- 著者
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藤原 建紀
高杉 由夫
肥後 竹彦
- 出版者
- 日本海洋学会
- 雑誌
- 沿岸海洋研究ノート (ISSN:09143882)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.38-46, 1989-08-31
- 被引用文献数
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成層状態の内湾に風が吹くと躍層の深化・成層の崩壊・風が止んだ後の再成層化などの現象が起きる.水温・塩分・溶存酸素の自動観測装置を瀬戸内海の周防灘・播磨灘・大阪湾・江田島湾に長期間設置し,これらの現象を観測した.湾の長さが約60kmであり,上層と下層の密度差が5kg/m^3であった周防灘では,8〜12m/sの風によって,1日のうちに完全に成層が崩壊した.また風が止んだ後は,水平的な密度勾配による密度流が起き,約1日で再び成層状態にもどった.底層に及ぶ上下混合が強風によって起こされる頻度は,周防灘・播磨灘・大阪湾・江田島湾において,それぞれ4回/2月,3回/1月,0回/1月,0回/2.2月であった.