mgもしくは1mgになるように注入した.収穫期のダイズ子実のトレーサー由来Cd濃度は,ポットあたり0.2mg添加時が0.01未満〜0.04mg kg^<-1>,ポットあたり1mg添加時が0.01〜0.10mg kg^<-1>となり,ほぼすべての処理区で^<113>Cdトレーサーが定量できた.また,トレーサー示加に伴う収量の低下や土壌pHの変化は認められなかった.すなわち,ポットあたり0.2mgの^<113>Cdトレーサーの添加により,ダイズの生育に影響を及ぼすことなく,Cdの吸収をトレースできることが明らかになった.ここで開発した^<113>Cd安定同位体を用いたトレーサー法は,従来のRIトレーサー法と異なり,RI管理及びRI半減期の制約を受けない利便性の高い試験法である.さらに,トレーサー出来のCdだけでなく,土壌、由来のCdも同時に定量できるという利点がある.この手法を用いて,生育時期の異なるクイズのポットに注入した^<113>Cdトレーサーの子実吸収量から,経根吸収されたCdがクイズの子実に移行しやすい時期は,粒肥大始め期より以前であることが示唆された.
著者
川崎 晃 織田 久男 山田 宗孝
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.667-672, 2004
参考文献数
23
被引用文献数
5

カドミウム(Cd)の安定同位体(^<113>Cd濃縮金属,94.8%)をCdトレーサーとして利用する手法を確立するため,土耕ポット栽培のダイズ試験における最適トレーサー添加量を求めるとともに,Cdがダイズ子実へ移行しやすい生育時期について調べた.^<113>Cdの0.1M硝酸溶液(1,000mg Cd L^<-1>)を蒸留水で希釈し,ポット(1/5,000アール)あたりの^<113>Cdトレーサーの添加量が0.2mgもしくは1mgになるように注入した.収穫期のダイズ子実のトレーサー由来Cd濃度は,ポットあたり0.2mg添加時が0.01未満〜0.04mg kg^<-1>,ポットあたり1mg添加時が0.01〜0.10mg kg^<-1>となり,ほぼすべての処理区で^<113>Cdトレーサーが定量できた.また,トレーサー示加に伴う収量の低下や土壌pHの変化は認められなかった.すなわち,ポットあたり0.2mgの^<113>Cdトレーサーの添加により,ダイズの生育に影響を及ぼすことなく,Cdの吸収をトレースできることが明らかになった.ここで開発した^<113>Cd安定同位体を用いたトレーサー法は,従来のRIトレーサー法と異なり,RI管理及びRI半減期の制約を受けない利便性の高い試験法である.さらに,トレーサー出来のCdだけでなく,土壌、由来のCdも同時に定量できるという利点がある.この手法を用いて,生育時期の異なるクイズのポットに注入した^<113>Cdトレーサーの子実吸収量から,経根吸収されたCdがクイズの子実に移行しやすい時期は,粒肥大始め期より以前であることが示唆された.